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ヤンデレの時代は終わりだ!!!  作者: 松岡由樹
第一章 千枝春乃
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第一章 47 パワーこそ正義

「むぅ……1本残ったか」


「雫ちゃんスペア狙えるよ!」


悔しくそうに口を尖らせた濱田を応援する今野。

がんばるぜー!と拳を掲げて声援に応えている。


俺は隣の1投目が終わったのを確認してボールを投げた。


投げ終わった後の重心もブレず、予想通りの軌道でボールが転がっていくと、期待通りにピンを全部弾き飛ばして結果はストライクに終わる。


俺はドヤ顔で濱田を見ると、ギリリという音が聞こえてきそうな程に歯を食いしばる濱田をみて、かなり愉快な気分になった。


精神を乱した濱田は2投目で残ったピンを倒せず、地団駄を踏んで席に戻る。


「七海くんナイスゥー!!」


塩見は俺の目の前まで来ると両手を広げたので、それに合わせてハイタッチし、正木と近藤ともその流れで手のひらを合わせた。


「伊達のせいでスペア取れなかった」


次はストライク取れるよと今野に慰められながらナチュラルに俺へ責任を擦りつける濱田。

弱い犬は失敗の責任を他人に転嫁するものである。


「次は俺の番か」


正木は立ち上がってボールを構えた。


デカい正木がボールを持つとオモチャのように見えるから視覚とは不思議なものだ。


「フン!」


掛け声と共にボールを投げ、転がすというよりは本当に投げたといった感じで、放物線を描きながらボールはレーンに落下。

そのまま超速でピンに激突して弾け飛ぶ。

威力は凄まじかったが結局は6本倒れで、残ったピンは綺麗な真っ二つに分かれたのだった。


「パワー馬鹿か」


「当夜の剣道スタイルも上段の振り下ろし1点狙いだからね」


「あーめっちゃ想像つくわ」


近藤の注釈に心から納得した。


2投目も変わらずの全力投球で、ど真ん中にボールが超速で駆けると、ピンに掠りもせず消えていったのだった。


次は全て倒すと意気込む正木に頑張れよと声をかけ、亮と近藤の実力も確認する。


二人は無難にこなして、そつなくスペアで戻ってきた。


「罰ゲームって何させる気なんだ?」


戦力的にこちらが不利なことを悟り、念のため確認する。


「……自分で言っといてなんだけど、罰ゲームの内容考えてなかった」


亮の言葉にガクリと肩を落とす。


「お前ノリだけすぎんだろ」


「そ、その方が盛り上がるかなって……」


苦笑いしている亮を遮って塩見がハイハイ!と手を挙げた。


「ゆあが勝ったら七海くんとデートするってのは!?」


「色々ツッコミどころだらけだが、まずお前と俺は同じチームだろうが」


「………!?そ、そうだった!」


塩見がどうしようと頭を抱えて唸り出した。


「それなら勝った方が負けたチームに好きなお願いを一人一回ずつ出来るってことでいいんじゃない?勿論常識の範囲内で」


「司天才!それでいこ!!」


近藤の発案にノリノリで頷く亮。


「この罰ゲームに異論ある人!」


周りを見渡し誰も反対を言い出さないことを確認すると、亮がよし決まりと機嫌よく話を纏めた。


しかし、頭を抱えていた塩見がガバッと顔を上げて待ったをかける。


「それって勝ったチームが同じメンバーにはお願いできないよね?」


「そりゃあ勝ったメンバーが罰ゲーム受けるっておかしいでしょ」


「なら、ゆあは亮のチームに入れて!そしたら七海くんに命令できるんでしょ!?」


「命令って……」


亮は塩見の勢いに押されながら濱田と今野を見る。


「雫……どうしよ?」


「別にいいんじゃねーか。その方が伊達も困りそうだし」


濱田がやる気が出てきたと言わんばかりに腕をグルグル回す。


「すみれは……どっちでもよさそうだな」


「うん。結愛ちゃんの好きなチームでいいと思うよ」


今野はフフフと笑いながら頷いた。


「俺達も疫病神がいない方がいいし、別に構わねーぞ」


俺の言葉に正木と近藤も同意する。


亮はオッケーとみんなの意思を汲み、スコアに表示される名前を訂正すると、ゲームをリセットして、この1ゲームで勝敗を決めようと言った。


「ハーレムチーム対男チームになったな」


「ハーレムってつけるの、恐れ多いからやめて」


亮は涙目になりながらシュンとした。

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