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扉の先

「全くレミはどこに行ったんだにゃー……」


 ギルドから逃走したレミを追いかけミケ達はハクムの村の北側に位置するムソウの村に来ていた。

 ムソウの村は鉱山近くに位置する村で鉱山で取れる特殊な金属を利用した武器や防具の生産が盛んな村だ。


「ハルさん達の目撃情報と私の協力者の調べからしてこの辺りに来ているのは間違い無いと思うんですけどね〜……見当たりませんね〜」


「協力者なんていつ雇ったのよ……」


「結構前からですよ〜情報は武器ですからね〜常日頃から集めておかないと……いつ中立派の方々と敵対することになるかわかりませんからねー」


 しれっと怖いことを言いながら相変わらずの笑みを浮かべるRはそのままミケ達と別れ聞き込みに向かった。


「相変わらず胡散臭いし目的がわからないやつね……」


「で、でもいい人だとは思いますよ……多分」


「そう? 私にはそうは見えないんだけど……ミケはどう思う?」


「みゃーは特になんとも思わないにゃー」


 普段と変わらない笑みを浮かべるミケだがその目は心なしかいつもより暗く冷たい印象を受ける。


「そう……とりあえず私も聞き込みしてくるわ」


「わ、私も一緒に行きます!」


 何かを感じ取ったのかクロネが足早にミケの元を離れると慌ててベルがその後に続く。


「……聞き込みいくかにゃ〜」


 ミケ達が聞き込みを始めたのとほぼ同時刻。


「…………」


「…………」


「……………….」


「………………」


「……………………」


「……いつまで様子見してるんですか……」


「すまん……」


 もう目と鼻の先にある目的地になかなか入らずチラチラと様子を見ることしかできていない髭面の中年ぐらいの男に嫌気がさし声をかける中学生ぐらいの少女。

 側から見れば家族もしくは親戚のように見える2人はかれこれ30分ほどここに突っ立っている。


「これじゃ完全に不審者」


「確かにそうだな……だが……」


「もういい」


「おい! ちょっとまて!」


 いつまで経っても動く気配のない髭面の男に嫌気がさしたのか少女はスタスタと先に進む。

 そんな少女を後ろから追いかける髭面の男……側から見れば完全に……


「なにしてるんですか! こんなところで!」


 突然の大声に少女が振り返ると困ったような顔をする髭面の男が警察に問い詰められていた。

 流石に助けないとまずいと思い誤解を解こうと少女が近づく。


「違うその人は」


「久しぶりですね! 壊田(かいだ)先輩!」


「なんでお前がここにいるんだよ……」


「……知り合い?」


「ああ……一応知り合いだ」


「一応ってなんですかー! 一緒に張り込みとかした仲じゃないですか!」


 異様にテンションの高い警察官から隠れるように壊田と呼ばれた髭面の男の背後に隠れ少女。

 この手のタイプは苦手なようだ。


「それにしても先輩にお子さんが居たなんてびっくりですよ! 確か辞める前は独身だったはずですけどいつ結婚したんですか?」


「してねーよ! こいつはえっと……」


「……なんか怪しいですね……最近この辺りで不審者が出ると報告もありますしまさか……」


「いやいやいや! 違うぞ! 俺じゃない!」


「犯人は大抵そう言うんですよね〜ますます怪しい……」


 2人の関係を素直に話したところで信じてもらえるとは思っていないのか言い訳が致命的に下手な髭面の男の情けない姿をジト目で見る少女はため息を吐く。


「こ……この人は親戚のおじさん……」


「ん? 親戚のおじさん?」


「お、おーちょっと親戚の子を預かっててな! 今日は少し遠くに遊びに行こうと思って連れてきたんだよ」


「あーそうでしたかーそれは失礼しました! 壊田先輩と……えっと……」


「とうか……孤爪灯花こづめとうか


 人見知りなのか小さな声で名乗ると少女は再び壊田の後ろに隠れる。


「灯花ちゃんか! いい名前だね! しかし先輩いくらなんでも中学生を児童養護施設に連れてくるのはセンスがなさすぎませんか……そんなんだからその歳まで結婚できなかったんじゃ?」


