第一章 46 運動神経の良さって見た目からじゃわからないよね
座席はかなり広々としていて、2レーンの幅をソファー席が半円を描いて占領している。
俺達は座席に荷物を置き、ボウリングの玉を選んでボールリターンへ各自置いていった。
折角だし罰ゲームありのチーム戦にしようと亮が言い出す。
「人数が7人だから分けられねーんじゃね?」
一人だけ仲間外れにする発想がこの仲良し面子には無さそうだが。
……もしかして俺がお豆扱いか?
「結愛がド下手だから実質いないのと一緒だし問題ないよ」
亮にしては忌憚のない言葉である。
こいつがここまで言うのだから相当なのだろう。
「ハァ〜?それっていつの話よ?この!ゆあ様が!いつまでも!同じ場所にいると思うなよ!!」
「って、毎回言ってアベレージ20点だからね。実質戦力外」
「なるほどな」
キーキー言っている塩見を無視してチーム分けした結果、俺と正木と近藤と塩見vs亮、濱田、今野となった。
「クソ……まさか塩見がうちのチームになるなんて……」
「まぁ20点ハンデを付けて貰えたと思えばプラスだよ、きっと」
「……しかし結愛が勝負事で勝っているのを見たことがないぞ」
近藤と正木が渋い顔をして唸っている傍ら、塩見は仁王立ちに腕組みとかなりやる気のようだった。
「ねーねー先頭バッターは私でいい!?やっぱり開幕投手って重要だと思うんだよね!」
バッターなのか投手なのかハッキリしてほしいところだったが、特に異論はないので好きにやらせることにした。
塩見はフンスと鼻息を荒くしながらアプローチに立って、ボールを構える。
運動神経を微塵も感じさせないトテトテ歩きで投擲の動作に入り、投げるのではなくゴトンとボールを落とす。
ヨロヨロと左右にブレながら進んだボールは道半ばでガーターに落ちていった。
「はは〜んなるほどね!これがこのボウリング場の癖……か!」
次投もガーターで終わった塩見はしてやったりと口端を上げて戻ってくる。
正木と近藤は慣れたもので全くの無反応だった。
「ナイスショット。期待通りの結果だったぞ」
「あ〜ん!やっぱり七海くんにはわかるのね!ゆあの芸術的なスローの意味を!」
「そうだな!とりあえず邪魔だから立ってないで早く席につけや」
「あ、はい」
塩見は若干落ち込みながら席に座る。
俺は隣のレーンを見ると、丁度今野がボールを構えて投げたところだった。
おっとりユルフワな雰囲気と反して、かなり綺麗なフォームでボールを放し、その軌道はど真ん中でストライクを鮮やかに決めていた。
「予想外。今野ってボウリング上手かったのか」
「すみれは運動神経かなりいいぞ。中学まではソフトボール部だったしな」
正木が得意げに今野の自慢をする。
「人は見た目によらねーんだなぁ」
俺は関心して、今野にナイスストライクと声をかけた。
今野は笑いながら俺に手を振るが、それを見た濱田が教育に悪いものを子から隠す親のように自然と間に入って遮った。
そんなに警戒しなくても君らにはちょっかい出さないけどな……
次は伊達の番だよと近藤に声をかけられて席を立つ。
ボールを投げるタイミングが濱田と被った。
「先にどうぞ」
「……」
濱田は何か返すでもなく、綺麗なフォームでボールを投げる。
結果は9ピン倒しで、キャラ通り運動もできるようだった。




