友情の調合――誕生、特製ワサビポーション!
お母さんからの応援をもらい、心が軽くなったあおこは、昨日のお礼を兼ねて緑茶の元を訪ねました。
「緑茶、これ昨日の手土産! 珍しい新鮮な『わさび』が手に入ったんだ。いつも助けてもらってるから、受け取ってくれよ」
「わぁ、あおこちゃんありがとうぉ! ツンとするけど、とってもいい香りだねっ」
緑茶は受け取ったわさびを大事そうに抱え、一度自分の家へ戻りました。キッチンに立った彼女は、瑞々いわさびを見つめながら、ある素敵なアイディアを思いつきます。
(このわさびを使って、あおこちゃんがもっとシャキッとするような、特別なポーションが作れないかなぁ……?)
一人では少し不安だった緑茶は、ワサラー団の頼れる仲間であり、ギルド最強のSランク魔法使いであるわさこを家に呼び出しました。
「わさこちゃん、相談があるんだよぉ。あおこちゃんに貰ったこのわさびで、新しいポーションを作りたいの!」
緑茶の提案に、わさこは不敵な笑みを浮かべて応えました。
「わさびでポーション? 面白いじゃない。私の魔法とあんたの癒やしを合わせれば、ただの回復薬以上のものができるわよ」
「うんっ! 疲れも眠気も吹き飛ぶような、応援ポーションにしたいの。わさこちゃんの最強の魔法、貸してほしいなっ」
緑茶の真っ直ぐで一生懸命な瞳に、わさこは静かに杖を構えました。
「……いいわ。Sランク魔法使いの真髄、この一瓶に込めてあげる」
二人の共同作業が始まりました。緑茶が大きな鍋でベースとなる癒やしの液体を丁寧に煮込み、そこに細かくすりおろしたわさびを投入します。
「今よ、わさこちゃん!」
「任せなさい。万物を刺激し、覚醒させる緑の劫火――『ワサビ・アルティメット・ノヴァ』!」
わさこが杖を振ると、部屋中に凄まじい魔力のプレッシャーが走り、純度の高いわさびエネルギーが鍋へと凝縮されました。Sランク魔法使いにしか制御できない高密度の魔力が、癒やしの液体と激しく混ざり合います。鍋の中はエメラルドグリーンに激しく輝き、鼻を突くような、それでいて清々しい香りが立ち込めました。
「ふぇぇ、魔力が強すぎて涙が出ちゃうよぉ……でも、すっごくいい感じ!」
緑茶は涙目で笑いながら、魔法のヘラでゆっくりと、愛情を込めてかき混ぜました。
数時間の格闘の末、瓶に詰められたのは、これまでの常識を覆す、鮮烈な光を放つグリーンの液体でした。
「できたぁ! 特製『ワサビ応援ポーション』だよぉ!」
「ふん、私の魔力に耐えきるとはね。これならあおこの眠った才能も一発で叩き起こせるわよ」
わさこも満足げに頷きました。緑茶の「最強の癒やし」と、わさこの「最強の魔力」が完璧に融合した、世界に一つだけのポーション。
緑茶は完成したばかりの小瓶を手に、早くあおこに届けたくて、トコトコと家を飛び出していきました。この小さな一瓶が、これからの過酷なSランクへの道のりで、大きな奇跡を起こすことになるとは、まだ誰も知りません。




