フューチャー
ここは2249年。シュトルムという男がいた時代の100年後の世界。
私はホスハ・マクレコースン。いや本名で言おう。大宇宙ホスハ(おおうちぞらほすは)という。私は捨て子なのだ。大宇宙という日本人に育てられた。自分の小さい頃はまったく覚えていない。ただ私を育ててくれた親いわく、病院で植物人間としてコールドスリープ状態にされていたらしい。信じられなかった。どういう理由で私の親は自分を捨てたのか。
2249年の世界ではタイムスリップが可能になった。世に言う「タイムマシン」が開発された。勿論、理論上の話。未だ使った人もいない。私が人類初のタイムマシンクルーだ。とか言ってみたり。理論上では過去をいじくることで未来に異常をきたす。それはなんとなくわかる。もうひとつがタイムマシンには二人必要だということ。例えば100年前に戻る場合、そのタイムスリップした時代から100年前の人もタイムスリップしなくてはならない。要はタイムスリップした時代から100年前の人と100年後の人がタイムスリップしてしまうということだ。
私は100年前にタイムスリップした。だからその100年前からさらに100年前の遥霞を100年後に連れてきた。
2049年……《100年》……2149年……《100年》……2249年
理論なんて知らないがこういうことだ。私は対全球凍結対策委員会の役員だ。時空工学なんて知らない。
2249年。全球凍結が目の前に迫っている。世界人口は急激に減少。だいたいの人が赤道付近に移住した。生命限界領域は感染症のようにみるみるエリアを拡大した。パンデミックのようだ。
この計画。すなわち「過去に戻り、H2Vをたくさんの人に感染させ人類絶滅を防ぐ。」というのが思いついたのにはいろいろあった。いや、そんなにない。タイムマシンができたからなのだが。
それ以外にも理由はある。全球凍結の古い資料をあさっていると「カーム・エキソン」という人物が出てきた。調べているうちに、カームのばら撒いたH2Vは確かに多くの犠牲を伴ったが成功していると分かった。実際、自分もその一人だ。
決心した。警察は失敗したのだ。カームはあっていたのだ。仲間に協力を求めたが、誰も協力はしてくれない。タイムマシンは使ってはいけない。未来に想定できないさまざまな問題を引き起こすからである。そんなのは分かっている。だが人類が絶滅しては元も子もないじゃないか。そう思った。
だが違った。社会での人間はいつもそう。人類は「0%の可能性」を選んだ。「1%の可能性+責任」よりも。
人間は動物ではある。でもこういう点でいえば人間は動物ではないのかもしれない。
私は一人でもやる。これは信念だ。
どうにかして研究所に忍び込み、ぎりぎりのところでタイムマシンに乗り込んだ。完全に身元はばれた。もうどうしようもない。
この計画の過程で様々なことが分かった。自分の本名だ。自分の親も。
私の本名はホスハ・ヴィルフェアー。父親は殉職した。母親も後を追った。




