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青塗りつぶす光

「うわ〜派手にやりおるの〜」


 レミが船を反転させる一部始終を見ていた魔王は呆れたように言う。

 砲弾を防ぐので精一杯だったクロネが敵船の方を確認すると満足気に伸びをするレミの姿が見える。


「無茶苦茶ね……どうやって宝物を回収するつもりなのか問い詰めたいんだけど」


 当初の目的である宝物の強奪のことなど何一つ考えていないのがわかるレミの行動に静かに怒りの炎を燃やすクロネ。

 既にいくつか光るものが敵船の周りに散らばっているのが見てとれる。


「まぁ勝ったから別にいいじゃろ! それよりあの魔剣使い……戻る手段用意してなさそうじゃな……」


 一向に戻ってくる様子のないレミがとうとう船底で寝っ転がりだしたのを見てため息をこぼす魔王とクロネ。


「あんなのに負けたの……」


「はぁ……なんかもう色々どうでもよくなってきたんじゃが……とりあえずトーカ、あやつを迎えに行くのじゃ……」


「……了解」  


 嫌そうな様子のトーカは船を旋回させてレミのいる方に向けて進ませ始めた。


「それにしても呆気なかっかの〜海に沈んだぐらいでやられるなんて情けない奴らじゃな〜」


「……下には魔物がいる……水の中で不自由な状態なら対応は困難」


 トーカの言う様に敵船の周りに散らばった宝に群がる様に魔物が蠢いているのが見える。


「あの中に落ちるとか……考えるだけでも地獄ね……」


 真横をクロネ達の船が通っても一切気にする様子なく宝物に夢中な魔物。

 プログラムされた動きとはいえその異常なまでの執着に恐怖を覚えるほどだ。


「あー! やっと来ましたね〜! 全く遅いですよーレミさんが待ちくたびれて寝ちゃうところでしたよ〜!」


「ほんと好き勝手言うわね……」


「自分勝手は妾のためにある言葉だと思っておったが……これには勝てる気がせんの……」


 船を横につけレミのいる船底に向かって降り立つ魔王とクロネは周りにいる異常な魔物とはまた別ベクトルでおかしい魔剣とレミを回収した。


「いや〜レミさんとこの最強無敵の魔剣ちゃんにかかれば余裕のよっちゃんですね〜この調子でどんどん海賊狩りしていずれ最強の剣豪にでもなっちゃいます〜?」


「いや能力使っとる時点で剣の要素関係ないと思うんじゃが……」


「うるさいですね〜その辺はノリと勢いで誤魔化せばいいんです〜! ね〜レミさーん! ……あれ?」


 魔王の正論に対して文句を言っていた魔剣だったがレミが船底に耳をペタッとくっつけているのに気づき喋るのをやめた。


「ん? どうしたのじゃ? 何か聞こえるのかの?」


「……まずい」


 レミが言うのとほぼ同時に何かに気づいたのか魔王が迎撃体制を整える。


「え? どうしたのよ?」


「説明は後じゃ! トーカ!」


「……了解!」


 魔王に呼ばれすぐさま船を敵船から遠ざけようとするが発光した船の一部がまるで生き物のようにうねるとクロネ達の船にまとわりつき始めた。

 がっしりと掴まれた船がメキメキと嫌な音を出す。


「何がどうなってるのよ!」


「ふむ……どうやらあやつら少しはやるようじゃな〜」


「……めんどくさい」


 少しずつ発光が収まり始めた船の方をレミ達が見つめていると中から人影が出てきた。


「はぁはぁ……死ぬかと思いましたわ……その能力使えるならもっと早く使って欲しいですわ……」


「すまんすまんちょっとどんな形にするか悩んじまってなー」


「造形なんて気にしてる場合ではないですわ!」


「あはは〜私はスリルがあって楽しかったよ〜」


「おーそうか? それならもう少し造形に拘っても」


「よくないですわ!」


 出てくるなり何やらからかわれている黄金衣装の少女を呆然と見上げるクロネ達。


「何やってるんですかあの人達? 漫才師か何かですかねー?」


「違いますわ!」


「え? 違うの? ずっとお嬢は漫才師なんだと思ってたんだが」


「全然違いますわ! そんな事よりそこの獣人のあなた! さっきはよくもやってくれましたわね!」


 レミの事を睨みつける少女は次の瞬間何も持っていなかった手に剣を握り構えていた。

 一瞬で現れた剣に思わず目を見開いて驚いた様子のレミは咄嗟に魔剣を構えると同時に後ろに向かって吹き飛ばされた。


「レミ!」


 少しよろけながら立ち上がってきたレミに手を貸しつつクロネが少女を睨む。


「いきなりでびっくりしましたよ〜あの剣……相当面倒な代物ですね〜」


 品定めをするように剣を眺める魔剣はめんどくさそうにため息をつく。

 いつのまにか船の錨を下ろし終えたトーカも武器を構えて戦闘の準備をしていた。


「おーなかなかいい斬撃だったぜお嬢!」


「ぶーぶー抜け駆けはずるいよ〜」


「お二人とも集中しなさい! 今度はそう簡単にやられませんわよ!」


「おっけーやられっぱなしも癪だからな!」


「やった〜私あの船操縦してる子と吸血鬼の子貰うね〜」


「じゃあ俺は魔王様の相手でもしますかねー」


「わかりましたわ……それじゃあ第二ラウンドと行きますわよ!」


 レミ達の目に映る青い空は次の瞬間、眩いばかりの光によって塗りつぶされた。

今月から1ヶ月二話更新を再開します


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