時間が・・・ 月光(2篇)
時間が・・・
降り積もった時間が
砂時計の砂のように
重く私の歩いてきた道を覆う
シャベルで掘り起こしても掘り起こしても
時間は音もなく降り続ける
手ですくって口の中に入れると
味気なくただざらざらとした感触が
後味悪く舌の上に残る
もし時間が粉雪のように
さらさらと降り
そして花びらのように舞い散るなら
人の人生ももっと
優しく過ぎていくのかもしれない
重い時間の下で繰る年月の厚さは
人の抱えた痛みをひしひしと伝える
*** *** ***
月光
冴え冴えと
私の指先からこぼれおちる
月の光り
徒然なるまま
こぼれ落ちる夢物語
指先でかき集める
白い月の香りが
思い出せない夢を
思い出させてくれる