迷宮の鉄音(くろがね)――試される絆
松明の炎が、湿った石壁を不気味に照らし出しています。学園の地下深くへと続く「彷徨う鎧の地下迷宮」。そこは、かつてあおこが倒したスライムたちとは比較にならないほどの緊張感が漂っていました。
「……来るわよ、あおこ。正面」
わさこの鋭い警告とともに、通路の奥から「ガシャリ、ガシャリ」と重苦しい金属音が響いてきました。現れたのは、中身が空洞のまま自律して動く鋼鉄の巨躯――Dランクの魔物、リビングアーマーが三体。一体だけでも手強い相手が、三体同時とは予想外の展開でした。
「くっ……! 三体はきついな……!」
あおこは愛剣を構え、果敢に一体へと突進します。しかし、リビングアーマーが振り下ろした大剣の重圧は想像以上で、多方向からの攻撃を捌ききれません。防御に徹する間に、みるみる体力を削られていきます。
「あおこちゃん、危ないっ! 私が回復するから無理しないでっ!」
緑茶が必死に回復魔法を唱えますが、三体の猛攻を前にあおこの体力は消耗していくばかりです。みるきぃも魔法で応戦しますが、鋼鉄の鎧にはダメージが通りにくいようです。
「ちっ、思った以上に頑丈ね! このままじゃジリ貧だわ……。こうなったら、奥の手よ!」
わさこは懐から古びた羊皮紙を取り出すと、紋様を刻んだ掌を地面に叩きつけ、力強く呪文を唱えました。
「『リプライ・ゲート、開け放て!』」
すると、わさこの足元に魔法陣が浮かび上がり、まばゆい光とともに二つの影が実体化しました。
「あおこ様、わさこ様、お久しぶりです」
まず現れたのは、ワサラー団のもう一人の副団長、VR地獄です。
「みるきぃを連れていくのにもう一人の副団長の俺を置いていくなんて酷いものです、あおこ様」
VR地獄は肩をすくめながらも、その瞳は鋭くリビングアーマーを捉えていました。そして、彼の隣には、かつてあおこがオフ会を開催した際に出会ったひ弱な少年だったはずのさつまりこが立っています。かつて会員証を握りしめていた頃とは比べ物にならないほど引き締まった体つきになり、真新しい剣を携えていました。聞けば、VR地獄と辻褄先生の指導のもと、今やCランク剣士にまで成長したのだとか。
「あおこさん! お久しぶりです! 俺も、少しは強くなりました!」
さつまりこは緊張しながらも、凛々しい顔であおこに報告します。強力な援軍の登場に、あおこの顔に笑顔が戻りました。
「VR地獄! さつまりこ! お前たち、助けに来てくれたのか!」
「ったりめーだ。ワサラー団のピンチを、ただ見過ごすわけにはいかねぇだろ。行くぞ、さつまりこ!」
VR地獄の号令とともに、二人はリビングアーマーへと斬りかかります。VR地獄の大剣が放つ重い一撃と、さつまりこの素早い剣技が連携し、一体のリビングアーマーを瞬く間に沈めました。ワサラー団の新たな戦力が加わり、迷宮の戦況は一変したのです。




