迷宮の鉄音(くろがね)――集結する絆
「リプライ・ゲート」から現れた二人の影は、着地と同時に戦場を支配しました。
「さぁて、VRの世界じゃ味わえない本物の手応え、楽しませてくれよ!」
VR地獄が背負った大剣を抜き放つと、その刀身に青いノイズのような魔力が走ります。彼は瞬時に一体のリビングアーマーの懐へ飛び込むと、重戦車のような突進をその大剣の腹で真っ向から受け止めました。
「ガギィィィン!」
火花が暗い迷宮を照らします。一方、その背後から飛び出したのはさつまりこでした。かつて会員証を握りしめて震えていた面影はどこにもありません。
「シッ!」
さつまりこは鋭い呼気と共に、辻褄先生直伝の刺突を放ちました。狙うは鎧の関節部。Cランク剣士に成長した彼の剣は、正確無比に鋼鉄の隙間を貫き、中の魔力循環を乱します。
「グオォォォン……!」
内部の魔力が暴走し、一体のリビングアーマーが膝をつきました。
「すごい……! さつまりこ君、あんなに動けるようになってるなんて!」
みるきぃが感嘆の声を漏らす中、あおこも負けじと残る一体へ斬りかかります。しかし、リビングアーマーも負けてはいません。残った二体が背中合わせになり、大剣を独楽のように回転させて周囲を薙ぎ払う「鉄嵐」を繰り出したのです。
「うわわっ! みんな危ないよぉ!」
緑茶が即座に杖を天に掲げました。
「癒やしの聖域!」
緑茶を中心に展開された半透明の黄金色のドームが、鉄の嵐を跳ね返します。それどころか、ドームの中にいるあおこたちの傷が光の粒子となって消えていき、魔力が急速に充填されていきました。
「サンキュ、緑茶! お前の癒やしはやっぱり世界一だ!」
あおこは緑茶の魔法で高まった身体能力を活かし、高く跳躍しました。
「VR地獄! さつまりこ! 合わせてくれ!」
「おうっ!」
「はいっ、あおこさん!」
VR地獄の横一文字の薙ぎ払いが鎧の姿勢を崩し、さつまりこの連撃が装甲を剥がす。その中心へ、あおこの全魔力を込めた一撃が、リビングアーマーの胸部にある「核」へと突き刺さりました。
「……これで、終わりだっ!!」
強烈な衝撃波と共に、最後の一体が音を立てて瓦解しました。静寂が戻った迷宮に、崩れた金属の残骸だけが転がっています。
「ふぅ……。やっぱり、みんなが揃うと負ける気がしねーな」
あおこは剣を収め、頼もしい仲間たちを見渡して不敵に笑いました。しかし、迷宮の奥底からは、これまでの魔物とは明らかに異質の、冷たく巨大なプレッシャーが漂い始めていました。




