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蔵品大樹のショートショートもあるオムニバス

寝ていた男

作者: 蔵品大樹

ちょっと奇妙でちょっと怖い……

 とあるアパートに、寝ることが生き甲斐の男、西条幸男という名の男が居た。

 西条は毎日、約10時間は寝ていた。

 ご飯はいつも、スーパーで買ってきた缶詰や、仕送りで貰ったお菓子などで耐えてきた。更に仕送りで貰ったお金がいっぱい貯まった時は出前をとっていた。 

 しかし、この日常が長く続く事は無かった。 

 ある日の事、いつも長く寝ていた西条は何故か急に起きた。理由は分からなかった。

 騒音がした訳でもなく、地震が起きた訳でも無かった。 

 怖くなった西条は、近くの総合病院へ向かった。しかし医師は

 「うむ…あなたは検査をしても脳や身体の異常はありませんでした。多分、気分が悪いだけでしょう」 

 と言われて、病院を追い出された。 

 それから、西条はアパートに帰ると、大家さんが来た。大家さんは慌てていた。西条は一体何があったか聞き、数分たった後、大家は口を開いた。

 「実は、さっき少し強い地震が起きて、アパートが少し崩れちゃって他の部屋は無事だったんだけど、あなたの部屋が崩れてしまって…」 

 と不安になりながら言っていた。 

 結局、今日は大家さんの部屋で寝る事になった。

 昔、西条が中学生だった頃、西条はいつも授業中にいつも寝ていた。後にナルコレプシーが発覚したが、本人が気づかなかった為いつも、スリープ西条というあだ名でいじめられていた。

 この当時の西条は精神が弱く、入学して5ヶ月で不登校となった。

 しかし、西条は何故か不登校になり1日でナルコレプシーの症状がなくなったが変わりに1日に2、3度寝するようになった。 

 それから1年、西条は心を変え、不登校を辞めた。中学校、高校は授業中は睡眠を我慢した。

 そして、18歳になった西条は、とある会社に就職した。しかし会社に就職したあと、恐らく学校で寝なかった代償だろうか、デスクワークをしている途中に眠ってしまったのである。 

 勿論、上司には叱られ、同僚には馬鹿にされた。 

 それから、就職して2ヶ月、西条は遂に解雇されてしまった。解雇と決まったその日は、暴飲暴食をし、恐らく寝落ちしたのだろう、すぐに寝てしまった。

 寝てから数分経ち西条は、夢の中で目覚めた。当初、西条は唐突に起こったことに焦りを隠せなかったが、数秒経ってから少しだけ慣れた。 

 すると、

 「おうい…おうい…」

 と、声を掛けられた。勿論、西条は驚いた。無論、唐突に声掛けられたら誰だって驚く。

 そして、今の様な言葉が何回もループした。そして、急にループが終わったと思うと、何故か、目の前に自分と見た目が完全に同じ人間らしき生物がいた。

 そして、生物は話始めた。 

 「フフフ…ワタシは、お前と一緒の生物だ。名前は…確か…そうだ!思い出した!西条幸男、お前自身だ!」

 と、生物は西条にそう言った。更に生物は、話を続けた。

 「西条…今から貴様に明日から必ずする事を話す。それは、たった1つ…そう……一日10時間以上寝ることだ」

 と、西条に言い渡した。勿論西条は驚いた。そして何故それをしなくちゃならないのかを聞いた。そして生物は答えた。

 「フフフ…何故かって?フフ…理由は…答えたくありませんが、まぁ…明日一日寝なかったら理由が分かる」

 と、生物がそう答えた後、何故か西条は目覚めたのであった。 

 そして西条は、夢で言われた通り一日睡眠を取らなかった。それから21時頃になると、10分置きに受けたことの無い痛みが西条を襲った。そして23時59分59秒、西条は急な睡魔に襲われた。

 そして、西条はまた夢の中で目覚めた。そして、生物が西条の前に現れた。 

 「フフフ…どうでしたか?寝なかった結果は?」

 西条は、生物に21時以降痛みを感じた事を話した。すると、生物は西条にこう話した。

 「実は、あなたに長く寝ないと、痛みを出す呪いをかけました。まぁ、要するに…10時間以上の睡眠が痛み止めのような役割を果たしている」

 と、生物は西条に話した。

 勿論、西条は怒った。何故、そういう呪いをかけたのか、生物に問いただした。すると生物はこう答えた。

 「最近、呪いをかける人間が多くなってさぁ、呪いのレパートリーが少なくて…この前、新しく呪いを1つ作ったんだが…どう使えば良いのか分からなくて…まぁ要するに、試しにその呪いをあなたにかけた…というワケさ」

 西条は、生物の話に納得せず、どうやったらこの呪いを解除出来るのか生物に質問した。すると生物は数秒黙った後質問に答えた。

 「そうだなぁ…そうだ!18年間耐える事が出来たらこの呪いを解除しよう!」

 この言葉を聞いた後、西条は起きた。

 そして、西条は18年間耐えた。最初は数時間しか眠れず、いつも寝ては起きて寝ては起きての繰り返しだったが、1年耐えた後、西条は深夜1時を朝だと思い込み、17時から24時まで普通の夜だと思い込んだ。最初は達成出来なかったがどんどんと慣れていき現在までこの行動を起こした。

 時は、今へと戻る。

 西条は、大家さんの部屋で寝ていた。寝ていた日は、生物が西条に呪いをかけた日であった。 

 西条は、夢の中で目覚めた。18年前のあの日の様に…

 すると、生物が西条の前に現れた。生物は西条に話しかける。

 「よく頑張った。18年、よく耐えてくれた」

 西条は喜んだ。こんなに物凄く喜んだのは後でも先でも今日だけであろう。

 しかし、生物は喜んだ表情では無かった。そして、生物は話を続けた。

 「何故、あなたは後1時間の所で目覚めたのか…説明しましょう」

 と、生物は語り始めた。

 「この日の夕方に少々強い地震があった。そして、あなたの部屋は今にも崩れそうだった…なのであなたの脳に『起きる』という命令を出した。呪いもあなたが起きた時に解除しました」

 と、生物は淡々と話した。西条はこの話を聞いた後、達成感が沸かなくなった。そう、西条は思った。(これは、俺が望んだ物じゃない…)と、落ちこぼれていた。すると、生物が口を開いた。

 「では、18年耐えた褒美に、願いを1つ叶えましょう」

 その言葉を聞いた瞬間、西条は願いを言った。それは…

 「あの呪いを1日延長して欲しい」

 だった。

 生物は、驚きながら西条に言葉を返した。

 「本当に、その願いで良いのですか?」

 西条は顔を縦に振った。生物はまたもや驚いた。生物は呆れた様子で答えた。

 「それでは、呪いを1日分延長します」

 その言葉を最後に西条は起きた。気が付いたら、時計は、6時になろうとしていた。

 西条は、時計を見たあと、早く用紙にメッセージを書き、すぐに布団に乗り、すぐに寝た。

 大家さんが西条を起こし来たが、西条は起きる様子では無かった。しかし隣のテーブルには、とある事が書かれた小さなメモ用紙があった。メモ用紙にはこう書かれていた。

 「17時まで起こさないで下さい」

奇妙な世界を読んでくれてありがとうございました。

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