第一章 26 弁当箱はやっぱり分けるべきだよね
ちょい予定があるので短め更新
春乃との関係は今までと変わらず、昼休みに音楽の話をするくらいで、遊びに行ったり、デートをすることもなかった。
ただ、春乃の方から俺に話しかけることが多くなり、時折放課後の予定を聞かれることも増えていった。
俺はバイトがあるので毎回その誘いを断っていたが、春乃はそんな俺に忙しい時に誘ってごめんねーと寂しそうな笑顔を浮かべるばかりであった。
ある時、3限目の終わりに春乃が俺の制服の裾をちょいちょいと引っ張ってきた。
「どうしたん?」
「七海くん。今日も焼きそばぱん?」
「おう、そうだぜい」
「あの、もしよかったらなんだけど……」
春乃は伏し目がちに口をもごつかせながら、照れた様子で
「あのね、今日おべんとう作ってきたから七海くんも一緒にどーかなって」
そう言いながら顔を真っ赤にしていた。
「おぉ!それは嬉しいね!食べる食べる」
「初めて作ったからあんまり美味しくないかもだけど……」
「いやいや!作ってくれた事実が嬉しいもんなんよ」
「………うん、ありがとうー」
「感謝すんのは俺の方でしょ」
春乃はあ、そっかーと笑いながら次の授業の準備に戻った。
昼休み、いつものように机をくっつけ、お茶を2本買ってくる。
春乃は嬉しそうにお茶を受け取り、大きいお弁当箱を1つに小さいお弁当箱を2つ取り出した。
小さい方の弁当箱には、梅干しを乗せた白米が詰まっていて、大きい弁当箱には少し焦げ目のついた卵焼きと唐揚げが綺麗に収められていた。
「おぉ〜唐揚げ旨そうだねぇ。卵焼きも………美味そうだねぇ」
「……ちょっと焼き過ぎちゃって…………でも、YouTubeを見ながら作ったから味はそこまで変じゃないと思う………かも………」
「ほうほう。それじゃあ早速いただきますわ」
唐揚げを実食。
「………………どー…………かな?」
「うんうんうん………ほうほうほう……」
「………………」
俺は唐揚げを飲み込むと春乃にサムズアップする。
「美味い。初めてなのにしっかり味ついてるし、衣もベチャベチャし過ぎてない。十分美味いよ」
「ほんとー!よかったぁ……」
春乃は安心したように息をはいた。
「卵焼きは……っと……………こっちは…………うん、もうちょい修行が必要……かな」
「………うん、もっと頑張るよー」
「うむうむ精進したまえ」
俺は腕組みをしながら偉そうにそう言うと、春乃は楽しそうにわかりましたーと答えた。




