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選択肢は、



「私と戒ちゃんは近所同士だし、保育園の頃からの仲だもんね」


「ま、まあ、そうだけど…」


「幼馴染マウント?でも今1番柿本君と近しい異性は私だよ?」


そんな事はないだろ!と言いたいが冷静に考えればそれも100%否定できないかも…


「戒ちゃんも何か言ってよ!このままだと私達の未来がどんどん変わっていっちゃうよ!」



「未来はどんどん変わっていくもんだ、未知の世界だからこそ良いんだろ」


「戒ちゃんおバカなクセに賢そうな事言うんだね…」


「はあ?柿本君、学力は低いかもしれないけど、バカじゃないけど!歌恋ちゃん、幼馴染だからってちょっと辛辣過ぎない!?」


お前も大概な発言してるじゃん


意外と藤坪ってよく喋るね、多弁だね


歌恋と相性が良いのかな?


と思ったが互いに敵意剥き出しの顔をしている、この説は立証ならず!



コンコン


おや?誰かがノックしている


「はーい」


不思議と、ノックされると返事をしてしまう


誰だろう、訪ねてくる人なんているのかしら

どんなヤカラが入ってくるんだという不安もあるけど


扉がゆっくりと開く



「あ…あの…」



「…豊田先輩…?」


何故先輩が?いつにも増して表情が硬く見える

まるで鉄仮面だ


ただでさえ(俺から見れば)身長の高い豊田先輩の背後にそれよりも大きな影がヌッと動いた


コイツは…五…


「…火鞠ちゃん…」


俺が気づくのより先に藤坪が先輩の背後にいる人物の名前を呟いた


五次元…昨日より一度も言葉を交わしていないし何より俺とも藤坪とも決別した人物、それが俺らの目の前にいる、結構な緊張感だ


俺が発する言葉はたかが知れているが、五次元は何を言い出すかわからない

それに藤坪の話通りなら藤坪と五次元はかなりの口論をしている

そして事情を知る豊田先輩に突如乱入してきた歌恋

そんな奴らがこの場所に集結してしまった


五次元を見ると意外と穏やかな表情をしているように見える


「…何しに来たの?」


藤坪が怒りを込めたような声色で五次元に問いかける、ヤバい、喧嘩だ喧嘩だ、俺を含めてそういう嫌な雰囲気に耐性がないであろう豊田先輩と歌恋を奴らから遠い、窓際に避難させようと誘導を始めた


「アンタには用はない、柿本君に話があるから」


怖っ!俺かい!


「絶交したんでしょ?今更柿本君に何の用?」


藤坪は交戦するつもりだ、五次元の前に立ち塞がった、こういう雰囲気は正直耳を塞いでいたいのだが…


「…邪魔」


「邪魔なのはそっちでしょ?何今更部室に入って来てるの?」


「はあ?自分が所属している部活の部室に入って何が悪いの?ていうか邪魔だからどいてくんない?」


「柿本君に何かするんでしょ、逆恨み?結局言ったことと違うことしてるよね?掌返し早いね」


「アンタなんかと話する暇ないから、勝手にさえずらないでくれる?」


うわうわ…コイツら今にでもヒートアップしてリアルファイトに発展しそうだ

先輩と歌恋は互いに身を寄せ合ってビビり散らかしている

そして俺もこの緊迫感に足が震えている、が

止めなくては!


「ま、待て待て!お前ら落ち着け!五次元、話があるんだろう?聞く!聞くから喧嘩はやめてくれ…」


「話なんて聞く必要ないよ、この女何するか分からないし」


「藤坪、お前もこの期に及んで逆撫でするような事言うなよ…大丈夫だから…五次元、話なら聞く、場所を変えよう」


五次元はフッと笑った


「…柿本君ならそう言うと思った」


うーん、その笑顔が意味する内容がこちらにとって天国か地獄か全く分からないから怖いんだけど


藤坪は険しい表情を崩さず、五次元の方へ視線を送り続けている

歌恋と豊田先輩は相変わらず震えている


「少しの間、行ってくる」


「じゃあ移動しようか、ついて来て」


言われるがままに五次元の後を追う

どこに移動するんだろう


あれ?そこは下駄箱じゃ…


「…外に出るのか?」


「うん、テニスコートだよ」


テ、テニスコートだと?ここからだとかなりの近場だけど…なんで?


