再会は、刺さるような緑の閃光と共に
転生から数日が過ぎ、俺……いや、あおこは地元の学校に通い始めていた。
そんなある日、教室の扉が開くと同時に、教室内がピリリとした緊張感に包まれた。
「東京から転校してきた、わさこさんだ」
教師の紹介と共に現れた少女を見て、俺は息を呑んだ。
夜空のような紫の髪、知性を湛えた鋭い瞳。それは、前世で俺を支えてくれた有能な秘書、わさこそのものだった。
(わさこ……! お前も、この世界に来ていたのか!?)
放課後、俺は思わず彼女の後を追った。
辿り着いたのは、学校裏の演習場。そこで彼女は、奇妙な杖を取り出した。
それは、瑞々しい「生わさび」の形をした、見たこともない魔導杖。
「……顕現せよ、翠緑の刺撃」
彼女が杖を一閃させると、空間を切り裂くような緑の閃光が走り、巨大な訓練用ゴーレムを一撃で粉砕した。
「な……今の、魔法!?」
「……見ていたの? これは『わさび魔法』。私はこの世界でSランクの魔導師として、ギルドに登録しているわ」
わさこは静かに杖を収め、俺を振り返った。
その瞳には、前世にはなかった圧倒的な強者の光が宿っていた。
「わさこ……俺だ! わさらーだ! 分からないか!?」
俺の叫びに、わさこは一瞬だけ目を見開いた。だが、すぐにふっと口角を上げる。
「……あおこ様。いえ、わさらー様。まさかそんな姿になっているとは。ですが、今のあなたの秘書がわたしなんて相応しくありませんね。魔法も見習い、魔力も底辺。……いいでしょう。私が鍛えてあげます。私の弟子になりなさい」
かつての主従関係は、最強の師匠と、無力な見習い弟子という形で再構成された。
「よし……分かった。やってやるよ! その代わり、俺と一緒にまた最強の組織を作るぞ!」
俺と、わさこ師匠。
二人の冒険がここから始まる――と思われた矢先、街の茶屋から聞き慣れた、元気いっぱいの声が響いてきた。
「はーい! お茶のおかわり入りますっ! ついでにワサラー団の布教もいかがですか〜!?」
「……あの声、まさか緑茶団長か!?」
異世界のトレンドが、いま激しく動き出そうとしていた。




