魔剣のストレス発散方法
「レミさん酷いですよ〜! 私もっとかっこいい名前が良かったんですけど! それか可愛いやつ!」
レミは名前に文句を言う魔剣と共にギルドで休憩をしていた。
ハルが用意してくれたお茶を飲みながらのんびりとクッキーを食べる。
「ちょっとー聞いてますかー? 私の名前なんでノイズなんですかー! そんなにうるさいですか私! こんなにもレミさんに尽くしてるのにー」
ブツブツと不満を言う魔剣ノイズ。
そんな魔剣のことなどどうでもいい様子のレミ。
そんな2人? の元にクロネがやってきた。
「レミ、少し頼みたいことがあるんだけど……このクエスト手伝ってくれない?」
クッキーをくわえながら渡されたクエストを見るレミ。
「えー! なんでクロネさんの話は聞くのに私の話は聞かないんですかー! 酷いですよ! レミさん!」
「……うるさい」
「そんなー! 少しは構ってくださいよー!」
魔剣の悲痛な訴えも無視してクエストを眺めるレミ。
クエスト内容は村の近くに普段は出ないアンデットが出たので倒して欲しいと言う内容だった。
特に難しい内容でもなさそうだし1人で言った方がいいんじゃないかと首をかしげるレミの心情を察したクロネが答える。
「このクエスト難易度はそんなに高くないんだけど私のデザイア武器と相性が悪くてさ……私の武器睡眠の魔弓は矢を当てた対象を眠らせることができるんだけどアンデットって眠らないから聞かないんだよね……」
ため息混じりにそう言うクロネ。
「まぁアンデットは死んでますからどう頑張っても寝ませんからねー確かにクロネさんの武器だと不利ですねー! まぁ私なら余裕ですが!」
クロネの武器を煽ってストレス解消をする魔剣に対してため息をつくレミ。
「まぁそう言うことだから手伝ってよ、報酬はちゃんと半分に分けるからさ!」
正直今日はクエストを受けずにのんびり散歩でもしようかと思っていたレミは少し考え込む。
「もちろんいいですよー! 不名誉な名前をつけられた上に少しうるさくなると言う効果をつけられた悲劇のヒロインである魔剣ちゃんがかっこよく活躍して憂さ晴らししますよー!」
正直このうるささが治る効果が良かったと思うレミはさらにため息をつく。
「本当か! それはありがたい! それじゃあ早速クエストに出発しますか!」
そんな中勝手にクエストに行くことが決まりもう一度ため息をつくレミはめんどくさそうにクエストの用意をするのだった。
「それにしても不思議ですねーこの村の付近はアンデットが湧かないからどこかからアンデットを召喚したってことになりますけどーこの土地自体がアンデットと相性が悪いので普通の召喚魔法じゃ召喚できないはずなんですけどねー」
「そうだよね、ハルさんにも聞いたけどこの辺りでアンデットを見たことなんて一度もないって言ってたんだけどね」
アンデットがいる場所に向かう途中そんな話をする2人。
まだリリースして2日目なのにこの辺で湧かないアンデットと戦ったことがある様子のクロネに対して不思議そうに考え込むレミ。
「それにしても凄いですねーまだリリースして2日目なのにどこでアンデットの情報をゲットしたんですかー?」
レミにいいところを見せようとレミが疑問に思ったことを聞く魔剣。
「あーそれね! 私3日前から夏休みだから昨日は1日中このゲームしてたんだー! だからアンデットの出るクエストもやってたんだよー」
と自慢気に話すクロネ。
「へぇー暇なんですねーそういえばクロネさん基本1人でクエスト受けてますけど友達と一緒に行ったりはしないんですかー?」
「と、友達はそのーあれよ! ちょっと忙してく時間が合わないから私1人で回ってるのよ」
「一日中やってるのに時間合わないっておかしくないですかー? なんか嘘っぽいですねー……は! まさか友達いない系の人ですかー……ドンマイです!」
「ち、違うから! たまたま予定が合わないだけだから! 友達いるから!」
「そうなんですか? でもギルドでもレミさんとハルさんとしか話してないようなー? は!まさかコミュ障!」
「違うから! コミュ障じゃないからー! というかなんで後輩の武器に煽られなきゃいけないのー!」
「いいじゃないですかー! 私のストレス発散に付き合ってくださいよー」
「嫌ー!」
魔剣のストレス発散に付き合わされるクロネ。
そんなクロネと魔剣を無視してレミはアンデットのもとに向かうのだった。
「なんで私の名前ノイズなんですか……全然構ってくれませんしいくら寛大な心を持つ魔剣ちゃんも流石に怒りますよー!」
そんな魔剣の愚痴も無視するレミに対して魔剣も少しストレスが溜まっているようだ。
「まぁ別にいいですよーだ! 私は勝手にストレス発散しますからねーだ!」
迷惑な魔剣だなーとまるで人ごとのような態度をとるレミなのだった。