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大魔道士よ。先ずはお前からだ6

「やっと着いたな。」


キャラバン隊に同行して5日目。俺達は城塞都市グルジアに到着した。キャラバン隊の面々に挨拶回りをしていたら俺達とテントが同じだった奴等がいない。


「ああ…彼奴等なら娼館だ。昼から盛んな奴等だな。」


盛んになった理由を俺は知っている。「よろしく言っておいてくれ。」伝言を頼んだ俺は護衛代を貰いキャラバンを後にした。


彼等が娼館で救われてくれるなら…俺達への敵意も無くなるだろう。


「ここかなぁ?」


俺は街の人達の話しを元に何かの獣のレリーフが目立つ建物の扉の前にいる。


「すいません!」


正面扉の小さな窓枠から俺を覗き見する視線。街の人達とは違う視線を感じる。


「何用だ?」


重厚な扉が開き、体格の良い男が俺の前に立ち塞がる。

暫しの沈黙。俺やマルカを見定めようとする眼前の大男。


俺は【推薦状】を彼に見せた。封印をみるなりゴードン殿からかと中身を確認する大男。


あの小物臭がする砦のボスも一応役立つんだな。貴族だとは思っていたけど…


「え、ええとだな。」


何だか大男の態度がしどろもどろしている。


「他の詰所で、これを誰かに見せたか?」


俺は即、否定の首振りをした。


「ちょ、少し待たれよ。」


……………


少しとは…どれ程の事を言うのだろうか?

かれこれ一時間は経過しただろう。俺は【狩人】だ。何時間でも身を潜める事は容易だ。


でもな…マルカはマルカは飽きてるぞ。俺は振り向きたくない。先程から背後に圧を感じるんだ。


「す、すまない。上に掛け合っていたら思ったより遅くなった。すまない。」


平謝りする背後からフルプレートで上半身を覆い。鎖帷子と布地を合わせたスカートみたいな武具を履く女性が俺の前に現れた。


「クリスで良いか?私はグルジア軍・東部辺境隊隊長のミーナだ。隊長と言っても叩き上げの平民だがな。よろしく頼む。」


差し伸べられた手を握り返す俺の背後から殺気を感じた。


「私のクリス兄に触るな!小娘。」


ミーナ隊長は俺の背後からの声に、驚き俺を壁役にしそっと覗き見した。


「小娘?…ゴホン。わ、私は小娘ではないぞ。」


ミーナ隊長の返答を無視し睨見つけるマルカ。

これは【嫉妬】だろうか?


「あの人は…君の何なのだろうか?」


ひそひそと俺に手で口を隠しながら、尋ねるミーナ隊長。


まぁマルカは、一見するととても戦える感じはしないからな。詰所には不釣り合いだろう。


めちゃくちゃ強いけどな。


(さすが銀龍。この小声を聴き取るか。でもその答えは何かと良くない。)


「無理やりされた!」


扉前で脚を踏み外しドアノブを握り必死に体勢を戻そうとする大男。

「あんたそう言うタイプなの?」見たいな表情で俺を睨見つけるミーナ隊長。


順調だと思っていたのに、一気に俺の状況が悪くなった。


「さあ。中に入りましょうか?」


お前が仕切るな!

ミーナ隊長が今後、俺とどんな【繋がり】になるか今は分からないが、入隊前に【足蹴】にされた事は忘れない。


「ゴホン。単刀直入に言う。クリス、君に我が隊に入隊してもらいたい。」


推薦状を机に置くミーナ隊長。


【名はクリス。狩猟を生業にしてきたそうだが、魔力持ちで弓での攻撃は1人で1個隊以上だ。私は永らく兵の取り立てをしてきたが…この者は【評価SS】初めに推薦状を見た隊は彼を他に渡さない事を強く勧める。】


          ゴードン・ダリーズ


良いこと書いてんじゃん。あの小物隊長さん。


「兵不足。質不足。でも亜人は攻めてくる。沢山の仲間が戦で散って行った。どうか、東部辺境隊に入隊してくれないか?」


「あ。入りますよ。」


即答で軽い返答。また大男の彼は机ごと崩れ落ちてしまった。


正直、隊がどうとかどうでも良いんだ。大魔道士ハル・ステアに近づければ何隊でも俺は構わない。


とりあえず【兵】になれば内部から探れるだろう。







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