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6 いざその場へ


「お~は~よ~ッ‼」


 時刻は二十二時。

 なかなか起きない伊予にてこずる。


 耳元で大きな声で叫んでも起きないってどういうこと?


 私も支度があるので、寝ようとしていた蜜柑さんに悪いけどここは任せるしかない。


 着替えた私はケイの元へ訪ねた。


「けい~ッウイッグってどうやって使うの?」


 メイク、ファッションは面倒くさい…ありがたいことに晃さんに教わるので自分でできるが、ウイッグは被ったことがない。


 調べごととしていたケイが面倒くさそうに立ち上がる。

 なんか、いつもより優しくない?


「ケイ、ちゃんと寝た?」

「一時間寝た」


 それは寝たと言えるんだろうか。

 それを感じ取ったのか


「現場に向かっている間は寝る」


 と言った。


「よろしい。計画に狂いはない?」

「大丈夫だ。俺が考えたんだ。多少ズレたって支障はない」


 ん?

 一人称、変わってない?

 僕じゃなかったっけ?


 …………モードが切り替わったってことで捉えておこうか。


「ありがとう。伊予が起きないのも計算済み?」

「もちろんだ。あと五分内に起きなければ急ぐことになるだろうが、そろそろ起きると思う」

「そっか」


 できた、と言って私の髪も黒髪メッシュ(青)のショートになる。

 ロングの私は一気に首回りの(マフラー)がなくなるので寒い。


「やっぱ髪だけで印象変わるね」

「瞳の色まで変わればもう知人は誰かは分からないだろう」

「だねぇ……ありがとう」


 そう言ってケイの部屋を出る。

 後はメイクをちょっとして大人っぽく。


 私自身がそんなに興味あるわけじゃないから軽いナチュラルメイク? ってやつをするしかないんだけどね。


「伊予。おはよう。顔洗っておいで。蜜柑さん、ありがとうございます」

「どうってことないわよ」


 やっと起きてきた伊予に大きなあくびをする蜜柑さん。

 最後に蜜柑さんから貰ったお母さんからの贈り物という耳飾りを取り出す。


 残念ながら私にはこれを通せるような穴は耳についていないので小さいお母さんから貰った巾着袋の中に入れる。

 残りの二つは私のものじゃないらしいし、上の指輪と下の首飾りは小型金庫に保管しておく。


「私を守ってくださいお母さん」


 そう言ってウエストバッグにしまう。


「伊予。着替えてここに座って」


 戻ってきた伊予に指示を出したらウイッグを付けるためにケイを呼ぶ。

 伊予を待っている時間は今日の動きを頭の中で最終確認する。


 伊予が着替え終わると椅子に座ってくれたので、ケイがウイッグを付け、私がメイクで印象を変える。


「かッ……カラコンッ……」


 ぼ――――――ッとしていた伊予もカラコンを入れようとしたら目が覚めたらしい。


「自分で入れるか、私が入れるか」

「グッ……」


 三分ぐらいかけて葛藤しながら自分で入れてました。


「時間が押している。伊予は急ぎ足で駅に向かってくれ」

「「了解」」

「最後にこれ」


 ケイが持っていたネックウォーマーを私と伊予に渡す。


「通信機とつながるマイクと変声器が入っている。顔も隠れるし防寒につかえ」


 ちょっと照れながら渡してくれた。


「ありがとう」


 玄関で圭理と蜜柑さんが見送ってくれた。


「二人とも無事で」


 ギュッと私たちを抱きしめる蜜柑さん。


「私にあなた達の安全の保障は出来ないけれど、無事だって信じているから」


 蜜柑さんはもう寝ているのかと思っていたけれど、起きていたみたい。


「……行ってきます」

「「「行ってらっしゃい」」」


 私たちは別々で駅に向かう。

 同じ電車に乗るし、最終的には合流するんだけど、一応ね。


 駅に向かうルートは何通りもあるんだけど、近道で大体同じぐらいの距離を二つ選んで別々で向かう。


 私の見た目は女子大学生ぐらい。

 薄灰色のタートルネックニットに白いコート。

 下は花柄のロングスカート。


 伊予は白シャツに細く黒いネクタイ風リボン。

 濃紺のジャケットで大人の女性を出している。


 私も伊予も身長は高いし、大人に見えなくもないんだよね。※大学生の平均よりは高い。詳細は後書きへ

 双子の母同士の従姉だからならんで良~く見たら似てる気がしなくもないだろうけど、大丈夫だと思う。


 駅のホームに来て三分。

 伊予が来た。


 「他人の振りをしっかり」とメールで送る。

 「分かってますよ」という面白スタンプがかえってきた。