「余計なお世話だ! それよりさっき言ってた不審者ってのは?」


 これ以上突っ込まれるとボロが出そうな予感がした壊田が話題を変える。


「はい、どうも最近この施設の周りで二十代ぐらいの探偵を名乗る怪しい人物の目撃証言が複数あったんですよー」


「ほーそれでここをパトロールしてたってことか」


「あーいえ私はそれとは別件でこの施設に来たところを先輩に偶然会っただけです」


「別件? この施設で何かあったのか?」


「どうやら」


「これはこれは……懐かしい声が聞こえると思ったら壊田さん……お久しぶりですね」


 警官の声を遮って児童養護施設の方から1人の老婆が声をかけてきた。

 優しそうな雰囲気の老婆がゆったりと歩いてくる。


「あー……久しぶりだな久保田さん……」


「どうもこんにちは久保田さん」


「警察の方も来ていただいてありがとうございます……ここではなんですので中の方へどうぞ」


 老婆と警察官の後を追いながら施設の方に足を進める壊田と灯花。


「……あの人も知り合い?」


「……ああ……この児童養護施設の施設長だ」


「…………」


 少しだけ居心地が悪そうにしながらも決心を固めたのかしっかりとした足取りで前へ進む壊田とその後に続く灯花。

 施設の中はそれなりに広く何人かの子供が遊んでいるのが見えた。

 さらに奥に進み応接室と思われるところに入る。


「どうぞこちらにおかけ下さい」


「それでは早速ですが状況の確認を……って何先輩自然な流れで入ってきてるんですか! 元警察官とはいえ流石にダメですよ!」


「おおーすまん! 確かにそれはそうだな、灯花席外すぞ」


「いえ……おそらく壊田さんがきた目的とも関係がありますのでこのままで大丈夫ですよ」


「いや〜流石に施設長さんの許可があっても厳しい…………はぁわかりました」


 元警察官とはいえ今は一般人の壊田に事件にかかわる情報を流すわけにはいけないのだが施設長の圧力に屈し話し出す警察官。


「この部屋には私と施設長しかいなかった……そう言うことで良いですね?」


「ええもちろん……この部屋には私とあなたしかいませんよ」


「相変わらず恐ろしい人だよ全く……」


「何か雑音が聞こえましたね?」


「…………」


「……怖い」


「ふふ」


 先程までの優しそうな雰囲気が消えた老婆にひと睨みされ口を閉じる壊田と苦笑いを浮かべる警察官。


「コホン……それでは早速状況の確認から……1週間ほど前この施設で暮らす丸井四季さんが行方不明になった件について」


「!!」


「どうしたんですか先輩!?」


 突然立ち上がる壊田に驚く警察官と灯花が目を向ける。

 警察官に答えることなくしばらく無言で施設長と目線を交わすも施設長は特に何も言わず壊田も諦めたように席についた。


「……すまん取り乱した……続けてくれ」


「なんなんですかもう……」


「丸井四季さんって言うのが……」


「…………」


 特に何も答えない壊田の意図を察してそれ以上は何も言わない灯花、そんな2人を見て少しだけ微笑む施設長が口を開く。


「えっと何が何やらって感じなんですが……とりあえず話を続けるとその行方不明事件に関して話したいことがあると聞いたので今日はお伺いしました」


「はい、行方不明になった丸井四季さんから手紙が届きましたので今日はそれを見ていただこうと思いまして……こちらです」


 封筒から取り出された一枚の手紙が机の上に広げられる。

 そこに書かれていたのは自分は大丈夫だから探さないでほしいと言うこと、そして……


「壊田先輩これって……」


「チッ」


「…………」


「……SDO計画?」


 壊田達が一つ目標に近づいた頃、レミを探す為わかれて聞き込みを行っていたミケ達もまたレミに近づいていた。


「まぁ村の中を通るとは思ってませんけど流石に目撃情報が無さすぎますねー……流石喋る魔剣とでも言うべきでしょうかねー」


「そうね……こういう時あの魔剣の悪知恵は厄介なのよね……」


「す、すみませんミケさんお役に立てず……」


「まぁこうなるとは思ってたしにゃーこっちも目撃情報はなかったけどレミを見つける算段はついたにゃー」


 何か案がある様子のミケに続き歩いていくと小さな武器屋にたどり着いた。


「ここにゃー」


「ここの雰囲気…………」


「ここ? ただの武器屋に見えるけど……」


「そうですねー特に変わったところもなさそうですし普通の武器屋ですね〜こんなところで何をするつもりですかー?」


「ま、とりあえず入ってみるにゃー」


「……いらっしゃい」


 増える歯車と共に物語は加速していく。

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