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短編

「明晰夢」

作者: hakucv

 「……ッ!……」


 「……また同じ夢か……」


 私は最近夢を見る。

 その夢は、なんてことないただの日常。

 ただ、1つだけおかしなことがあるとすれば


 私だけが夢を見ていることだろう。



 「夢」とは、人が寝ている間に記憶を整理する過程で見るものだそうだ。体験、学習、後悔。これらを自分の知恵や知識とするために夢を見る……らしい。

 しかし、私は本当の夢の原理を知らない。今語った知識は、夢の中で知ったはずのものだ。しかし、不思議なことに、現実で誰かと夢について話していてもおかしな点は指摘されなかった。


 今日は夢の中でテレビを見ていた。マジシャンのマジック解説だという。最近のテレビはとうとう種明かしをしなければ視聴率が取れないのだろうか。

 目覚めた後、家内にそのマジックを披露した。そのマジックは成功し、家族は大いに喜んだ。


 今日の夢は動くことが出来た。普段は食べて寝るだけの夢だが……これが明晰夢というものだろうか。

 よし、せっかく夢の中で動けるのだから、普段出来ない事をしよう。とりあえず、隣の家にピンポンダッシュをした。反対の家にもしようとした時、夢から覚めてしまった。


 また、動くことの出来る夢だ。今日こそはもっと派手なことをしてやろう。私は家にあったハンマーを持ち、宝石店へ足を運んだ。そこではたくさんの綺麗な石がガラスの中に飾られていた。その中でも1番値段が高そうな石の入ったガラスを割り、その石を握りしめて家に帰った。夢の中では自分に都合のいいように事が運ぶ。手の中の石を眺めながら、ワインを啜る。いい目覚めになりそうだ。


 今日の夢は突然始まった。孤独な家にインターホンが鳴り響く。急な来客に渋々対応しようと頭痛の中、扉を開ける。

「こういうものです。お話よろしいでしょうか。」

紺色の制服を身につけたその人から、私は何故か逃げなければならないと確信した。しかし、彼らを押しのけようとするも少しも動かない。夢だから力が入らないのだろう。私は呆気なく捕まった。


 最近同じ夢を見る。布団から跳ね上がると、視界には鉄格子。そして、今までの夢とは違う簡素な部屋。決まった時間に食事をし、運動をし、働いて寝る。

 もう私はこの夢には飽きてきた。現実で違う経験をしたらいいのだろうか。今日は最近出来た新しい彼女の背に乗って、小惑星まで旅行してみよう。

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― 新着の感想 ―
明晰夢を見る度に、現実と夢の認識がごちゃごちゃになり、入れ替わった感じでしょうか? 実際は犯罪を犯して、捕まった。 本人は夢を現実に思い込んでいるという事…?
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