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地雷



限界寸前だったが間に合い、凄まじい解放感でトイレから出る


はあ、最高



「……」


え?なんでアイツまだ同じところにいるの?


幼馴染、本田歌恋が先程の場所に立っている


今更幼馴染に出てこられてもな、と思い素通り…

出来る距離ではないので再び捕まってしまう


「…もう、何だよ…ていうか近所なんだからわざわざ校内で話すこともないだろ…ていうか同じ高校なのに今までどこにいたんだよ…」


そう、コイツとは地区が同じ、小学校低学年までは互いの家に行ったり来たりしてたっけな


「戒ちゃんが隣のクラスだってことは知ってたけど、あの女達が戒ちゃんの周りをチョロチョロするもんだから、なかなかね…戒ちゃん1人になるタイミングなかなか無かったじゃん」


「なるほど、藤坪と五次元にビビってたんだ…痛ッ?」


頭にゲンコツを喰らった


今時ゲンコツって…そう言えば結構コイツ暴力女だったな


「ビビってない!…で?あの2人とは付き合ってんの?どうなの?」


話が戻ってしまった…


「…友達だよ、話せば色々あるけど友達であり同じ創作部の部員だよ、それだけ」


「あー、最近戒ちゃんを下校中見ないと思ったら部活入ったのね…創作部ね…」


なんで近所なのにこんなにお互いに色々情報が停滞してたんだろう


ていうか俺はここ数年存在すら忘れてたんだけど、更にこんなに外見変わっていれば分からん、歌恋はどちらと言うと地味な女の子だったのに…



「なるほど、戒ちゃんはそこで色々な女とイチャコラしてんだね」


いや、それは悪口過ぎ、確かに女しかいないけど! 


「ちゃんと活動してるわ!あと戒ちゃんって言うな!」


「結婚約束したのにそんな事言って良いの?」


「はあ?馬鹿か、そんなもん時効だろ」


「ひどい!私はずっとそのつもりなのに!」


アホらし、戻ろ戻ろ、ドアに手をかけるも歌恋の手がヌッと出てきて掴まれる


「待って!私も入る!」


「ちょっ…静かに、それにここは部員以外入室禁止だ、帰れ」


「いーやーだ!なら私も入部する!」


訳の分からないことを言い強引に体を捩じ込もうとする


藤坪が寝てるんだから静かにしないと!


「ちょっ…歌恋、良い加減にしろって、声がデカいって」


歌恋は俺を押し退け強引に中に入って行った

なんだコイツ…



「…何これ…?」


歌恋が恐ろしいモノを見たかのような声色で呟く


変なもんは藤坪以外にはありませんよーっと


「って、うわっ!!」


一瞬見ただけでも分かるくらい藤坪の胸元が露わになっている


しかもそのまま寝ている 


コイツいつの間にかボタン外してフリーダム状態かよ!


「…だからここに私を入れたくなかったんだ…キチンとやる事やってるわけね…」


…そりゃあこんな状態で寝てる女がいたらそう思うのも無理もない…

めんどくせ、色々経緯を話すのもめんどくせぇ…


「コイツ、友達、藤坪、眠い、ここで、寝てる、服は、知らない、はだけてた」


「なんでカタコトなの?」


「うるせえよ…もう、とりあえず帰れお前」


「婚約者にそんな扱いして良いの?病むよ?」


「はいはい、時効時効、病院行け」


手で追い払う仕草をしながら席へと着いた


「ひどい!戒ちゃんそんな事言う子じゃなかったのに!」


「戒ちゃん言うな!っていうかお前10月になるまで居なかっただろ!今更幼馴染面すんじゃねえ!」


「だからずっと居たって!戒ちゃんがコミュ障だから…」


「お前も大概コミュ障だろうが!見た目ばっか変えても中身は全然だろ!女どもにビビって話しかけられなかったんやろ!」


「うるさい!戒ちゃんほどじゃない!!!!」


「デカい声出すな!!藤坪が起きるだろうが!!この声もデカかった!!」


「……もう起きてるよ…」


その辺に転がってた藤坪がむくっと体を起こし、あくびをした


「…あ、ごめん…デカい声出して…」



藤坪とは言え、入眠の妨げをしてしまった


「んーん?大丈夫だよ、短い時間だけど結構深く眠れたよ……それで?」


「え?」


「幼馴染とか婚約者とかって…?」


うわ、途中から狸寝入りしてやがったのか、割と聞かれたくないところ聞かれてるよ、まあアレだけ声デカきゃ誰だって聞こえるか…


「…そうだったの?歌恋ちゃん?」


「…別に、関係ないでしょ」


お?結構オラつくじゃん?


