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フェーズ11
津軽海峡は悪天候。まさに吹雪という名がふさわしい状態だった。吹き付ける雪がシュトルムのコートにくっ付いては固まっていく。ディクシーのメタルボディにも雪がくっついている。雪をまとったディクシーは雪だるまのようにも見えた。
「おい。雪だるま。あと、どのぐらいだ?」
「……」
「お前だ。雪だるま。」
「プ!ブブー!雪だるまじゃねえ!俺はディクシーや!」
「で、どうなんだ?」
「プ…。北海道まであと1キロ。だいぶ近づいているでござる。」
いつ間にか津軽海峡を出て、北海道に上陸していた。遠くを眺めば、暴風雪の向こうにドーム状の光の束が見える。函館にもCRDがあるのだ。ただシュトルムは寄らないことにした。
世界各地にパンデミッカーは存在している。しかし、根底にいると思われるカームを止めることが出来れば、何か分かるかもしれない。一刻も早くカームの真相を暴かなくては。
シュトルムは知床半島にあるカーム研究所へ急いだ。
銀世界。
この言葉はいい響きに聞こえる。
しかし、この世界にはには生命の鼓動を感じさせない絶景(絶えた景色)にしか見ることが出来ない。