相撲大会
相撲に何かヒントがあるかもしれない
と大相撲図鑑を読み、部活の時間を過ごす
「…ねえ、そんなに相撲が好きなら私とやってみる?」
コイツは何を言ってるんだ?俺が?藤坪と?
相撲は好きだが実際やったことは…幼少期以外は、ない
でも藤坪とやってもなぁ…いつもの与太話の延長線か
「柿本君になら私でも勝てそうだし…」
おっと、柿本君、これは聞き捨てならないぞ?
「今なんつった!?やってやろうじゃねえか!こっち来ォ!俺が相撲の厳しさ教えてやる!」
「…え〜♡優しくしてね」
藤坪のキモい声はさておき、そのナメた姿勢、叩き直してやる…って一応部活中だった、豊田先輩の方をチラッと見るが、あれ?いない
と思ったらチョークで床になんちゃって土俵を引いているではないか…
ノリノリやん
俺と藤坪は土俵に入る、よく見たら結構歪な円だな
「あの〜柿本君、私相撲のルールがあんまり分からないのだけど…」
自分からやるって言っておいてそれはないだろ
「とりあえずやってみようぜ」
藤坪が足が強いのは知っているが体幹や単純な力は未知数だ
「それって合法的に抱きつけるって事だよね?ふふっ…」
「お前よ、相撲ってのは神聖な儀式なんだぞ!不浄な考えを持ちながら土俵に上がるんじゃねえ!失礼!!!!」
「そんな怒んないでよ…それにここ土俵じゃなくて教室じゃ…」
「やっかましい!覚悟しやがれ!」
組むのは難しい(嫌だ)が、なら足を払うか、それとも後ろに回り込み、送り出しか
「ねえねえ、土俵から出さなくても相手が地面に倒れれば良いんだよね?」
「?ああ、打撃技とかやらない限りは、一応そうだな」
なんだ?何か必勝法があるのか?
だが注意は怠らない
って、俺は相撲の知識は少しあるだけの完全な素人だけどな
「…東、藤坪海〜…」
あ、豊田先輩が行司をやってくれるのね、棒読みが過ぎる
やるなら土俵に入る前にやってくれよ、それにしても藤坪海って…少し笑いそうになる
藤坪海は首を傾げ、微妙に嫌な顔をしている
文句あるのか?
次は俺の番か、どんな四股名が付けられるのか
「…西、変態山〜…」
ちょっ…変態山…
「先輩!!変態山って俺の事ですかっ!!」
相変わらず無表情だが、この人、俺のことを完全にイジりに来てるな
「ぷふっ…」
「藤坪海!!笑うな!!」
「だって、変態山って…あははははっ!!」
今までに無いくらいにスゲエ笑うじゃん…
柿本山とか柿本富士とか、他にもっと色々あるだろ…
笑っているうちにさっさと決めちゃおう
「…では、私が始め、と言ったら始めてください…」
なんだその号令は?
「いや、お互いに手をついたら始まるんじゃ…」
「…初め…」
無視!
出遅れたか…だが藤坪は
速ッ!?もう目の前にいる!?
ヤバい!と思った時には胸ぐらと袖を勢いよく掴まれた
物凄い衝撃が走った
え、柔道!?
と思った時には俺は天井を見ていた
「……」
……なんで???何が起こったんだ?
「いやあ、服着てるからこそ組めるね〜…大丈夫?」
シャツが全部出てしまった、シャツを直しつつ相変わらずヘラヘラとしている藤坪の方を向き直る
「…藤坪、何か武道やってた?」
「うん〜ちょっとだけね」
そんな情報初めて聞いたぞ!?
「おいコラ!もう1番取れよ!」
クソ!!!!本来なら相撲は裸に廻しだけなのに、それが裏目に出た!
「え〜良いけど…」
ヘラヘラと舐めやがって…こうなったら意地でも正攻法でぶっ潰してやる
服を着ているからこその敗北…屈辱…!
雪辱を晴らすべく挑んだ2戦目は豊田先輩の号令に出遅れることなく、藤坪の胸あたりに頭から突っ込んだ
コイツ、何もして来ないって事は…再び舐めプか?
弾力があり少し反動があった、その瞬間に首から変な音が鳴った
やっぱり素人が頭つけちゃいけないな…
「あっ…!ちょっ…」
両手で力任せに押し込もうにも藤坪は動かない
コイツそんなに重いのか?
「ぐおおお…!!!!」
「待って…柿本君…!」
いっそこのまま足を払おうか、でも奴は何かしらの武道の経験者だ、またこっちが転ばされる展開に…
「…そこまで…」
突然豊田行司からストップが出た
なんで?
「…ただ単に、変態山が、藤坪海の胸を、揉んでいた為、セクハラと見て、藤坪海の勝ちとします」
そんな反則負けはねえよ!!!!
藤坪は顔を真っ赤にして俯いている
「ちょっと待って、不可抗力だし、反則じゃないじゃないですか!」
そんな、一応戦いなのに、セクハラだなんて…
「…どさくさに紛れて、女子の胸を堪能するのは、ちょっと…」
「豊田ァ!!」
悔しいが普通に俺の力では藤坪に歯が立たないのは分かった、完敗だ、諦めよう、首ちょっと痛いし
「この流れで当然豊田先輩にも参加してもらいますよ、」
「…え…?…私も、ですか…?」
「当たり前でしょ!」
身長差はあるがこの取り組みは興味がある
藤坪が圧倒する流れになるのか?
能力が未知数の豊田先輩が勝つのか?見ものだ
「西〜藤坪海〜」
豊田先輩の四股名はどうしようか、ベタなのはちょっとプライドが許さないな、下の名前、真紅だったか、これをいじればそれっぽい四股名に出来そうだな
そうだ!
「東〜大真紅〜」
大真紅メッチャ良い響きじゃないか?
「ちょっと、柿本君ッ!先輩だけ下の名前なのはずるいよ〜!私にも下の名前でつけて!!」
この場合のずるいってなんだ?
「え?藤坪って下の名前あったっけ?」
「あるし!ふざけてるのかなあ!?」
うるせえなぁ…
いつにも増してかなりキレキレでダンダンと床を踏みつけている
怪獣かお前は
「…じゃあ、西〜零龍〜」
藤坪はニッコリと笑ってこちらを見ている、いい加減真面目にやれよ
龍ってついてりゃ割とカッコいいって決まりがあるからな、気に入ってもらえたようで良かった
でも豊田先輩も何かしらの経験者なのかな?
抜け殻のようにトボトボと土俵に向かう豊田先輩
嫌なのか?
「先輩って何か武道的なものやってました…?」
「…」
フルフルと首を横に振る
ダメかぁ…こりゃ藤坪海改め、零龍の一人勝ちかな…




