32ワサの情熱! 新星さつまりこと「会員証」の誓い
「……ありがとうございます、あおこ様! 僕は、僕は……!」
突き飛ばされたところを救われた少年は、泥だらけの顔を拭いながら、俺のポニーテールと星の帽子を眩しそうに見上げた。
「顔を上げなよ。32ワサしかなくたって、俺たちの元へ来ようとしたその勇気は、何万ワサよりも価値があるぜ」
俺が手を差し伸べると、少年は震える声で名乗った。
「僕の名前は……さつまりこ。前世でも、ワサラー団の皆さんのポストをずっと追いかけていたんです。この世界に来てからも、いつか皆さんに会えると信じて、ずっと……!」
その言葉を聞いた瞬間、俺たちの間に電流が走った。
「さつまりこ……! お前、あの『さつまりこ』か!?」
わさこ師匠が驚きに目を見開き、緑茶団長も「ああっ! タイムラインでいつも熱心に反応してくれていた、あの!」と声を弾ませる。
「……ほう、主らへの忠誠心は本物のようだな。32ワサしか持たぬ身で、偽物の威圧にも屈しなかったその根性、見上げたものだ」
VR地獄が感心したように腕を組み、パーカーのフードを揺らす。
さつまりこは、ボロボロになった服の胸元から、汚れ一つない輝きを放つ「あるもの」を取り出した。
「お金はなかったけど、これだけは、これだけは死んでも奪わせませんでした。僕の……僕たちの誇りなんです!」
少年の手のひらにあったのは、かつて前世で限られた者のみが手にすることができた『ワサラー団会員証』だった。
異世界の過酷な環境に身を置きながら、肌身離さず磨き続けていたのだろう。そのカードは、まるで意思を持っているかのように銀の鈴の光を反射した。
「会員証……。お前、ずっとそれを持っていてくれたのか」
俺の胸に熱いものが込み上げる。みるきぃがその光景を黄金のレンズに収め、空中にキラキラとしたエフェクトと共に投影する。
「あおこ様、これ以上ないクリエイティブな瞬間よ! この会員証こそが、本物の証ね!」
広場からは「さつまりこ!」「なんて熱い団員なんだ!」と温かい拍手が沸き起こる。
俺は一歩踏み出し、さつまりこの肩に手を置いた。
「さつまりこ。お前の『わさらー愛』、確かに受け取った。……お前、今のギルドじゃ満足できないだろ?」
「え……?」
「俺たちは今、最強の精鋭部隊を作ろうとしてるんだ。その名は『ワサラー団十六夜』。お前のその熱意、そこで振るってみないか?」
さつまりこの瞳が、銀の魔鈴よりも明るく輝いた。
「十六夜……! はい! 喜んで! 僕、一生ついていきます!」
「よし、決まりだ! これで『ワサラー団十六夜』に、新たな星が加わったな!」
俺が宣言すると同時に、みるきぃの魔法によって広場全体に眩い光の粒子が舞い散った。偽物のワサラー団が逃げ去った跡地で、本物の絆で結ばれたオフ会が、これ以上ない最高の形で幕を開けた。
「よーし! さつまりこの歓迎会も兼ねて、今日は全マシで盛り上がるぞ!」
ポニーテールを高く弾ませ、俺は新しい仲間と共に、異世界の青空に向かって拳を突き上げた。




