フェーズ3
CRD内、中央広場。
時間はまだ午前8時。人はほとんどいないが、所々で正月ムードの抜けない店がある。
シュトルムはモービルを止め、中央広場を散策。そして中央広場の中心付近にやってきた。
「ここらへんでいいか?」
「うむ。さっそく調査しましょう。」
シリンジをとりだし解析。結果は検知されず。まあ、いい事である。
「あとは、軽く周辺の調査して茨城県の海岸部にあるCRDに行こう。この調子じゃあ、今日中には着きそうだな。」
「んだ!さっさと行くべ!」
モービルにまたがった瞬間、いきなり話をかけられた。
「ちょっと失礼。さっき空気を採取してたけど、なにやってたの?」
防寒対策の施された制服のようなコート。どうやら女性警察官のようだ。
「ああ。ウイルス調査。グライメデューサだよ。知ってるだろ。警官なら。」
そういうと、やれやれと言わんばかりにしゃべり始めた。
「あのね~。まあ、構わないっちゃ構わないけど、一般市民がグライメデューサウイルスを調査するのは危険だし、万一、パンデミッカーに会ったら大変でしょ。こういうのは警察にまかせて。」
「名前は?」
「はあ!?」
「名前だよ。本名。あるだろ。名前。」
「私はスカーレット・ヴィルフェアー。警察官だが対ウイルス調査班としてここに派遣されたのよ。で、何故名前を聞いた?」
「いいや。二度とあなたに会わないために、名前を聞いとこうかと思ってね。」
そういうと、モービルで雪煙を撒き散らしながらシュトルムは去って言った。
スカーレットがゲホゲホいってると後ろからゆっくり男が歩いてきた。
「どうしたスカーレット。いきなり走り出したから、何かと思ったよ。」
「遅い!ネイビー!どこで油うってたの!」
「いやいや。寝起きで全力疾走とか出来ないから…で、なんだったのあの男?」
「明らかに一般市民だわ。しかも変なロボットもいてだいぶ怪しかったから、一応探知機つけといたわ。いい仕事してるでしょ?」
「お仕事ご苦労様です。」
ネイビーはポンポンッとスカーレットの肩をたたいた。
パンデミッカー…このグライメデューサウイルスをばら撒いている犯人の通称。何人かは捕まっているが、いまだグライメデューサウイルスのパンデミックは着地点が見えない。まだ、何人もパンデミッカーはいると思われる。
スカーレット・ヴィルフェアー…女性警察官。訳あって、対ウイルス調査班に夫ともに志願。衝動的な行動が多く、まず行動するタイプ。座右の銘は「人間は前にしか目が付いてないんだから、後ろ向きな気持ちなんてない。」である。因みに、これはスカーレットが以前パトロール中に、猫と戯れてるホームレスを発見し、その人に「なんでホームレスなのに、そんなに笑って暮らせるの?」と思わず聞いてしまったときの返答。夫はネイビー・ヴィルフェアー
ネイビー・ヴィルフェアー…男性警察官。訳あって対ウイルス調査班に志願。妻はスカーレット・ヴィルフェアー。行動は遅いが思考は速い。服装は制服(黒いトレンチコート)。普段は腕を組んでることが多い。