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 それからヘッドホンでの作業を続けていたのだが、日付を超えたとき、ふと思い出した。先ほどノイズがユニットから出ているものなのか否かを確認しようとしていたということを。でも、ノイズが発生しない。

 嬉しいのやら悲しいのやら。


 もう一度つけてみようか、と再度電源をつける。

 すると、


「嬉しいのやら悲しいのやら」


 ノイズ発生。


 はあ、と溜息してユニットに耳を近づける。ほとんど耳が当たりそうなほど近づけたが、音はやや遠い。


「ん?」


 ということは、ユニットではないのだろうか。

 次は側面に耳を近づけてみた。すると、音はかなり近い。


「発生源は内部のアンプか何かってことか」


 ただ、それが分かったところで原因が掴めるほど、彼は機械に詳しくない。結局、溜息をこぼすしかなかった。


「なんか、やる気が失せた」


 ノイズの原因探しではなく、作業そのものが。なんなら、生活そのものが面倒な気がしてきた。

 肩が重い。風呂に入ったばかりなのに、嫌気から疲れが積もり積もる。


 もう寝ようか。

 この日のノルマはまだ終わっていなかったが、明日に回そう。こんな精神状態では、満足できるものなんてできない。


 すでに歯磨きはしてあったし、明日の学校の準備もそんなにない。寝る準備は万端だ。

 PCをシャットダウンし、アダプターをコンセントから抜く。立ち上がり、ハロゲンヒーターの電源スイッチを消す。

 そんな、いつも通りのルーティンをこなしたところ、部屋に沈黙が走った。


 物語において沈黙が走る場面といえば、誰かが何かに驚き、はっと息を飲んだ時が定番だろう。もちろんそれはこの場面でも例外ではない。

 ただ、この話においてその表現はノイズが消えたことを意味する。


「えっ……」


 彼はスピーカーの電源をつけっぱなしにしていたことすら忘れていた。

 たったいま、ノイズが消えたことによって思い出されたくらいだ。


 まさか、と思い、再度ヒーターの電源をつける。

 ノイズ発生。


 消す。

 ノイズ消滅。


「――お前かぁあああい!」








 ということで、原因はハロゲンヒーターでした。部屋にあるヒーターをかなり最後の方まで「ハロゲン」だと明言はしていないですが、示唆はしていたり。

 調べてみたところ、あまり有力な情報は掴めませんでしたが、ヒーターからの電磁波の影響だとか、ハロゲンヒーターと同じブレーカーだとアウトだとか。

 ちなみに、某知恵袋系サイトに同じような悩みを抱えている人の質問の回答に「MADE IN C????では?」というような回答があったのですが、ご名答、MADE IN C????でした。


 ハロゲンヒーターをお持ちでこれからスピーカーを買いたいという方は気を付けてみてください。中條のように、寒さに震えながら音を聞く羽目になります。まあ、もう春ですが。


 以上、ハロゲンヒーターの影響について知っている人にはあまりに簡単で、知らない人には分かるわけがないという、最低の推理小説でした。


 まあ、「問題が起こった時の犯人は意外なところにいるかもよー」くらいに捉えてもらえるといいかな。




















と、彼は筆を置いた。久々に小説書いたなあ、なんて陳腐でも懐かしい達成感に浸る。そして、投稿を始める。


この時の彼は、まだ知らない。事件が終わっていないことを。


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