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救い

「まったく散々な目にあったぜ……」


 突然始まった食事会が終わったものの相変わらず騒がしい魔王達を置いてブレイクはRから聞いた静かに釣りのできる島に向かっていた。


「確かこの辺りで唯一蓮の花みたいなのが咲いてる島だからすぐにわかるとか言ってたが……あれか?」


 しばらく海を進んでいると島の内側に蓮の花が咲き乱れている島があった。

 まるでお皿のような形をした島の内側は一本の道を除いて全て湖のような状態になっておりその一面を蓮の花が埋めているようだ。


「こりゃまたよくわかんねー島だな……」


 明らかに他の島とは違う異質な島、心なしか神々しさも感じる。

 島に一つだけある船着場には船は止まっておらず人の気配も全くしない。

 そんな島に早速船を止め上陸したブレイクは一通りの釣り道具を持って一本道を進んでいく。


「アイツが言ってた島だから嫌な予感はしたが……特に何もないな……魔物もいないし静かだな……」


 正直あのRのことなので釣り場を紹介すると言って面倒な魔物がいる島でも紹介して討伐を押し付けてくると思っていたブレイクは予想外の展開に少し驚いていた。


「それにしても凄い光景だな……」


 見渡す限りの蓮の花に感嘆の声を漏らしつつ道を進んでいくと屋根付きの休憩所のような場所が見えてきた。

 いくつかの貸し道具や自販機、そして椅子だけがある小さな休憩所のすぐ先には島の端っこが見えている。

 釣りスポットの印も出ているのでRの言っていた静かに釣りのできる島はここで間違いないようだ。


「……ん?あれは……」


 ブレイクが休憩所の近くに来ると先ほどまでは死角となっていた場所に誰かがいるのが見えた。

 三毛猫のような耳と鉤爪の用な武器をつけて釣りをしている姿はどこか浮いているような気もする。


「……Rの野郎こいつと合わせるのが目的か?」


 直感的にまともな奴じゃないと判断したのかブレイクはため息をつきながらゆっくりと休憩所に近づいていく。

 獣人の少女は釣りに集中しているのか休憩所に近づいていくブレイクに気付いていないようだがもし第三者がこの様子を見ていたのなら完全に通報案件だっただろう。


「……R……運営に通報するか? それともここで撃ち殺すか?」


「どっちもやめてくださいよ〜あなたを呼んだのはあくまでも監視の為であってブレイクさんを殺したり通報するためじゃないんですからーいくら戦争イベントでの一件があるからって勝手な行動はダメですよー?」


 スナイパーライフル型のデザイアウェポンのスコープを覗き込みながら今にも引き金を引きそうな仲間を止めながらRは休憩所に仕込んだ盗聴器の音声を聞いていた。


「しかし……」


「今回はただの情報収集ですしブレイクさんはああいう少女を襲うことは100%あり得ませんから大丈夫ですって〜万が一何かあれば私から指示を出しますから」


 獣人の少女を心配するような素振りを見せる仲間を安心させるように言うとRは楽しそうに笑う。


「……わかった……お前にも考えがあってのことだろうし、指示が出るまでは手は出さない……」


「ええそれでお願いしますねー……今回はあの2人だけを接触させる依頼ですからなるべく外部からの干渉は切っておきたいですからねー」


「……また依頼か」


 少しだけ嫌そうな顔を見せた仲間にいつも通りの笑みで答えるとRはブレイク達のいる島の方を見つめた。


「……誰にゃ? ここには人がほとんど来ないって聞いたんだけどにゃー?」


「それはこっちが聞きてーよ……てかなんだその語尾……キャラ付けにしてもキツい気がするんだが……」


「初対面でいきなりタブーに触れるとはいい度胸してるにゃー?」


「え?」


「とりあえずぶっ飛ばしてから謝罪は聞いてやるにゃー!」


「いやいやちょっと待て! 確かに俺も悪かったけどいきなり戦闘は違うだろ!」


「問答無用にゃー! 謝罪は地獄でするんだにゃー!」


「何でこうなるんだよ! これなら魔王の相手をしてる方がマシじゃねーか!」


 それは仕組まれた邂逅、片やルールを嫌った悪魔、片や常識を嫌った獣人。

 在り方は違えどその本質は同じものである。

 そしてその役割も。


 その欲望は絶望を砕く救済の光。

年末の休みに入ったので更新再開。

次回は31日予定

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