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CONFULIZER  作者: ゆくぺ
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フェーズ7

シュトルムは関東平野にある唯一の山、筑波山の麓のCRDを出て、大洗海岸にあるCRDに来ていた。理由は、謎の男「ファルカ」を追う為だ。実はファルカのモービルに探知機をつけておいたのだ。


「一度死んだとはどういうことだ?なぜあいつはパンデミッカーを追っている?」


CRD内に入ると、ファルカがとある高層ビルの屋上にいるのが分かった。最上階まで上がり、ドアを両手で押しあけた。するとファルカの立っている影が見えた。



「分かりやすい男だ。シュトルム・イントロン。」


ファルカは、シュトルムのつけた探知機を転がして、踏みつぶして見せた。そしてディクシーをクロスボウで撃った。ディクシーは回路が混乱して、電源が切れた。どうやらEMP機能をもった特殊矢なのだろう。


「これで邪魔者はきえた。」


「なぜ、俺の名を知っている?」


「お前も俺と同じ模造品だからだ。」


シュトルムが近づこうとした瞬間、ファルカはシュトルムを蹴り飛ばし壁にたたきつけた。そのまファルカは、シュトルムを片手で壁に押し付け、もう片方の手でナイフを構えた。


「待ってくれ!俺を殺すのか?」


「黙れ。確かめるだけだ。」


ファルカはシュトルムの左手の甲にナイフを押しあて、ピッ!っと手袋ごと斬り裂いた。傷口から出た赤い血は手袋に少しずつ浸みわたっていく。だが、不思議なことにその血はナイフに吸いついた。まるで磁石のように。


「なんだよ…これ…」痛みより衝撃の方が勝った。


「やはりな。やはりお前は模造品だ。」


ファルカはシュトルムを話して言った。「お前に伝えてかなければならない事実がある。」


「カーム・エキソンという科学者を知っているか?」


「ああ、20年ぐらい前に講演中に射殺された凄腕の老科学者だろ?」


「そうだ。そいつは死んだことになっているが…そいつはダミーだ。」


「ダミー?」


「実は、あいつはまだ生きている。とある実験を進めるために…」


「とある実験?」


「教科書で習わなかったか?2114年対全球凍結国連会議で発表され、没になった計画。人類冬眠計画。」


淡々と話を進めるファルカに着いてゆけず、思わず口をはさんだ。

「おいおい。待ってくれ。老科学者の葬式だってマスメディアで報道されてたし、人類冬眠計画だって夢の計画だろ?」


「そうだ。夢の計画だ。だから今、現に悪魔のパンデミックとして起きているわけだ。あの葬式で永眠していたカームはクローンだ。あいつはクローン技術に長けていた。きっと自分のクローンでも作り出したのだろう。」


はっとしてシュトルムが言った。

「じゃあ、このパンデミックの真犯人はカームなのか!でも待ってくれ。なんであんたがそれを知ってるんだ?」


「この先は話したくない。なんで俺がカームの真実を知っているか。なんでお前の血はナイフに吸いつくのか。なぜたくさんのパンデミッカーがいるのか。ただ一つだけ言えるのは、カーム・エキソンという老科学者は、この世の中を騙しすことに成功しているということだ。」


ファルカはそういうとドアに向かって歩き出した。


「シュトルム。お前は俺以上に現実が信じられなくなる。覚悟しろとは言わない。ただ生きよう。」


シュトルムはじっとファルカの背中を見ていた。ミリタリーポンチョに背中には、トリニトロトルエン(TNT)の分子構造の図が描かれていた。







わかりやすい男…実はファルカは探知機をつけられたのを知っていた。つまり、わざとシュトルムに自分の後を追わせたのだ(あの後、警察が来ることを知っていたため。)。


2114年対全球凍結国連会議…プロローグ1、2に書いてあったこと。


人類冬眠計画…通称;H2P(Human Hibernation Project)と言われている。教科書では「人類夢の計画」などと書かれている。


講演中に射殺された凄腕の老科学者…カーム・エキソンはH2P後もたくさんの研究を行い、たくさんの名誉、特許を取得した。「世界最高の科学者」「未来を担う科学者」などと言われていた。しかし、22年前。とある大学での講演中、クロスボウで射殺されるという事件が起きた。心臓に命中し即死。犯人はレギーナ・アルバトフ。何もしゃべらず何も語らず…判決は無期懲役。世界では「未来の暗黒化」や「希望が消えた。」と言われた。そして「最後の最後まで研究に人生をささげた。」として死後、2回目のノーベル化学賞を受賞した。

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