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藤坪と2人で

自販機まで坂道を残り1キロ地点


藤坪と並んで歩く


「藤坪にとって恋愛ってなんだ?」


「えっ…いきなり物凄く難易度が高い質問だね…ちょっと考えさせてね…」


質問はしたが、コレに関しては答えはないのは分かる、でも藤坪という人間を知る上では欠かせない


「薬…そう、薬、かな?」


薬だと!?何と!何とシンプルな回答なのだろう!だが意味がわからない!


「薬って人によっては良い作用、悪い作用と分かれるでしょ?例えば血圧が高い人と血圧が低い人がいるとするね」


医療の話になったか、これ以上詳しく話されたら分からないが、頑張って聞こう


「血圧が高い人は血圧を下げる薬を飲まなきゃいけない、でも血圧が低い人は血圧を上げる薬を飲まなきゃならないの…じゃあここで質問です、本来飲む薬が逆だったらどうなると思う?」


「えっと…血圧高い人はもっと高くなるし、低い人はもっと低くなる…ってこと?」


「そうだね、毒になっちゃうね」


うん、うん、なるほど…?


「それと同じで恋愛は良い事ばかりじゃなくて、条件次第で毒になっちゃうモノだと思ってるよ」


ふーん?なんか凄く道徳的な話するかと思ったら結構普通でビックリした


「良い事も悪い事も全部含めて恋愛って事ね」


「そうだね、私の場合、悪い事の方が多かったけど…」


…なんか少しだけ思い出したぞ

藤坪って中学の時何人かと付き合ってたな、付き合って別れての繰り返しだったような…悪い事ってそれに関係しているのかな?


「私、今まで3人とお付き合いしてきたんだけど…」


「おっマウントか?」


パシッ!!


「いてっ!」


ケツを引っ叩かれた

痴漢じゃん


「ちゃんと聞いて欲しいな」


「はい」


「当時私は全部受け身だった、告白されて、何となくの嬉しさで付き合う、そんな感じだったんだ」


ま、俺はそういうのに縁がなかった訳だが、でも確かに周囲の人はそういう風潮あったよな、んですぐ○○と○○が付き合って〜とか別れて〜とかそんな話ばっかだったよな


「3人中3人、向こうの浮気が原因で別れました…

ねえ酷くない!?向こうから告白してきたんだよ!?」


「浮気って…元カレ達を悪く言うつもりはないけど…ちょっと、軽い系の人だったのかな…」


「そうだよ、あんなのクズだよクズ!好き勝手弄ぶだけ弄んで…!慰み者だよ…私…」


コイツ意外と口悪いなぁ…色々サれちゃったんだね、じゃあもう俺なんかよりだいぶ大先輩だ、経験が違う


ん?中学生で??


今までの優しかったイメージがどんどん崩れていくぞ

優しさにつけ込まれたのかしらね


「流されちゃった私も悪いんだよ…それにそういう事ってすぐ噂になるから、尻軽だのなんだの、ある事ない事色々噂されて…」


泣きそうじゃねえか藤坪、そっか、中学の時の顰蹙ってそれだったのか


「それは運が悪かったとしか言えないな…」


「私、尻軽じゃないから…」


思ってない思ってない

俺は通らなかったが多分よくある事だろう


うわぁ…また瞳に光がないよ


「…変な質問して嫌な事思い出させちゃったな…」


「いいよ、隠してても悪いし、柿本君には聞いて欲しかったんだ…」


辛い過去ってなかなか言えるもんじゃないからな、俺も言いたくない事は山ほどあるけど…


「…やっぱり覚えてないかぁ…」


藤坪がなんか言った気がした、独り言か





「藤坪、あの自販機が見えるか?そこが目的地だ」


「火鞠ちゃんもいるね」



あーあ、1人コーン茶を飲む予定だったのに…今更考えるのはよそう


まず女2人俺1人の構図が嫌だよね、どういう構図?って思うよね


「柿本君、藤坪ちゃん、お疲れ様、飲み物買っておいたからみんなで休憩しよ」


「おお…!コーン茶!ありがとう!」


手渡されたのはコーン茶、五次元、君の事を誤解していたようだ、君は良い奴だな…


「藤坪ちゃんはコレね」


「わあ、ありがとう…」


藤坪が渡されたデカい缶、これは…エナジードリンクか?意外だな、こんなジャンキーなもの飲むんだな


って、藤坪明らかに顔が引き攣ってるぞ


「じゃあとりあえず皆で乾杯しようか」


五次元は手に持った缶、ミルクティーを突き出す


コーン茶、エナジードリンク、紅茶の異種乾杯って…何でや、何だそのノリは


色々言われるのが嫌なので俺も流れに乗ることにしよう


「乾杯!」


ポッ…


3つの容器は何とも情けない音を立てた


そりゃそうか、グラスじゃないもんな

チーンみたいな音出ないよな


ただ2日ぶりのコーン茶は格別だ


勿論登校時もこの自販機は通るのだがそれはノーカウントだ、行きと帰りでは別の次元だ

登校前にそんな気持ちの余裕はない


うーん、もう少しスムーズに登校出来るように久しぶりに自転車で通おうかな

高校入学から一週間は自転車で登校していたが坂道が嫌で断念したんだよな…そう、問題は坂道なのだ



藤坪と五次元が何か話をしているが俺は俺でいつものように、黄昏れ休憩をするとする


ボーっとする、これが良いのだ…

コーン茶の香ばしさとこのジメっとした空気、合わねえな、ジメジメは嫌いだ、あと暑いのも嫌だ


制服も通気性なくて嫌だな、こんなもん毎日着て登校するなんて地獄以外の何ものでもない、だが3年通えばそれも終わりだ、早く卒業してえ…



「…」


「…」


「えっ、何で君らも沈黙してるの?」


「藤坪ちゃんと話し合ったんだけど…柿本君を推しにすれば良いんじゃないかって話したの」


バカだねえ、そんな下らん事を話してたのか


「俺はアイドルじゃないから推さないでね」


「ちょっと、それくらい良いでしょ!」


五次元が俺の肩を突っ張った


「押さないで!」


下らない、変なダジャレじゃないか、本当に下らないよ!


「推しだから、ガチ恋もあるよって事、だから私達の事はファンとして見て欲しい、たまにはファンサしてね」


「藤坪まで何を血迷った事を…というか友達って話はどこ行ったんだよ!」


「友達だよ、でも推しなの」


ダメだもう訳わかんねえ…


「だからこの自販機は聖地って事だよね!そっか、ここが柿本君がいつも休憩してる自販機かぁ〜写真撮っておかなきゃ」


自販機を色んな角度から連写してる、藤坪はイカれたのか?


「柿本君、一緒に写真取って欲しいんだけど…」


オメエ本当のファンみたいな事してるね?


五次元がゼロ距離まで寄ってくる


「藤坪ちゃん、ごめん、写真撮ってくれないかな?」


あ、藤坪カメラマンなのね


「あ、ズルいよ!次は私と撮ってね!」


もう色々いう元気もない、良いさ、好きにすれば良いよ


果たして俺の学園生活はこれから先どうなるのか…


大体俺のルックス的に絶対アイドル向きじゃない


2人の考えている事はよく分かんない…


まあ、なんか楽しそうだから今はそれで良いか


今起こっていることもいずれは過去となる


「柿本君、ウィンクして!」


「うるせえ!!」

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