修行の合間、夕暮れのビルの上で
修行の激しい喧騒が去り、荒野に沈む夕日が周囲をオレンジ色に染め上げていた。あおことわさこは、かつての文明の名残である廃ビルの屋上に座り、並んで足を投げ出していた。
「……ポニーテール、まだ解けたままだな」
あおこが苦笑いしながら、ボサボサになった髪をかき上げる。
「いいじゃない、戦士の勲章よ。さっきの『ワサビ・キャッチ』、あんなに綺麗に緑の魔法陣が具現化するなんて正直驚いたわ」
わさこは、自身が放った赤紫色の魔法陣の残光を思い出すように空を見上げた。
「あんたの教え方がスパルタすぎたんだよ。でも……ありがとな。少しだけ、自分が強くなった実感が持てた」
二人の間を、心地よい夜風が吹き抜けていく。激しい魔法組手の後とは思えない、穏やかな時間が流れていた。
翌日への備え
「ところで、あおこ。明日は久々に学校へ行くんでしょう?」
わさこの言葉に、あおこは一瞬、魔法陣を構築する時よりも難しい顔をした。修行に明け暮れていたせいで、学生としての日常がひどく遠いものに感じられたからだ。
「ああ、そうだった。学校か……。宿題とか、完全に忘れてたぜ」
「ふふ、世界を救う修行も大事だけど、学生としての本分も忘れないことね。明日からはまた、普通の女の子としての日常が始まるんだから」
「普通の、ね……。ワサラー団のリーダーが算数のテストで頭を抱えるなんて、華麗うどんやヒストリムには見せられないよ」
あおこは、新しく用意した髪留めで、再び髪をポニーテールに結び直した。
「でも、楽しみだ。学校に行けば、またあいつらとも会えるしな」




