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1、出会いは空から 2

お久しぶりです。続きが気になっていた方々、遅くなってしまい申し訳ありません。二話目です。お楽しみください。

……もう少し書くペース上げないとだな。

2

「こらっ、暴れるな!落ち着けっておい!」

数分後。アスランは、腕の中で暴れる羊を押さえるのに一苦労していた。レッジは2メートルほど離れた場所で、静かに彼の奮闘を見守っている。

「大丈夫だ、何もしないから。家に帰るだけだから、な?」

首元を撫でながらなだめてやると、次第に落ち着きを取り戻してきた。アスランはバックパックから長縄を取り出し、再び暴れないようにゆっくりと羊の胴体に巻き付け、一方の端を自分が握る。これでもう脱走される心配はない。

ふう、と安心したように息を吐いてから、レッジを睨みつける。

「レッジ!!余計な手間がかかったのはお前のせいだぞ、分かってるか!?」

アスランが立てた作戦は途中までは成功した。

指示通りにレッジと挟み撃ちにし、羊の動きを止めるまでは良かった。しかしその直後、レッジが羊の後脚に噛み付いたせいで暴れ出し、再び逃げられそうになったのだ。

レッジはアスランの怒気に怯えるように、地面に伏せて耳と尻尾をぺたんと下ろしていた。

「……僕は噛めなんて指示出してなかっただろ?言われたこと以外はしなくていいんだ」

少しだけ口調を和らげながら、アスランはレッジの前にしゃがみ込む。

なぜ、あんな行動をとったか。これはアスランの予想だが、恐らく完全に動きを止めた方が暴れなくて都合がいいだろうという野性的本能が働いたのだろう。

こういった行動は以前にも何度かあった。群れからはぐれた羊を見つけ、連れ戻そうとしたとき、一匹で勝手に突っ走ってタックルをかまして骨折させたり、飛びかかって首元に噛みついたり。悪癖とも言えるそれらの行動をする度にアスランは説教してきた。

だが、正直仕方のないことなのかもしれないとも思っていた。

街の人たちに飼われている犬は産まれた直後から人間の世界に触れているが、レッジは違う。どれくらいの時間かはわからないが、純粋な野生の中で過ごしてきたのだ。獲物は確実に仕留めるものだという考えが染み付いていてもおかしくない。

「……次からは指示通りに動くんだぞ、約束だ」

しかしアスランは、それを無理に直そうとは思わない。その野性らしさを否定することは、産まれてから彼に拾われるまでのレッジを同時に否定することになる。

それに、もしかしたらその野性がいつかどこかでアスランの助けになる可能性だってある。

そんな考えを持っているせいか、ついつい甘やかしてしまうのがアスランの悪い癖なのだ。

先程からずっと伏せたままのレッジの顎を撫でてやる。これは、勘弁してあげるというサインだ。

許しを得た相棒は起き上がり、感謝の印にか、アスランの顔に頰を擦り寄せる。縄に繋がれた羊も何故か近寄ってきて、彼の銀髪を食んでくる。

「何だお前ら。鬱陶しい、やめろ」

両手で二匹を押し退け、バックパックから取り出した水筒から水を飲む。それから立ち上がり、マントの汚れを手で払う。

空を見上げると、太陽が西に少しだけ傾いていた。日没まであと五時間程か。

「さてどうしようか……」

今アスラン達がいる場所から家まではどうやっても一日以上かかる。どこか適当な場所を見つけて野宿するのもありだが、寝ている間に羊が逃げる可能性がある。

(だとすると……あそこがいいか)

この草原は途轍もなく広大だ。街から街へ移動するのにも四日はかかる。そのため、旅行者や商人のために十五〜二十km間隔で休憩所が建てられている。アスラン達も昨晩はそこに泊まった。そこなら羊を繋いでおく杭もある。

目的地は決まった。

暗くなる前には辿り着きたい。行くぞ、とアスランは二匹に呼び掛け、綱を引いて歩き出す。

が。

「⁉︎おおっとと……」

握った綱がピンと張り、アスランは後ろに倒れそうになる。振り返ると、羊が立ち止まったまま辺りを不安そうに見渡していた。その隣ではレッジが毛を逆立てながら上空を見上げている。

「どうしたお前ら、早く行くぞ?」

二匹はアスランの言葉に従おうとしない。レッジは空を睨みながら低く唸り始めた。

その様子に胸騒ぎを覚えたアスランは、レッジに倣って空に目を向けた。

青い天空。彼方此方に広がる雲。痛い程の輝きを放つ太陽。

いつもと変わらぬ光景だ、と思った、直後。

ゆらり、と。

アスラン達の真上を巨大で透明な何かが通過していった。

「⁉︎何だありゃあ……」

思わずそう呟いたアスランの上空から、それは音も立てずに離れていく。しかし、決して追い付けない速度ではない。

正体は不明だが、だからこそ彼の中で好奇心が膨れ上がった。

「レッジ、羊を見張ってろ!ここで待機だ!」

言い終わると同時に、アスランは駆け出していた。マントを踏んで転倒しないよう一歩一歩に注意しながらも、すぐに脚はトップギアに切り替わった。

普段から羊を追いかける生活の中で自然と鍛えられたその脚力で、必死にターゲットを追う。だがその差は中々縮まらない。謎の物体は一定の速度で東へと移動している。

興味本位で追い続けるアスランだが、物体の正体に見当は付いていなかった。透明で巨大な何かという僅かな情報だけで予想を立てるしかない。

新種の鳥。子供の玩具。他国の乗り物。……

一つ一つ頭の中で可能性を考えては潰していく。

その最中に、アスランは気づいた。

「んん?」

改めてよく見ると、物体は僅かだが右に傾きながら飛行している。心なしか段々と高度も下がってきたようだ。

着陸場所でも探しているのかと思っていると。


ぐんっ‼︎と。

突然、真下に急加速し出した。速度を落とす気配はない。


「なっ⁉︎」

予想もしていなかった行動に、アスランは全く対処出来なかった。それだけでなく、足元への注意を忘れ、マントの端を踏んで盛大に転倒した。

その直後、轟音と衝撃が周囲一帯を揺らした。

(ーーーー‼︎)

起き上がり逃げる間も、悲鳴を上げる間も無く。

巻き上げられた土砂にアスランは呑み込まれていった。

相変わらずの謎だらけの文章でごめんなさい。それでも読んでくれる方々には感謝を。もっと頑張らねばですね。

ところで皆様はこの三連休いかがお過ごしでしたか?私は都合により火曜日まで休みだったのですが、金曜日に両足の裏に大きなマメができ、皮が破れて痛いの何の。よって連休はマメの治癒のため、ほとんど歩きませんでした。不健康の極みですね。みなさんは気をつけてくださいね、痛いですから!本当に!!

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