「Sランクへの第一歩、分かち合う勝利の『ワサ』
迷宮の重苦しい空気から解放され、一行は夕闇に包まれた街へと戻ってきました。向かったのは、冒険者たちの拠点である「ギルド教会」です。
ステンドグラスから漏れる柔らかな光の中、あおこは受付のカウンターにリビングアーマーから回収した「魔力の核」を差し出しました。
「Dランククエスト『彷徨う鎧の地下迷宮』、討伐完了だ」
受付の職員は驚いた顔で核を確認し、すぐさま重みのある革袋を差し出しました。
「お見事です、ワサラー団の皆さん。こちらが今回の報酬、20,000ワサになります!」
あおこは袋を受け取ると、教会のロビーにある円卓に仲間を集めました。
「よし、みんなのおかげで手に入れた報酬だ。きっちり分けようぜ」
あおこは慣れた手つきで、銀色の硬貨「ワサ」を山分けにしていきます。
「これはVR地獄とさつまりこの分。助っ人以上の働きだったからな。で、これがみるきぃ、わさこ、そして……」
最後に、あおこは一際丁寧に分けたワサを緑茶の前に置きました。
「最強ヒーラーの緑茶。お前のサポートがなきゃ、今頃俺たちはボロボロだった。緑茶はワサラー団一番のヒーラーだからな、本当に頼もしいし期待してるよ! はい、これ、お前の分だ」
「えへへ、あおこちゃん、ありがとうぉ! このワサで、またみんなをもっと元気にするための新しいポーションの材料、たくさん買ってくるねっ!」
緑茶は報酬を大事そうにポーチにしまい、ふんわりとした笑顔を見せました。
報酬を分け終えると、心地よい疲労感が一行を包み込みます。
「今日は解散して、一度家に帰って休もう。VR地獄、さつまりこ、また明日な!」
「ああ。次はもっと骨のあるやつを頼むぜ」とVR地獄が不敵に笑い、さつまりこも「はい! また鍛えておきます!」と元気よく頭を下げて去っていきました。
あおこも自分の家――懐かしい静けさのある部屋へと戻りました。
服を脱ぎ捨て、ベッドに倒れ込むと、窓の外には異世界の月が輝いています。
(Sランクギルド……そしてラスボスの打倒。道のりは遠いけど、あの仲間がいれば、俺はどこまでも行ける気がする)
あおこは、今日受け取った報酬の重みと、仲間の温かい笑顔を思い出しながら、深い眠りへと落ちていくのでした。




