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なんで、主人公もヒロインも依存しているんだよ

僕はソファーに座っている。普通、ソファーに座ればくつろげるはずなのに今は逆に緊張が走っている。



「ねぇ…真梨奈、そろそろ離れてくれないか?」



「お兄ちゃんは真梨奈を見捨てるの?」



「見捨てないよ。いつも僕はお兄ちゃんとして真梨奈の近くにいるよ。でも、こんなに抱き着かれるとまるで身動きができないというか…」


まさか高校2年になった妹に抱き締められることになるとは思っていなかった。というか「お兄ちゃんなんて嫌い!」と言って来る時期だと思うけど。




まだ真梨奈一人だけならいいけど。




僕の右隣には妹の真梨奈、左隣には妹の同級生でヒロイン候補の大島《おおしま》

愛香《あいか》だ。



「大島さんはなんで抱き着いて来るの?」



「お兄さんのそばにいたくて…」


こんな言葉を言うべき相手は僕じゃない。僕は主人公の幼馴染の兄貴という立場だ。それ以上でもそれ以下でもない。物語に大きく干渉するつもりはなかったのに、こんなことになるなんて。



「離れてくれって言ったら離れてくれたりする?」



「ぜ、ぜったいにはなれません!!お兄さんはわたしのです!!」



「…そ、そうですか」


この二人でも相当キツイのにまだいるのだ。





僕の後ろに立っている人がいる。その人物はこれも妹の親友でヒロインの一人、鈴木《すずき》悠希《ゆき》だ。



「鈴木さんはなんで僕の後ろに立ってるの?」



「だってこうすれば舞くんを抱きしめられるから」


そう言いながら鈴木さんは後ろから僕の首を両手で抱きしめて来る。彼女が僕を殺そうとすれば絞め殺せてしまうんじゃないかと思ってしまう。



鈴木さんはそんなことをしないと信じるしかない。



「…舞くんがいないと生きていけないの。これからもずっと悠希の近くにいて」


確かうろ覚えだけど、鈴木悠希っていうキャラクターは男嫌いのキャラクターだったと記憶しているんだけど。


少なくてもこんなキャラクターではない…。




三人もこの状態だと僕の手に負えないのに…まだいるのだ。





僕の目の前に跪いている女の子がいる。この子は妹よりも一つ年上で生徒会長を勤めている、西村《にしむら》夏希《なつき》だ。


「なんで西村さんは跪いているのかな?」



「あたしはあなたの忠実なる僕《しもべ》なので」



「いや、僕は西村さんを僕だなんて思ってないよ」



「いえ、あたしはあなたの忠実なる僕です。それはあなたが何を言っても絶対に変わりません」


本当になんでこうなってしまったのか。少なくとも僕が知っている内容では、西村さんがこんな風になるはずがない。





というか一番おかしいのが主人公だ。


主人公こと菊池《きくち》功一《こういち》くんだ。


主人公もこの場にいて、少しずつ僕に近付いて来て、手の触れられる距離まで来ると急に僕の膝の上に座って来たのだ。



「あ、あの…菊池くん…?」



「お、おれも兄貴の近くにいたい!」


主人公くんは本当にどうしたんだよ。普通の主人公であれば、絶対にヒロインたちがこんな状況になってたら僕へ怒りを向けてきたりするのに、菊池くんはそんなことにならず、逆に僕に密着してくるようになった。



「兄貴の側は誰にも譲らない」



「なんでこんなことになるんだよ」


主人公が幼馴染の兄貴の膝の上に座っているっていう状況だけでもおかしい。それにこいつらは全員が高校生だ。これがまだ小学生であればそこまでおかしくない光景かもしれないけど、高校生にもなってこれは本当に笑えない。



もし、この場面を両親が見たら、あの呑気な人たちでも絶句するのではないか。





「はぁ…なんでこんなことに…」


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