ジョーカー/草間秀勝の挨拶
『蜜蜂男爵の館』セカンドシーズンへようこそ。
私は当館支配人、草間秀勝と申します。よろしければ、お見知りおきを。
ここ地階ビュッフェではお飲み物と軽食をご用意してございます。どうぞ、ご自由にお召し上がりください。
さて、ここに十三枚のトランプがございます。
ジャック、クイーン、キングの三種類の絵札が、それぞれハート、ダイヤ、クラブ、スペードの四種類、計十二枚のカードがこの中に入ってございます。これにさらにジョーカーを混ぜて合計十三枚。
テーブルに並べますので、お客様はそれぞれ一枚ずつお好きなカードをお引きください。
それぞれのカードはこれからお客様がお読みいただく物語とリンクしております。
ご承知の通り、当館オーナーの蜜蜂男爵様は、古今東西の奇妙な物語を収集するという趣味をお持ちでございます。
蜜蜂男爵様は、このほどお客様のために選りすぐりの十三の物語をご用意されました。その十三の物語が十三枚のカードの一枚一枚と結び付けられているのでございます。
お客様はご自身のカードとリンクした物語を読了しないかぎり、生きて当館の外へ出ることは許されません。
もっとも読了しても当館から本当に生きて出られるかは保証のかぎりではありませんが。
ただしジョーカーだけは例外でございます。ジョーカーをお引きのお客様は、物語を読まなくても無条件に当館からの脱出が許されます。
さあ、よろしいですか。お客様は全員カードをお引きになりました。ここに残った一枚のカードは私の分とさせていただきます。
では、カードを表にしてください。私のカードは・・・・ジョーカーです。したがいまして、お客様は全員、ジョーカー以外のカードをお引きになったということでございますね。
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ところでお気づきの通り、地階ビュッフェに続く廊下や階段に陳列してあります生首の飾り物ですが、すべて蝋人形でございます。
蜜蜂男爵様はご承知のように大変な怪奇趣味をお持ちでございまして、このような装飾になったわけでございます。
さようでございます。蜜蜂男爵様は大変気難しい方でいらっしゃいます。
お客様ご自身のカードの物語だけでなく、前回のファーストシーズンの分を含めた全作品をすべてお読みになることが、蜜蜂男爵様から怒りを買われない最良の道であることは言うまでもございますまい。
ご心配には及びません。ここにご用意しました物語はいずれも短いものばかり。お客様がいかに読書嫌いでいらしても、容易に読めるものばかりでございます。
もう一度申し上げますが、あの生首の飾り物は本当に蝋人形でございます。
それでは『蜜蜂男爵の館』セカンドシーズンを存分にご堪能くださいませ。