「質問には答えなきゃね?」


「はい、すみません…」


うわダサっ、コイツ全然ダメじゃん


「ていうか、君たち知り合い?」


「だって中学1、3年と同じクラスだったし…」



そうだったそうだった




「それで?歌恋ちゃん、柿本君とはどういう関係だって?」



藤坪は一見にこやかだが目が笑っていない、歌恋は見るからにビビり散らしているので見てられない


「藤坪、結構高圧的だぞ、そういう態度良くないぞ」


「あっ、ごめんね、ちょっと力んじゃった…」



歌恋は使い物にならないので俺の方から藤坪へ軽く一部始終を説明した



「…2人が幼馴染だったのは初めて知ったよ」


「うん、言ってないからね」


「…今更幼馴染出てくるのはズルいよ!!旧知の仲に窮地の私!!」


お、上手い


「藤坪さんにとっては急かもしれないけど…私達もう、そういう仲だから」


歌恋はそう言うと俺に引っ付いてきた


「わ、わ、わ…」


それを見た藤坪は目玉が飛び出るほど見開き、ブルブルと震え出す


「幼馴染が惹かれ合うのはこの世の定めだよ、藤坪さんには悪いけど、もう、そういう事だからぁ〜」


うわ、ゲス顔だ


「で、でも、私と柿本君の仲は後から出てきた幼馴染には引き裂けないよ!」


「ならコレを見てよ!これ保育園の時の戒ちゃんの手紙だよ!」


それ水戸黄門の印籠じゃないから、って言うか見せるな


「……うーん?保育園の時の話は時効じゃないかな」


おいおい、随分物分かりの良い藤坪じゃないか


「じ、時効なんてない!私は結婚するつもりなんだから!」


そんな事聞いてねえぞ?今初めて知ったぞ?

いい歳こいて何を訳の分からない事を…



「柿本君もそうなの?結婚するつもりだった訳?」


「いやいや、あり得ない、歌恋の事は前から姉や妹のようにしか思ってないし恋愛感情は全くない…他の事例は知らないけど幼馴染ってそうじゃない?」


「……」


「……」



…何でみんな黙るの?



「ま…まあ、歌恋ちゃん、そんなに気を落とさないで、幼馴染って意外と万能ではないって事だね…」


お前がフォローするのか


「…め…ない…」


「え?」


「認めない!昔から戒ちゃんといたんだもん!!」


戒ちゃんって言うな、デカい声で


「分かったよ、クラスは一緒じゃないけど私も創作部に入って戒ちゃんと一緒にいるもん!!」



戒ちゃんって言うな


…いや、コレは好機かも、部員が1人増えるって事は…

いやでも、五次元が抜けるとしたらプラマイゼロか…

しかも変な奴だし…


「えー、部長代理のこの私、柿本が審判を下します、本田歌恋さん、あなたの入部は認めません、お帰りください」


「この下痢糞馬鹿野郎ッ!!!!」


「何だこの!!なんて事言うんだ!!」


「良いから入れてよ!」


「幼馴染ってもうちょっと優遇されるべきでしょ!?」


「それはアニメとかの話だろ…」


現に存在を長い事知らなかったのだから…


「…ていうか素朴な疑問だけど、今10月だよね…今頃話しかけるって…歌恋ちゃんは今まで何をしてたの…?」


「うっ…!」


それなんだよなぁ


俺なんか校内で歌恋の姿すら見てなかったからな…


「コイツ、ずっと居たって言ってるけど…藤坪は校内で歌恋見かけたことある?」


「あるね、でも歌恋ちゃんだと分かったのは結構最近だよ」


あ、本当にこの学校に在籍してたんだ


「歌恋ちゃんって中学の時は眼鏡かけてたから…やっぱ眼鏡外すだけでも全然分からないもんだね」


眼鏡外しただけ!?いやいや、もっと他にあるだろ、髪型とか、あとちょっと化粧してる?から多少の面影はあってもほとんど別人だよ…


「だって…中学の時、戒ちゃんがメガネ属性は無いって言ってたから…だから高校入ったら変わってやるって思ってて…」


それがなんで地雷系だ


「確かにメガネ属性ないって言ったことあるけど…地雷属性もないぞ…あと幼馴染属性も…」


「私ズタボロじゃん!!オーバーキルだよ!!!!」



「…でも、歌恋ちゃんは幼馴染としてちゃんと優遇されているよ」


「?」


「お互い自然に下の名前で呼び合ってる…私なんかいまだに藤坪、柿本君呼びなのに…」



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