激突! 四天王vs十六夜、そして再会の旋律
「ワサラー団十六夜」の結成により、異世界のパワーバランスが崩れ始めた。
そんな俺たちの前に、この街の覇権を握る最大ギルドの幹部たち――『異世界四天王』が立ちはだかった。
「バズりすぎなんだよ。……静かにしてくれない?」
広場を凍てつくような静寂が包む。現れたのは四人の男女。
先頭に立つのは、静寂の魔法使い、なの。彼女が指を弾くと、みるきぃの演出魔法がパリンと音を立てて霧散した。
「おい、そこまでだワサラー団。お前たちの『売名』はここで終わりだ」
闇うどん商人、華麗うどんが漆黒のどんぶりを掲げ、禍々しい闇のオーラを放つ。
「ふふ、いい音……。絶望の悲鳴を響かせてあげるわ」
音魔法使いじぇのさいあが、空中に音の刃を形成する。
「……怪我をしても、僕が治してあげるから安心して。何度も、何度もね」
最後尾で慈愛に満ちた、しかしどこか冷徹な笑みを浮かべるのは、ヒーラーのヒストリム。
「四天王……! VR、さつまりこ、構えろ!」
俺が叫ぶと同時に、VR地獄が大剣を引き抜き、さつまりこが会員証を握りしめて前に出た。
「無駄よ。――『静寂の檻』!」
なのの魔法で俺たちの声が奪われ、じぇのさいあの音波攻撃が四方八方から俺たちを襲う。VRの剣も、華麗うどんが操る「闇のうどん」の粘り気に捕らえられ、身動きが封じられていく。
「くっ、連携が完璧すぎる……!」
「待って、あおこ様!」
その時、緑茶団長が俺の前に飛び出した。同時に、わさこ師匠も杖を高く掲げる。
「ヒストリムさん、じぇのさいあさん! その瞳の奥にある光……隠しても無駄ですっ! あなたたち、本当は『ワサラー団』を壊したいわけじゃないはずです!」
緑茶の切実な声が、なのの沈黙魔法を突き破った。
「ヒストリム、あなた。その回復の呪文の構成……かつて私が教えた『わさびの解毒術』が混ざっているわ。……そして華麗うどん。その闇のオーラの奥、ニンニクと脂の匂いがプンプンする。……あおこと一緒に二郎を食べた、あの時の味を忘れたの!?」
わさこの言葉に、四天王の動きが止まった。
「……っ。わさこ、さん……?」
ヒストリムが杖を震わせる。
「バレちゃったか。……いやぁ、あおこがあんなに可愛いポニーテールになってるから、確信が持てなくてね」
華麗うどんが、闇のオーラを霧散させ、照れ臭そうに鼻を擦った。
「あおこ様……緑茶……! やっぱり本物だったのね!」
じぇのさいあが音の刃を消し、涙を浮かべて駆け寄ってくる。
実は彼らもまた、この世界に転生し、生き抜くために四天王の座に就いていた元ワサラー団の精鋭たちだったのだ。ヒストリムとじぇのさいあは幹部として、華麗うどんはあおこの親友として。
「なのも、本当は静かに見守りたかっただけだもんね?」
緑茶が微笑むと、なのもしぶしぶといった様子で杖を収め、こっくりと頷いた。
「よし! 決まりだ! 敵対してる場合じゃないだろ!」
俺はポニーテールを弾ませ、四人に手を差し伸べた。
「四天王の肩書き、そのまま俺たちのギルドに持ってこい。今日からお前たちは――『ワサラー団四天王』だ!!」
「……あおこ様に従う。……元々、そのつもりだった」
なのが小さく呟き、四人は俺の前に整列した。
わさびの刺激、お茶の癒やし、クリエイティブの魔法、地獄の武力、そして情熱の新人さつまりこ。
そこに、元幹部や親友である四天王の四人が加わり、俺たちの周りにはかつてないほど強力な魔力の渦が巻き起こる。
「……ふふ、でもあおこ様。これで終わりだと思っていないわよね?」
じぇのさいあが、音魔法の余韻を楽しみながら意味深に微笑んだ。
「え?」
「『十六夜』という名は、満月の翌晩、少し欠けながらも最も趣深い月を指すもの……。そしてその名は、16人の精鋭が集って初めて完成するナンバー。私たち四天王を除いても、この世界にはまだ、主との再会を待っている仲間があと15人はいるはずよ」
ヒストリムが静かに頷き、空を見上げた。
「そうか……。わさこ、緑茶、みるきぃ、VR、さつまりこ。そして四天王の4人。……まだ、全員じゃないんだな」
俺はポニーテールをきゅっと結び直し、広場に集まった群衆と、その先に広がる広大な異世界を見渡した。
「望むところだ。たった10人でこの熱狂だ。あと15人、全員揃った時、この世界がどうなっちまうか……今から楽しみで仕方ないぜ!」
主要メンバーが合流し、ワサラー団の快進撃は第ニ段階へと突入した。
だが、真の伝説へのカウントダウンは、まだ始まったばかりである。