 大丈夫か心配になるけど、それも含めて楽しみながらやらないとね。


 電車の中では目を閉じておく。

 六時間しか寝てないから九時間睡眠の私にはやっぱり眠いんだよね。


 電車で揺られて三十分ほど。

 降りる駅が来たので私は立ち上がる。


 離れた席にいた伊予が慌てて立ち上がる。

 もうちょっと降りる駅とか把握しようよ。


 乗り換えて二駅。

 目的地に着いたので駅から出てケイにもらった通信機を起動する。


 人はそんなにいないけど、駅近くだし通信機と喋っていると周りから独り言をしているようにしか見えないから耳についている通信機の上にスマホを当てる。


「もしもし?」


 そう聞くと少しノイズは入った後、


『無事繋がったな』


 とケイの声が聞こえてきた。


「ちゃんと寝た?」

『……目的地の公園に向かってくれ』


 これは寝てないパターンですね。


「いったん切るよ。ちゃんと寝て。目を閉じるだけでもいいから。伊予には私から連絡する」


 そう言って強引に連絡を切って伊予に「そのまま目的地の公園に向かって。ケイは寝てなかったから休めさせる」とメールを送り再び歩き出す。


 ……寝るって言ったのに寝てないってことは何か問題があった?

 でも、公園に向かえって指示したってことは支障は無いってことだよね。

 じゃあ大丈夫か。


 無事に公園で伊予が道を間違えて道中の商店街で合流したけど、十分。

 二人で公園に向かおうとした……んだけど………。


「君たち、この後、空いてるかな?」

「俺たちと飲みに行かない?」


 面倒くさい人に絡まれた。

 「無理です未成年なんで」なんて言えずに、伊予と二人で困っている。


「君たち姉妹? そっくりだね~」

「ごめんなさい、この後予定あるので」


 時間もかつかつでそろそろヤバいので早く行かなきゃならないのに!


「そんなこと言わずにさ~ッ」

「………………撒くよ」


 小さく伊予に伝えて走り出す。


「あッ」

「ちょっと!」


 懲りない男性二人組は走って追いかけてくる。

 諦めろよ‼


 今は妖狐の姿じゃないけど、普通に足に自信はあったのに、向こうの方が早くて追いつかれちゃう!


「撒いたら連絡して!」


 先を走っていた伊予にそう伝えて、私は右に曲がる。

 足もそろそろ限界だが、この辺は屋根は低いし道幅も狭いからこのまま屋根に乗っかったら撒ける。


 そう思って飛ぼうと思ったら、突然目の前が真っ暗に⁉

 どうやら黒い布に包まれているようだ。


 助けてくれた人がいるらしいけど、口も塞がれて声も出せないし、打つ手なし。


「大丈夫でしたか?」


 私はどこかの屋上に運ばれた。

 そこには梯子もあるし、低いから怖くはない。


 そして、運ばれて分かったことがある。

 この人、妖狐だ。

 しかも、一昨日伊予とは知った時にすれ違った妖狐のランナーさん。


「助けていただき、ありがとうございます」

「礼には及びません。おや、雪が降ってきましたね」


 上空からは雪が降り始めてきた。


「急がないと。失礼しますね」


 そう言われて私は対応する間もなくお姫様抱っこをされた。

 私、こんなに隙だらけですかね!


 その方は道路の方に飛び降りて無事着地する。


「夜は冷えます。早めにお家に帰った方がよろしいかと」


 そう言って私にマフラーを撒いてくれた。


「では」


 そう残してお兄さんは暗い夜に溶け込んでいった。

 そして一瞬見えた顔には仮面が付けられていた。


 普通に考えたらとっても怪しい人。

 でも、私の勘は言う。

 あの人は怪盗ワンダーだ、と。


 ただの勘でしかなかったから二人には報告しなかった。

 その後伊予と合流して公園に向かった。

檸檬は166.6㎝、伊予は167.3㎝、圭理は165.7㎝、怪盗ワンダーは170.8㎝です。

私の身長も後数十センチ高ければみんな越えられるんだけどなぁ……。


翆「ねえねえ小雨。私がこの後書きでわちゃわちゃしていること、なんて言ってると思う?」

小「小雨様崇めよ教」

霧「んなわけあるか!」

翆「そんなぼったくられそうな宗教は入るかぁ‼ 後書き劇場ですよ後書き劇場!」

小「チッ」

霧「ここが宗教だと思っていらした? そんな様子ないですけど?」

翆「出しているつもりがないだけでもしや滲み出ちゃったり……。まあ宗教の話もここまでにしましょう」

小「カラコンってどんな感じ?」

霧「知らな~い」

翆「知らな~い。想像でしかないけど、目に何か入れるって怖い」

小「確かに」


修正済み

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