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魔王軍の助っ人

「あなたの実力は認めるわ……」


 しばらく休憩して復活したレミによって元の体に戻った赤毛の女剣士。

 幹部達はさっきのことに触れないように気を配っているのか余計に空気が悪くなっている。


「でも面白かったですね!Fさんがあそこまで慌てふためくとは!それにしてもその魔剣性別まで変えられるとは……他にはどんなものを反転させられるのでしょうか?」


 魔剣の能力をさらに調べようとするR。

 Fと呼ばれた女性はRの行動を止めて会議を進めようとする。


「やめて、試すなら敵で試して!それに早く会議を終わらせて!私は特訓に行きたいから」


 Rは少し不機嫌そうにFを見ると仕方なさそうに会議を進める。


「現状相手の戦力の半分も把握しきれていませんからね……一応今回の戦争は魔王軍を王都に侵入する前に撃退できれば勝ちなので基本は防衛メインの作戦を取るとして問題は魔王軍の幹部達とその助っ人なんですよね〜……Fさん達に幹部連中を抑えてもらうとしてとりあえずレミさん達にはこの人達を抑えてもらいましょう」


 R がどこからともなく本を取り出すと本の中から2枚の写真が出てきた。


「レミさんあの本どうやらデザイアウェポンのようですねー……ただ少し普通のデザイアウェポンとは違う雰囲気がしますけど……」


 魔剣が小声でレミに伝える。

 しかしレミはその声よりも目の前に出された写真に目を奪われていた。


「レミ!これはどういうことだにゃ!?」


 ミケが驚いた様子でレミの方を見る。 

 それも無理はない目の前の写真に写っていたのはクロネとベル、よく一緒にクエストに行く2人だった。


「どうやら魔王軍の方と知り合いだったようで……私としたことが先手を打たれてしまいましてね。この2人のことをよく知ってるレミさん達ならうまく対応できると思って呼んだんですよ」


 Rは淡々とした様子で答えるとFや他の幹部達に別の写真を渡す。


「あなた方はこちらの魔王軍の幹部を抑えてもらいます。この他にも幹部がいた場合にはその都度対応していただくとしてとりあえず皆さんはなんとかしてその写真の方々の足止めをお願いしますね!」


 Rが渡した写真を見るFは不機嫌そうな様子で部屋を去ろうとするRを呼び止める。


「なんで私の相手がトーカじゃないの?トーカの相手は私じゃないとできないと思うけど?」


 トーカにリベンジをしたいFはRの選んだ相手が納得いかないようだ。


「いやいやあなたの剣じゃ空中からの攻撃が主体のトーカさんとは相性が悪いでしょう?それに一度敗北してるんですから大人しく引き下がっててくださいよ」


 さっきまでのふざけた調子が嘘のように冷たい目で言うR。

 その姿に恐怖感を覚え思わず身を引くレミ。


「……わかったわよ!」


 Fはイラついた様子で部屋を出ていく。


「全く面倒な人ですね。とりあえず幹部連中に対しての対策はこれでいいのでレミさん達は戦争開始まで王都でのんびりしててください!こちら滞在用に確保した宿屋の鍵と王都の地図です!戦争開始については1週間後ですので王都の観光でもしててください!残りの幹部の方も今日はこれでおしまいですので解散していただいて結構です!」


 そういうとRは部屋を出てどこかに行ってしまった。

 残った幹部達も次々と部屋を出ていく中1人の幹部がレミ達に話しかけてきた。


「……君たちはどこの村の人だい?」


 黒色の鎧に全身を包んだ男。

 素顔が見えないその男は真っ直ぐな目でレミ達の方を見る。


「なんですかー?そういうのはプライバシーってやつなので顔も見せない人には言えませんよー!」


 魔剣がまた面倒なことを言うので睨まれレミ。


「申し訳ないが顔を見せることはできない。私を含め幹部は他の勢力になるべく情報を与えないために名前はコードネームを使うほど秘密主義だからね。君達の知り合いのR、あれもただのコードネームだからね。」


 黒騎士は申し訳なさそうに言う。

 たかだがゲームでここまでする必要がよくわからないレミとミケだがあまり聞かない方がいい雰囲気なので詳しく聞くのを諦める。


「なんですかそれ?そこまで秘密主義を徹底する必要ありますかー?」


 そんな2人の気遣いも功をなさずまた魔剣が余計なことを言う。


「どうやら魔王軍の幹部には名前を知った人物をコントロールする能力を持つ奴がいるらしくてね。一応その対策らしい。勝ち負け次第で報酬はだいぶ変わるしどうもここの王様は俗に言うガチ勢みたいだからできることはなんでもするらしい。まぁ私が顔を隠すのはそれとは関係ない個人的な理由だけど……」


 黒騎士は落ち着いた様子で答える。

 Fとは違いかなり落ち着いた人物なのか魔剣がわざと煽るような口調で話しても特に気にしないようだ。


「……なるほどそう言うことですかーならいいですよ〜」


 魔剣は納得したのかそれ以上口を挟むことをしなかった。

 レミはミケにアイコンタクトをする。

 ミケはレミの方を見て頷く。


「にゃー達はハクムの村から来たんだにゃ!あのRとか言う奴に騙されて連れてこられたんだにゃ!」


 別に騙されたわけではないがミケはこんな形で戦争イベントに巻き込まれたのが不服な様子だ。


「そうかハクムの村か……Rの件については申し訳ない。しかし的陣営についたあの2人はRからの報告によると結構厄介な武器を持ってるらしいからね君たちの力が必要なんだ。それじゃあ私はそろそろ行くよ。」


 黒騎士はそういうと部屋を後にした。


「そう言えば名前聞くの忘れてたにゃ……まぁいいにゃ。それよりなんだか面倒なことになったにゃ〜レミどうするにゃー?」


 本当なら今すぐ村に帰りたいがRのことだからどうせ帰れないようにしているだろうしとりあえず休みたいレミ。


「せっかくですし観光しましょうよー!さっきの地図レミさんが好きそうな食べ物のお店も載ってましたしー!」


「それいいにゃ〜!そうと決まれば早くいくにゃー!」


 そんな願いはいつも通り叶わずミケに手を引っ張られながら観光に向かうレミだった。

「ねぇこれ本当に治るの?」


不安そうな様子のFは落ち着かないのか部屋の中をうろうろしている。


「大丈夫ですからうろうろしないでくださいよー鬱陶しいですねー!レミさんを休ませてあげないといけないのにこれじゃ安心して休めませんよー!」


レミの様子を気にかけながら落ち着かない様子のF に文句を言う魔剣。


「だって……なんかこの体変な感じがするんだもん!早く戻りたいの!」


そんなやりとりを続ける魔剣と赤毛の女剣士の様子を笑いをこらえながらRは見ているのだった。

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