第一章 27 あの二人はどこにいったんだろうか
弁当を食べ終わってしばし談笑していると春乃は恐る恐るといった様子で俺の予定を聞いてきた。
「放課後?」
「うん……もしよかったらベース、少し弾けるようになったから見てほしいかなーと思って」
「あー今日かぁ」
音楽鑑賞会兼ベースの上達度を見てみたいとは思っていたが、今日は気分が乗らない。
「ごめち、部活とバイトがあるからまた今度にしようぜ」
「……ん。わかったよー」
春乃は表情を変えず、一旦引き下がったように見えたが
「そしたら今週の休日はどうかなー?」
と食い下がってきた。
「今週かぁ」
俺はどうしようか一瞬悩んだが、龍くんに紹介する時期を探る意味でも、一度ベースへの熱意を確認するべく、春乃の家へ遊びに行っておいた方がいいだろうと思った。
どんな家に住んでるかちょっと興味あるし……
「おっけー。したら、今週、春乃の家にお邪魔しようかな」
「……ほんとー!」
春乃は嬉しそうに両手を合わせながら笑顔をみせる。
ほんとほんと、と返す俺に当日何時ごろから家にくるの?と尋ねてくる春乃を遮るように予鈴のチャイムが鳴った。
俺は机を戻して、また後でなと言うと、春乃は少しバツが悪そうに笑って頷いた。
放課後、休日のことについて話したかったのだろう春乃が俺を呼び止めたところ、塩見が物凄いスピードで割り込んできた。
「へいへーい七海くん!!今ちょっと暇かしら〜?」
「あ?なんだ?」
春乃は所在なさげに俯いた。
「今からみんなでUNOやるんだけど、七海くんもやってかない!?」
「UNO……別にいいぞ」
「おっしゃー!七海くんをボゴボコに陥れちゃうしー!」
はしゃぎながら亮達の方へ戻る塩見の後についていくと、春乃は固まったまま俺を見つめていた。
「お、どうした?春乃もUNOやる?」
「ななみくん……今から部活にいくんじゃ……」
「あーまぁバイトまでの暇潰しだったらUNOでもいいかなって」
「……そっかー」
春乃はカバンからヘッドフォンを取り出して、肩にかけた。
「わたしはもう帰るねー」
「おう、また明日な」
俺は亮達の集団に加わり、配られたカードを手に持った。
俺はなんとなしに首を回すと、帰ろうとしていた春乃を紗希が呼び止めて、何やら話している様子が見えた。
しばらく睨み合っていた二人だったが、紗希が春乃を促し、連れ立ってどこかに移動する。
俺はかなり野次馬根性を刺激されたが、面倒くささが上回り、そのまま亮達とUNOに興じたのだった。




