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音翔が私のみちしるべ

作者: 日香下 芽瑠

何となくで描き始めたものです



自分の作りたかった世界を届けられますよう頑張りますので良かったら読んでいただけると嬉しいです




『人の雑踏、会話、それらを雑音と私は呼びたい』


彼はそう言いきった。


水色の目で、白い髪を持った、少年。


おじいちゃんの骨董品屋、2人で話すその時間がとても楽しかった。

そして嬉しかった。



彼がそう言ってくれるまで

私は自分を肯定できなかったと思う





彼の、音翔(おと)の言葉が、


世界が、私を救ってくれた





















~ⅰ、とある誰かの言い訳(いいぶん)




車内に流れるドビュッシー。


僕がかけてくれと頼んだ。


街の中を黒塗りの車に乗りながらいつも()は考える。


車窓から子供連れの大人、お年寄り、犬猫、


心の声が、まるで魂かのように人や物の上に浮かんで見える気がして、僕は目を閉じた。声の色は、もちろん黒で。


これは見える気がしただけだが、

もともと別の感覚が生まれつきある。


人の心の声が聞こえる


手に触れれば鮮明に



心臓に触れれば……




それで苦労もする。



色んなものでこの世界は溢れてる。嫌いだ。

僕が言う色んなものは、

大抵が人のことを指していると気づいたのは最近のことだ。

ボソッと口に出す


「自分は大好きなくせに」

皮肉に感じて僕は笑った






「坊ちゃんなにかおっしゃいましたか?」

前から佐藤が声をかけてきた。


佐藤の声は優しい、

まるでショパンの雨だれのように。



「別に、何も…、佐藤は…僕みたいなガキを送るのに時間使って楽しい?」


「旦那様から余計な口は出すなと言われておりますゆえ…返答できかねます、申し訳ございません」


冷たい風がながれる、

実際、窓は換気のため少し空いていた。

車内はまた静かだ。


背もたれに体を預ける。


相変わらずあの人は、僕が好きなのか嫌いなのか…、いい学校に行かせて自分の跡を継いで欲しいのだろうが…。こんななにかに取り憑かれてるように見える子供なんて嫌なのだろうな。


1度父の心臓を触ったことがある。

確か、4歳の頃。

聞こえてきた音は、〔怖い〕〔自分の子供だと思えない〕〔あの女〕〔金目当てで俺と結婚しやがって〕


その時、僕は父に向かって、僕のことが嫌いなのかと聞いてしまった。泣きながら。

父の心は驚きで満ちていた。心に触らなければ僕も父のどす黒い感情には気づかなかった。

そんなことは無いと父は言った。笑顔で。今でもそれを信じたくて信じて。


今では、父は道具として僕を扱っている。



過去を思い出し、ドビュッシーの音階に耳を傾ける。

音の世界に浸るのは、僕の支え。



僕は人という概念が嫌いなのだろうか…、こんなに自分は幸せになりたいと、こえをあげたいと思っているのに、矛盾している。


もう、いい


考えたくない


声も

ことばも

だいちも

天気も





全部なくなってしまえばいい




そこまで考えて、振動で我に返る。


ガタッと体が前に進みたがる。

ブレーキの音がした。

信号が赤になる。


ここの信号を超えればやっと家だ。

制服が乱れていないかチェックする。

今日は確か、ヴァイオリンの稽古。


路肩に生えている雑草が

カサカサと僕に伝えてくる


草花や動物の声も聞こえるだなんておかしな話だ

いつもの事だけど


『あなたは楽しい?

こんな私たちの暮らしを見ているのを』



ごめんね ()はあなた達の方へ行きたい


あなた達は自由じゃないかもしれないけど

私にとっては自由なの






信号が青になった


車が進む











()()()() () ()()()()()()()()






そう呟いて…今日も私はハーモニーの中を進んでいく







これは、私がまだ僕で、勇気がなかった頃の物語。

そして、

今となっては夢だったのかもと思っている、

とある、

前世の関わる話。







年齢設定ですが凛は14歳です

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