第一章 20 不憫な亮がいっちやん好き
ウルトラサバンナの行列に到着すると、看板の表記は40分待ちとなっていて、比較的早く乗れそうだった。
「七海くんはゆあといっしょに乗ろうね〜!」
「う〜ん断る」
「きゃー!!!即拒とかツンツンしててしびれるぅー!!」
塩見は終始俺に絡んでいる。最初は少し鬱陶しさもあったが、適当に返事をしてもチャラけてくれるので、段々と面白さが勝っていった。
亮は塩見のうざ絡みにツッコミを入れていたが、毎回スルーされることに心が折れたのか千枝さんに話かけるも、単発の返答に会話が続かず、悲しい笑みを浮かべていた。
俺はさすがに気の毒に思い、亮に話題を振る。
「お前らって割に仲いいよなー。昔からの知り合いだったりしたん?」
亮は少し目を輝かせて耳たぶを触った。
「当夜と女子3人は小学校から一緒で、俺と司が昔からの連れだな〜」
「ほぇ〜じゃあ亮と近藤はハーレムに割り込んでいったんだな〜……くそ邪魔虫じゃん、お前ら」
「ちがうよ七海くん!あんなノッポなんて一回もいいと思ったことないから!!ゆあは絶賛フリーだよ!!」
「あ、そうなんだ。どうでもいい情報ありがとう」
「あー!!これがツンデレ!!!うそ、やばい、こんなのハマっちゃうよぉ…………」
「いや、一回もデレてないだろ」
塩見の肩にペシっとツッコミをする亮。
「ていうか、塩見はなんでこんなに目がハートマークなんだ?正直ウザいんだけど」
「…………お前ほんとすげぇな。思ってても言えないよそれ……」
塩見はビシッと綺麗な挙手をした。
「はい、塩見」
「顔」
「あん?」
「顔がドストライク!以上!」
清々しい理由である。
「おーそれは原点にして真理かもな」
「でしょー!!正直顔以外割とどうでもいいもんね!」
「はは、全くだぜ!」
「最低だこの二人……」
亮はため息をつきながら終始無言の千枝さんに話を振った。
「千枝さんは学校に昔からの知り合いとかいるの?」
「……どーだろう。あんまり考えたことがないからわからない」
「……そうだよね!高校は人が多いしね!」
自分で話を始め、自分で話を終わらす。
亮にとって完全なアウェーなのだろう、それでもめげずに気を遣う姿は尊敬に値する。
「千枝さんごめんね。あまり話かけないようにキツく言っておくから許してあげてね」
「んーん大丈夫。ありがとうー」
「……………ねぇ、亮。ゆあと千枝の扱い、さすがに違い過ぎだと思わない?私も可愛い女の子だよ??」
「それ以前に俺の扱いが一番可哀想だから……」
気付くと列はかなり進んでいたようで、次に搭乗する番になっていた。
俺は千枝さんと一緒に乗れるように後ろへ下がろうとすると、塩見が俺の腕を取って係員さんカップルひとくみ!と元気よく告げた。
係員さんはにこやかに整列を促し、なんとなくタイミングを逃した俺は抵抗せず、塩見と一緒に乗ることにした。
あまり人を見ない千枝さんと目が合った。
その瞳はいつもより深い色をしていたと感じたのは、俺の錯覚だったのだろうか。
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