フェーズ2
駐車場にモービルを止め、シュトルムはコンビニに入った。
「おでんください。」
「はいー。どれですかー。」
「これ。」
シュトルムは三角形の白い物体を指差した。
「これ…だけですね?…」
「そうだ。それだ。」
「何個でしょうか?」
「一個だ。」
「一個…ですね?…」
「そうだ。一個だ。」
「かしこまりましたー。お会計、152円です。」
「電子マネーで。」
外で待ってたディクシーがシュトルムに一言。「な、ずいぶん無愛想だの。」
モービルにまたがりながらシュトルムが返答。「なんだ。見ていたのか?」
シュトルムはハンペンを食いながら、まじましとディクシーをにらむ。
そのコンビニのあった場所は、摩天楼に組み込まれた裏路地。CRD内は場所が狭い分、高層建築が多い。これが犯罪の多い原因。きっと夜になればここも密売や闇取引のステージとなるのだろう。
日の出したはずの空。だがCRD内から空は見えない。見えるのは巨大液晶パネルに映された偽りの青空と張り巡らされた電線。
シュトルムは食い終えて、CRD内のウイルスの濃度調査を開始する。
「わしが指定するところを調べてくれたまえ。」ディクシーが言った。