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情報収集

「……!!」


 地上に向けて確かに放ったはずの上位の魔法はあっさりと方向を変えこちらに向かってきていた。

 とっさにかわすことに成功した魔王軍幹部トーカだったが予想外の出来事に対して驚いて声も出せずにいた。


「……全軍撤退……これ以上の戦闘は不要。」


 すぐさま思考を切り替えるとトーカは魔王城へと撤退し始めるのだった。



 少し前。


「これで15体目ですか……随分数が多いですね」


 15体目の魔王軍を討伐しすぐさま次に向かう4人。

 他の冒険者たちも魔王軍を討伐しているはずだがそれでもなかなか数が減らない現状にレミは嫌気がさしていた。


「数が多いほうが私の活躍機会が増えるから全然構いませんよー! ほら早く次の魔王軍を倒しに行きましょー!」

「倒せば倒すほど報酬増えるから頑張らないと!」


 そんなレミとは対照的にやる気に満ち溢れている魔剣とベルは早くも次の魔王軍を探し始めている。


「それにしても不思議ね……こんなに大量の魔王軍をこの村に侵攻させる意味ってある?」

「あなたも気になりますか? ここの村を手に入れたところで大したものは得られないはずですし魔王陣営と人間陣営の戦闘においてもさほど有利にならないのでここを手に入れる意味は薄いはずなんですけどね……」


 2人の言う通りこの村には特別なアイテムがあるわけでもなく、陣地として使うにしても利点が少ない。

 魔王軍の狙いがわからず困惑する3人だが考え込む時間もなくすぐに次の魔王軍との戦闘になってしまう。


「ま、魔王軍見つけました……報酬!!」

「行きますよーレミさん! 思いっきり活躍しましょうー!」


 3人はすぐさま考えを切り替えて魔王軍との戦闘を続けるのだった。



 同時刻。 村の上空に1つの影があった。


「ふむふむ……中立区域の戦闘能力計測完了……作戦への影響はほぼなし……これ以上の戦闘は無意味……よってこの戦闘を終わらせる」


 上空に浮遊する機会的な態度をとる少女はそう告げるとクエストの終わりを告げる大魔法の発動準備を進め始めた。

 空に展開される大規模な魔法陣は地上で倒された魔王軍の魔力や戦闘で発生したエネルギーを吸収しより魔力を高めているのがわかる。



「……これは……少々やばそうですね! 完全にはめられたパターンですかね?」


 そんな上空の異変にいち早く感づいたRだったがどこか余裕のある表情を浮かべると魔王軍を倒しに行く足を止めた。


「どうかしましたかー? 早く次の魔王軍討伐に行きたいんですけどー! もっと活躍してレベルを上げてレミさんに使いこなしてもらわないと!」


 突然足を止めたRに文句を言う魔剣。


「先程から周りの魔力が不自然に消えていたので気になっていたのですが……どうやら上の方でとんでもない魔法が展開されようとしてるみたいですね! これかなり上位の魔法みたいですから早めに撤退しないとまずいかもしれませんね?」


 なぜか少し楽しそうに言うRの話を聞いてクロネとベルは不安そうにしている。


「そ、それってまずいんじゃ……」

「そうですね! 端的に言ってピンチってやつですね!」

「なんで嬉しそうなのよ! 早く逃げたほうがいいでしょ!」

「えー? どうせならこの魔法見てみたいじゃないですか?」


 Rを完全にいかれている人認定しつつレミは撤退の用意に入るがそこで素直に撤退させてくれないのがこの魔剣だ。


「レミさん大丈夫ですよー! 私の反転を使えば魔法ぐらい簡単に反射できますし実際私も見てみたいですし残りましょうよー!」


 どうやったらそこまでの自信が出るのか疑問に思うレミ、クロネ、ベルはため息をつきつつ撤退の用意を進める。


「こんな魔法滅多に見れませんしこの魔法を反転した時の相手の顔も見てみたいですし残ってくれまんか? 魔剣さんもやり気満々みたいですし」

「そうですよー! この人のバフがあれば反転ぐらい余裕でできますって!」


 そんな馬鹿げたことを言って魔剣とRは撤退にとことん反対の姿勢を取っていた。



 そして今に至る。 結局Rと魔剣のうるささに負け残ることにしたレミだったが上空から放たれた魔法に向けて反転を使い跳ね返すことに成功してテンションが上がっていた。


「……できた!」

「やりましたねレミさん! これで私たちの名声も広まって人気者になっちゃいますねー! これで少しは私のことを見直してくれますよねレミさん!……あれ? レミさん聞いてます?」


 うるさい魔剣の声も気にならないぐらいテンションが上がったレミは珍しくガッツポーズをするのだった。

 しかしこの戦いはただの試運転に過ぎないことをレミ達は知る由もない。



「……魔王軍は随分めんどくさそうなものを作りましたね……今回は反転の魔剣のお陰で楽ができましたが実戦ではそうもいかないでしょうし……そろそろ真面目に働きますかね」


 余韻に浸るレミと魔剣に気づかれないようそっとその場を後にするRは不敵な笑みを浮かべつつ次の場所へと向かうのだった。


















「……中立区域の戦闘能力に誤差がある?……イレギュラーが混じっている可能性あり……現時点での対策は不明……自信作だったんだけどな……はぁ」


かなりの自信作である魔法の1つを簡単に返されてしまったトーカはがっかりした様子で魔王城に戻るのだった。

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