夏には水着が必要不可欠
ハルから一通りイベントの説明を受けたレミはイベントに必要なアイテムを買いに向かっていた。
どうやら今回のイベントは水着を着ないと参加できないらしく水着を買いに行かないといけないようだ。
水着などの夏限定アイテムはイベントに合わせて海の家に変化した鍛冶屋で売ってるらしく鍛冶屋のプレイヤーが各々で作ってるらしい。
今回の夏イベントのアイテムはほとんど鍛冶屋と服屋のプレイヤーやNPCの手作り品のため前回とは違い生産職が優遇されてるイベントのようだ。
「おお〜レミさん見てくださいよー! ベルさんも水着出してるみたいですよー!」
ハルから貰ったガイドブックを熱心に読んでいた魔剣が剣先でベルの水着を指し示している。
ベルの水着は露出控えめで落ち着いた雰囲気の水着のようだ。
よく見ると端っこの方にベルのマークがつけられている。
「なかなかいい感じのデザインですけどレミさんはもうちょっと派手なのほうがいいと思いますよー!」
またくだらないことを言っている魔剣は放って置きつつガイドブックに視線を落とす。
今回のイベントはどうやらポイントを集めるタイプのイベントで水着を着た状態で遊んだり海にあるダンジョンに入ったりするだけでポイントが溜まっていきそのポイントをアイテムと交換するようだ。
ポイント交換の一覧には水鉄砲やビーチボールなどのおもちゃから船や潜水セットなど実用性のあるものまで多数あり何を交換するか悩みそうだ。
「今調べた情報によるとポイント交換対象アイテムは必要なポイントが多いものには特殊効果がついてるみたいですねー! さっき掲示板の方でクロネさんが自慢してましたよー!」
イベントが始まったのは昨日らしいけど流石に早すぎない?
もし会ったら魔剣に煽られそう……
「ふふふ〜今のうちにしっかり準備しておきますかねー!」
いつも通りの魔剣の思考にため息をつきつつ歩いているうちに鍛冶屋改め海の家にたどり着いた。
「い、いらっしゃいませ〜!……やっぱり大きな声を出すのは緊張します……」
中からは緊張した様子のベルが挨拶の練習をしているのが聞こえてくる。
普段ベルがやっている鍛冶屋はあまり人が来ないため緊張しているのだろう。
「あ! レ、レミちゃん! ミケちゃんから聞いたけどもう体調は大丈夫?」
心配そうにするベルに頷きで答えるとベルは安心したように胸を撫で下ろした。
店の中を見ると何人かのプレイヤーがそれぞれ商品を売っている。
水着もそうだが水鉄砲や独特なデザインのビーチボールなど鍛冶屋が作るものかどうか疑問に思うようなものも置いてある……まぁそれを言ったら水着も鍛冶屋が作るようなものではない気がするけど……
「もしかして水着を買いに来たんですか?」
「そうですよー! レミさんに似合うとびっきりの水着を買いに来たんですよー! どうですかレミさん! あっちのかなりセクシーなやつとかいいと思うんですけど……あれ? レミさん私をテーブルの下に置いてどこへ……レミさん! レミさーん!」
うるさい魔剣に嫌気がさしたのかレミは魔剣を机の下に置くと水着を見始めた。
机の下でうるさく呼びかける魔剣の事はいつも通り無視しつつ気になったものを手に取るレミ。
しかしあまり乗り気でないのもあってなかなか決まらないようだ。
「あ、あのー……れ、レミさんが良ければなんですけど……これ」
「……これ」
「れ、レミさんが戻ってきたら渡そうと思って作っておいたんですけど……ど、どうですか?」
ベルがレミに渡してきたの袋にはレミと書かれてた紙が貼られ中には水色の露出控えめの落ち着いた水着が入っていた。
「……ありがとう」
レミは気に入ったのか笑みを浮かべると奥の更衣室に入り水着を着る。
「……どう?」
少し照れたような笑みを浮かべつつその場で一回転してみるレミ。
「かわいいです! よかったー!」
自分が作った水着を気に入ってもらえて安心したのか緊張から一気に解き放たれ溶けるように机に突っ伏すベル。
「え! レミさんの水着どうなったんですかー! 早く見たいんですけどー! レミさん早く出してくださーい!」
そんな魔剣の声も聞こえない程穏やかな時間が流れる海の家は平和そのものだった……ただ一つ
「海辺の女王のお通りだぞ! 道を開けろー!」
一つの嵐が迫っているのを除いては……




