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罪との再会

 近未来チックな扉が開き工場へと足を踏み入れた壊田。

 工場の内部には人間はおらずロボットが忙しなく作業をしているようだ。

 何を作っているのかはわからないが運ばれていく部品の中には武器のような物が確認できる。

 しかしそんなものなどどうでもいいと言うように壊田は目の前を堂々と進んでいく男をじっと睨む。


「ハハハ! そんなに睨まないでくれたまえ! 睨んだところでなにも変わらないのだから」


「チッ……」


「そんなことよりも見てくれたまえ! このロボット達を!」


 夢野が手を広げて自慢気にロボットを見せる。

 壊田は嫌そうにするものの後ろにいるロボットに無理矢理見るように動かされる。

 最初こそ興味がなかった壊田だがよくよくロボットを見るとその行動に目を丸くしていった。


「どうなってんだ……」


 初めのうちはプログラムされある程度決まった動きをしているように見えたロボットだがどうやらそうではないようだ。

 時折部品を落として他のロボットに叱られていたり何かの言語で会話をしたりとまるで人のように不規則に動いている。


「ハハハ! その反応が見れただけでもいい収穫になったよ! このロボット達はSDO内のNPCのコピーAIを搭載しているのさ……無論彼らは自分たちのことをロボットだと認識していないしここがSDOの中だと思い込んでいるようだがね」


「なんのためにそんなことを」


「ふむ……一応ここはAIの実験施設ということになっているからその実験のためといったところかな? まぁ私は彼らに肉体と仕事を与えただけだが」


 ハッタリの可能性も考えたが時折ロボットに夢野が手を振るとロボット側も張り返したりお辞儀をしたりと様々な反応を返す姿を見て思い直す。

 しばらくロボット達を見ながら進んでいくとふと夢野が立ち止まった。


「さてここだ」


 工場の奥に進むと一台のエレベーターにたどり着いた。

 夢野薫が手元のモニターを数回タップするとゆっくりとエレベーターの扉が開きそれと同時にロボットによって壊田はエレベーターの中に押し込まれた。


「ここからは君と私だけで向かうとしよう」


 エレベーターの扉が閉められゆっくりと下に降りていく。


「ずいぶん不用心だな? もし俺が凶器の類を持ってたらおしまいだぜ?」


 そう言っていつ手に入れたのかポケットから拳銃を取り出し夢野に突きつける壊田だが夢野は特に動じない。


「ハハ! 面白い……だが」


 夢野がモニターを壊田に見せる。

 モニターには工場の前でロボットに囲まれた灯花と警官の姿が映されていた。


「チッ……アイツら追ってきてたのか」


「ハハハ! そのおもちゃは持っていて貰って構わないが賢い選択をする様にと忠告だけさせて貰おう」


「チッ……」


 壊田が拳銃を仕舞う。

 しばらく沈黙が続いた後エレベーターが止まった。


「ハハハ! さあよく見るといい……君が追いかけてきたものを!」


 ゆっくりとエレベーターの扉が開くとその奥には……


「これは…………」


 半透明のケースに入れられいくつものコードを繋がれた四季の姿があった。

 ここにあるのは救うべきものと救えなかった者……そして……


「レミさん! レミさん! しっかりしてください!」


 壊田が四季を見つけた頃、反転によって視界を確保したレミは目の前のものから目を離せすことが出来ず身動きを取れずにいた。

 魔剣の声も届かない上に周りをバグった魔物によって囲まれているにも関わらずレミは力が抜けたように地面に座り込みついには魔剣を握ることすらも出来なくなる。


「レミさん! いくら私でもレミさん自身が戦う意思をなくしたら戦えませんよ! あの像がどう言ったものかは分かりませんけど今はここから脱出しないと!」


「でも……アレは!」


 もしも目の前のものがレミの苦手な違う何かなら逃げる事はできただろう、もしもここにいるのがレミではなかったのなら目の前の像は何の意味も示さないだろう。

 だがレミにとってその像は避けることが出来ない致命傷となる。


「レミさん!」


 無理矢理レミに自身を握らせ出口に向かって引っ張ろうとする魔剣だがレミは全く動けず震えた声を漏らすことしか出来ない。

 魔剣の方もいつもは覗くことのできるレミの心が完全に閉ざされ見えないことに動揺して冷静に打開策を考えることができず闇雲に足掻くことしかできずにいた。


「アレは……あの子は…………」


 目の前の少女の像と記憶の中の景色が重なる。

 夕焼けが差し込む屋上に立つ少女が笑顔で手招きをする度に当たりが暗くなっていく。

 ここにあるのは罪科と罪人逃れることなど出来はしない。

 脳内に黒い笛の旋律がこだまする。


「これは……レミさん! ダメです! このままじゃまた意識が引っ張り込まれて……」


 魔剣の声が遠ざかっていく。

 魔剣に縋るように引きずられながら攻撃を回避するもののレミが攻撃を避けたことによって少女像に攻撃が当たり砕け散った。


 次の瞬間、レミの意識は闇に沈んだ。

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