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真田真紅2


ありがたい事に藤坪さんはそれ以降は例の小柄な男子生徒の話はしなくなった

諦めたのかな?

と思ったが結構な確率で一緒にいるのを見る


ある日の事、部活時間が終わるまで私1人きりだった


皆勤だった藤坪さんが来なかったのだ


さては失恋したのかと思った、挫折は君を強くする、そう心でエールを送ったのだった


とは言うもの、私は他人の恋愛に興味がない


多忙でそれどころではないのである




教室ではいつものように


「豊田さん!いやあ、俺の推しは今日もクールっすわ!」

と同じクラスの小林椎馬こばやししいまに声をかけられる


彼はお調子者以外の何者でもない、見た目は良いので人気がある


コイツの影響力のせいで私はクラス中の生徒から「推し」と呼ばれている

もはやイジメなのではないか?


「豊田さん、一緒に写真撮らせて欲しいっす!」


この害虫が…もはやセクハラなのではないか?訴えたら勝てそうだ


「おい、椎馬やめろ、豊田さん困ってんじゃねえか、ねえ?豊田さん?」


吉村寅胤よしむらとらたねは王子と呼ばれている、もう1人の害虫

やはり顔が良い、家がお金持ちらしい

「豊田さんは俺の推しなの、お前みたいなにわかが出てくるんじゃねえ」

どっちも引っ込んでいろ、鬱陶しい





事の発端は私が1年生の時まで遡る

昔からコミュ障のネット弁慶だった私は日頃の鬱憤をお笑いのネタを書く事で紛らわせていた

家でも部活でも、そして教室でも


お笑いが幼少期から大好きなのだ、もっとも、家でないと爆笑出来ないが


面白いネタを作ってみたかった、それを自分でやるわけではない、自己満足の話だが…


その日教室でネタを書き出していた、誰も私に関心がないので覗かれる心配もなくコツコツと…

もし風が吹くのなら私のネタは教室中に舞い散る事になるだろう、だがここは室内、そんな事など絶対


「はい、窓開けまぁーす!!!」


ビュウッ!!


小林ぃぃぃぃー!!!!!


私の書いたネタ達が竜巻のように渦を巻いて教室中に散らばっていった

物理法則を無視したのではないか…?


それよりも終わった、私の学校生活が…


「おい!椎馬!!豊田さんの席ヤバいことになってるって!!紙が…!閉めろ閉めろ!!」


吉村、もう、遅い、私のネタは散らばってご自由にお取りください状態だ


「ヤッベ、ヤッベおい、皆で拾え拾え!」


小林、そもそもお前のせいでこうなったんだからな?



ああ、私の、ネタが、ネタが…クラス中に

私は机に伏した、私はここにいません、と


クラス中が突風に包まれたのに物を飛ばされたのは私だけ、筆箱やノートは無事だ、私だけコピー用紙…


捕まえようとした、だけどネタ達はヒラリヒラリと私の手をすり抜けていったのだ…


「え…コレ…?」


「お笑いのネタじゃね…?」


そうだ、お前達が拾い集めているのはお笑いのネタだ、見るな見るな



諸悪の根源である小林、それに吉村が拾い集めたネタを見ながらこちらへやってくる


「コレ、豊田さんが書いたの??」


私は恥ずかしさと怒りで目を潤ませながら小林を睨みつけた

バカにするならすれば良い、でも一発殴らせろ…!


「まずはごめん!マジでごめん!」


「へっ…?」


小林が頭を下げている、私に


「えっ…いやっ…あの…」


「このネタ…マジで面白いぜ!おい吉村、コレ文化祭の時俺らでやんね?」


「やろうぜ!俺ツッコミだかんな」


…何だか変な雰囲気になってしまっている気がする


「ということで豊田さん、このネタ使わせてくれない…?俺らでネタ合わせする時も見てて欲しいんだけど…なんかあれば言って欲しいし」


「椎馬、豊田さん困ってんじゃんか、でもこのネタを俺らにくれないか…?」


もう1人追加されたことで余計混乱するっちゅーねん


…わたしの書いたネタをやってくれるのか…?


とりあえず頷くことだけはした





じっくりとネタ合わせをする事も出来て、小林、吉村の2人は文化祭の特設ステージで私が書いたネタで漫才を披露したのだった

大盛り上がりだった




正直言って自分のネタがウケるとかは分からないし、どちらかと言うと恥ずかしい気持ちの方が大きかった

2人のノリもあったのだろうか



2人から「推し」と呼ばれたのは文化祭直前、最後のリハーサルの時だ


「いやぁ、ついに本番だな!やっべ、超緊張してきたわ…」


「俺も…」


流石の2人でも緊張はするものなのか、私は見ているだけなので分からない


「…あの、お2人とも、頑張りましょう…私も、見守っています、ので…」


言えることは言おうそれだけだったが


「豊田さん…アンタ優しいなぁ…!」


小林が目を潤ませる


「えっ…」


「聖母か何かなのか?見守っててくれ…!」


「いや…その…」


そんなに慈悲深い言葉は言っていない、当たり障りのない言葉を使ったんだ


「分かる、分かるぞ椎馬、俺は豊田さんを推すわ…ていうかもう推してる!」


吉村?


推しって…アイドルとかアニメのキャラとかのアレ…?


私にも推しはいるが、私をか?頭おかしいんじゃないか?


「落ちついて…下さい…私を、推しても、何もなりません…」


「こういうところだよな、吉村?エグいネタを書くのにこのお淑やかさよ」


違うよ小林、コミュ障を極めているだけだ


「ほとんど天使じゃねえか、もう羽根すら見える」


見えるか!

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