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魔王城にて

「それで?あれだけの魔物を連れてった割にはほとんど成果を上げずに戻ってきたってことか?」


 笑いを堪えながらトーカに話しかける中年の悪魔。

 トーカの能力クリエイトによって作られた魔法は簡単に跳ね返されおまけに連れて行った魔物もかなりの数を失ってしまったし敵の能力の正体も掴めなかったトーカは特に何も言い返せずうつむいている。


「こりゃ魔王様も怒るだろな〜あいつ怒ると怖いから俺はこの辺りで失礼するぜ!」


 魔王がいる部屋の前の扉が目に入ると笑いながらトーカを残して去っていく悪魔。

 トーカは悪魔の去っていく方を睨むとため息をつきながらドアに手をかける。

 少し扉が動き隙間が空いた瞬間とてつもない濃度の魔力が溢れ出る。


「あ……」


 これ死んだな。

 感覚的に死を感じさせるほどの威圧を感じ唾を飲むとトーカは覚悟を決めて部屋に入った。


「このバカ!くたばるのじゃ!」


 入ると同時に魔王様の怒号が飛び出た。


「す…すみません!」


 いつものキャラを忘れて素で謝るトーカ。


「ん?トーカか!お前も言ってやれ!このバカが毎回毎回面倒ごとを起こすからいい加減にしてもらわんと国がもたぬのじゃ!」


 どうやら怒号はトーカではなく先に部屋に来ていた男に向けられていたようだ。


「いいじゃねーか!少し王国の奴らにちょっかいかけただけだろ〜?」


 笑いながら魔王の攻撃を避ける中年の悪魔はさっきまで一緒にいた悪魔だ。

 一瞬何が起きてるのか理解できなかったトーカだがどうやら目の前の悪魔は魔王の攻撃を避けながら自身の能力を最大限無駄使いしトーカをからかっていたようだ。


「ちょっかいかけただけだと?なんでそれで王国軍から宣戦布告されなきゃいけないのじゃ!トーカにお前の任務も押し付けて問題事起こすとか最低じゃ!」


「え?」


 思わず声が出てしまうが押し付けた?

 確かに直接魔王様から任務をもらったのではなく伝言で聞いた話だったがあれ押し付けだったの?

 さっきまでの落ち込んだ気持ちが怒りに変わるトーカ。


「だってあの任務やるより王国に喧嘩売る方が面白そうだったんだから仕方ねーだろ?」


 全く悪びれる様子のない悪魔にイライラが限界に達する。


「「ふざけるな〜!」」


 魔王と同時に叫ぶと即座に攻撃魔法を撃つトーカ。

 しかしトーカの放った魔法は悪魔に当たる直前に不可解な軌道を描きはずれてしまう。

 トーカの攻撃が弱いのではなく魔王の攻撃も同様に外れてしまう。


「無駄だってこの俺の能力ノールールの前ではゲームルール的には当たるものでも当たらなくなるから意味ないって」


 自信満々に自分の能力(正確にはこの悪魔が身につけてるデザイアウェポンの能力)を語る中年の悪魔ブレイクは次々と放たれる魔法の中でも余裕そうだ。


「……」


 あまりにも魔法が当たらなさすぎてイライラがマックスに達した魔王は無言で杖を上に掲げ始めた。

 杖を掲げると周りの空間が歪み始めた。


「もう良い!お主に反省する気がないなら再び魔王の恐怖を教えてやるまでじゃ!」


 トーカを魔法で部屋の外に吹き飛ばし扉を閉じる魔王。

 部屋の中は既に魔王が作り出した空間に切り替わっている。


「空間を掌握したって意味ないぜ〜俺にはどんな空間であれルールは通用しないからな!」


 余裕の表情を崩さない悪魔だが内心はかなり焦っているのか声が少し震えている。


「そうかな?お主の能力はノールールとか言っていたが嘘じゃな、というかお主の能力は既に把握しているからあんな嘘意味ないのじゃが……」


 なぜ意味のない嘘をついたのか一瞬考えた魔王だがどうせいつもの気まぐれだろうと気持ちを切り替えて魔法を放つ。

 さっきまで不可解な軌道を描き外れていた魔法が命中した。


「いてぇ!相変わらずチートすぎる能力だよなーそれ!このずるっこ魔王!」


 中年の悪魔から見るとまだ幼い少女のような見た目の魔王。

 しかしその実力は魔王の名にふさわしいものだ。


「ずるいとか関係ないわ!これも実力じゃ!お主に魔王シージュの名と恐ろしさを2度と忘れぬように刻み込んでやるわ!」


 ドアの向こうで何が起きてるか想像もつかないトーカは扉の前に座り込んでしまうのだった。





「シュークリーム美味しいわね……ゲーム内のものなのになかなか」


レミに誘われてシュークリームを食べにきたクロネは完全にハマってしまったのかいくつも買い込んでしまっていた。


「どんだけハマってるんですかあのぼっち!というかレミさんもどんだけお菓子食べてるんですかー!いい加減クエスト行きましょうよー!」


魔王城が騒がしくなっている中レミ達はいつもと変わらない日を過ごすのだった。

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