フェーズ1
西暦2149年1月13日5時13分。温度氷点下82度。積雪7.2メートル。平屋の家は完全に埋もれてしまっている。雪上の上に出ている家は2階建ての家の2階部分だ。
俺はシュトルム・イントロン。今俺はとあるパンデミックの調査を行っている。世界各地で拡散しているパンデミックウイルス。通称;グライメデューサウイルス。症状は約2週間にわたる体温41度越えの熱。感染した場合の死亡率は41%と言われている。体が弱っていたり、高齢者はその熱に耐えられず犠牲者が続出している。そのウイルスは日本から始まり、いまや世界各地に広まった。しかし最近、事態は急変した。このウイルスは人工的にまかれたものではないかというものだ。俺はそれを突き止める使命がある。
「っヘックシュン!うう…くそ寒い…日本もこんなに寒いのか…」
嘆くようにシュトルムは言う。そしてスノウモービルで殺風景な銀世界を走る。
「しかも、ここは関東平野の中央部付近だっぺよ。ヴぁああ。それがしのキャタピラが凍結するでござる~。」
方言がむちゃくちゃで話すのは、シュトルムの調査のナビゲーター。キャタピラのついた足で動く人工知能搭載型ロボット。通称;ディクシー。
「早いとこ、山の麓にあるCRDに行こう。もう寒くて耐えられない。」
「関東平野さ唯一あら山の麓じゃきゃ。了解、ナビゲートするがで。」
CRDの入場ゲートは以上に狭く、いつも混雑している。入場ゲートではスノウモービルに内蔵されたデータが読み込まれている。まあ、昔でいう高速道路のETCのようなものだ。それで個人のデータを読み取り、CRD内で起こった犯罪や事件に役立てるのである。その位のことをしないといけないぐらい治安が悪い。
「んん~。息苦しいね~。ダルイね~。寒いね~。遅いね~。」
そんなことを言いながら、CRDの中に入れるのを待つ。
「ピピプピ!解析が終わりました。渋滞22キロ。約45分待ちだす。」
「ほお~~。長い長い。笑えないな。死人が出ちゃうぞ。これ。」
ふん。と呆れながらまわりを見るシュトルム。
「っていうか我はカーナビじゃねえ!渋滞とか調べるのに俺を使うな~!調査員ならもっとグラメデュウイルスを気にしなさい!このぼんくらがぁ!」
ディクシーは背面部分についているマフラーから煙をふんふん出した。どうやら怒って言うようだ。
「はいよ。じゃあ一応ここで濃度調べますか。」
シュトルムはポケットからシリンジをとりだして、空気を採取。それをディクシーに渡した。ディクシーは解析を始めた。
「プピウ!解析完了。OKです。濃度10%未満。人体への影響は皆無でしょう。」
そして25分後。やっとCRDに入ることが出来た。入場ゲート付近は生温かった(といっても-39度)。
「ふう。やっと入れた。そうだ、アレ買いに行こう!」
シュトルムはスノウモービルを走らせた。