「あ、場所に特に意味はないよ、ただどこに行っても人目につくからね」


ま、まあ、確かにそうだけど…人目につかない場所に五次元と2人きりはちょっと怖いんだけど


テニスコートって、校庭っぽい普通の地面なんだな…こんな所で走り回ったら転けそうだぞ…


「ま、ここでいっか」


は、始まるのか…鬼が出るか蛇が出るか…


心の準備は…いつも出来ていないからどうしようもない

しかし、でけえなこの人、俺の推定身長は172cmだけど、実際はそれ以上あるかもしれない


「とりあえず…あの…」


「えっ!!」


いきなり喋り出したので結構ビックリしてしまった


「あ、ごめん、いきなり喋って…その、ごめんなさい、昨日は、私、無神経だった…」


「お、おお…」


なんだよ、ちゃんと謝れるじゃねえか!…と言いたい気持ちだけはあるが、それは口に出せない、何せ俺だから…


「その…絶交を受け入れる気ではいたんだけど…でも、本当に勝手な頼みだけど、やっぱりコレで終わりにしたくない…でも、柿本君が本気で嫌だったら私…」


「あ、あのさ…!!」


「えっ、」


「俺も、言い過ぎたんだよ…自分でも結構ビックリするくらい…幼稚なキレ方したって思う、それはマジで申し訳ない」


昨日の事で失った物はそれ以外にもある


「…俺の事はそれで良いんだけど、藤坪と…喧嘩したんだろ?」


藤坪という単語を聞いて五次元は一気に顔つきが険しくなった

そうだよな、でもこの件を片付けないとな


「喧嘩は仕方ないよ、結局は俺が撒いたタネだから…俺が取り持つからここは一度お互いに怒りを収めて欲しいんだけど…」


「……」


「…その、2人の間に何があったかは俺も詳しくは知らないんだけど…このままだとこの先色々と弊害があるって言うか…部活とか、文化祭とか、それに俺も板挟みになって気まずいと言うか…その、無理にとは言わないけど、出来るだけ穏便に…」


五次元の雰囲気に耐えられなくなってついつい取り繕うような言い方をしてしまった


「…お互いに邪魔だと思ってるから」


え?邪魔だって??


「私は藤坪ちゃんほどの恋愛感情は持ってないけど、柿本君のこと、普通に…好きだよ」


グサッ!!


そんな効果音は実際にはないが今の心境にはピッタリだ


「私だって柿本君と仲良くしたいよ、でもその為にはあの子は邪魔な存在、向こうにしてもそうだよ、私がいるからそこまで接近出来ないんでしょ…」


この人達、内心お互いをずっとそういう目で見てたのだろうか、確かにそう言われたら前々から垣間見えてはいたが…


「今までみたいにやろうと思えばそりゃいくらでも出来るよ、でもそれって意味あるのかな?内心憎み合っているのに?」


俺に聞かれても…そこは本人達次第で…


「実際さ、私がソフトテニス部とか、バイクの教習で割と不在なのを良いことに、あの子柿本君に結構遠慮なく接近してるんじゃない?」


言い方は嫌だけど、でも実際そうかも、ていうか藤坪はそういう人じゃん


ん?

「バイクの教習…?でも免許持ってるんじゃ…?」


「ああ、それは原付だからね、最近私が通ってるのは中型バイクの教習…ってその話はまた今度で良くない?」


「あ、ああ…」


確かに今は関係ない話題だものな…ていうかちょっと寒いな、今


「…で、柿本君に聞きたいんだけど、私がいるのといないの、どっちが楽?どっちが良い?」


「わっ…」


何ちゅうことを聞いてくるのだ…

そんなの答えられる質問じゃないだろ、一旦持ち帰らせてもらって…


「今、今ここで答えて欲しい、昼休みも終わっちゃう…早く戻らないとあの子達が迎えに来ちゃうかもね…どうせここにいる事も知ってそうだしね」


「そ、そんな…」


五次元がいる生活、五次元がいない生活


今までもいる日、いない日があったし、2人きりになる事は…たまに帰りの自販機くらいか


「…いない方が良いのだったら私は創作部も辞めるし、藤坪ちゃんともそのまま、でもいた方が良いなら…考える…」



やだ!!とんでもないことになっちゃうじゃんか!

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