第一章 41 父よ、二人で5千円は流石に多いぞ
昼夜逆転生活なので、朝方かお昼更新多くなると思うb
家に帰るとリビングで父さんと紗希がコーヒーをお供に談笑していた。
丁度話のキリがよかったのか、リビングに顔を出した俺に二人とも気が付いて、お帰りとハモッて声をかけられる。
「ただいま」
「結構戻ってくるのが早かったわね」
「自転車置いてそのまま出かけたから帰ってこないかと思ったぞ」
「丸のとこに行ったんだけど仕事でいなかったら帰ってきたわ」
俺はポットに残っていたコーヒーを勝手に注いで椅子に座る。
父さんは俺が落ち着くのをみるや、財布から5千円札を取り出して、テーブルに置いた。
「俺は出かけるからよ、お前ら二人でなんか好きなもんでも食えよ」
「お父様、そんな、いつも出してもらっているのに悪いですよ……」
紗希は心底申し訳なさそうに恐縮している。
丸から4千円むしり取った時とは大違いだ。
「いいって。紗希ちゃんにはこの馬鹿がいつも世話になってるからよ」
「いえ、むしろ色々な食材を使わせていただけるので私の方がお世話になっています」
「……本当に女の子っていいよなぁ」
父さんは俺をチラ見して、視線を紗希に戻す。
「いつもだったら3人で焼肉にでも行きたかったんだかなぁ。仕事で忙しくなるからその前に顔を出さなきゃならんとこがあってよ」
恐らく行きつけのスナックのママさんに営業をかけられているのだろう。
父さんはすまんなと言いながら、小ざっぱりした格好に着替えて、意気揚々と夜の街に繰り出していった。
俺と紗希は父さんが置いていった5千円を眺めながら、何を食べるか決めあぐねていた。
「ファミレスにでもいくか?」
「七海に任せるわ」
「えーそれが一番困るんだけどなぁ……」
ファミレスで豪遊するか出前で豪遊するか、それとも少し金を足して普段行かないようなところへ行くか、どれも違うようでどれでもいいような気分である。
ウーンと唸っていると、ピンポーンとインターホンが鳴った。
ディスプレイを確認すると、そこには先ほどまで一緒にいた春乃の姿が映し出されている。
俺は玄関の扉を開けた。
「あ、七海くん急に来ちゃってごめんね。少し迷ったんだけどやっぱりまだ一緒にいたいなと思って……LINE送っても返事がなかったから……」
春乃の言葉にスマホを確認すると、20件以上の電話とメッセージが届いていた。
「あーごめん、全然気付かなかったわ」
「んーん、わたしの方こそいきなり押しかけてごめんね。もしよかったら一緒にごはん食べたいなって……」
「あら、千枝さんじゃない」
後から紗希がニッコリと笑みを浮かべながら顔を出す。
「……………やっぱり」
春乃は途端に顔色が悪くなり、少し声が震えていた。
「七海。折角だから3人でファミレスに行きましょうよ。5千円、ピッタリの金額じゃない?」
「えー?まぁいいか。春乃もそれで大丈夫?」
俺の言葉に悲痛な表情を浮かべながら春乃は頷いた。




