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風神の恐怖!


もちろん藤坪の好意は知っている


だがコレは特に受け止めきれない

夏なのにゾクゾクしてたまらない


…偶然なんじゃないか?いや、にしてはよく出来過ぎている


漫画やアニメなどで独占欲の強いキャラが対象に対して用いられる所謂よくある言い回しではある

ただその対象が自分だという事実に恐怖がジワジワと溢れ出てくる




寝ているであろう藤坪に注意しなるべく小さい声で

「…俺帰っても良いですか…」

と先輩に伝える


先輩はスマホを指差す


…見ろってこと…?



「帰っても追いかけ回されるぞ」



ちょっと…ホラーゲームじゃないねんから…!


「じゃあ捕食されろって事ですか、このバケモノに」


「そんな訳ないだろ、恐怖を感じたとは思うが、しっかり相手を理解するんだ

君は藤坪さんの事をあまり知らないだろ?

ああいうタイプは逃げたら逆効果だぞ、向き合うんだ、別に彼女もイカれているわけじゃない、拗らせているだけだ」


妙に知ったような事を書くんだな…なんかそういう経験でもあるのか…?


でも確かに、この前も走って逃げたら結局捕まって、関係が悪化したけども…


だって超怖いんだもん、普通逃げなきゃまずくない?


人のこと追っかけ回すような女がモテるのって世の中的におかしくね?何だよこの不条理は!

…まあ大体の人間は奴の本質を知らないからなのか、外面は良いみたいだからな


もうこのままずっと寝ててくれないかな?


20分経ったら起こしてくれっつってたな

まだ時間あるな


で、俺はどうしろと?理解を深めるには関われ?

ちょっとリスクが大きいのではないでしょうか…

藤坪の方こそ、ちゃんと向き合ってないんじゃないの?




藤坪、隣の席の女子、今は友達と呼べる存在


期待よりも不安の方が多い高校入学初日


俺は教室の指定された座席に座る、知らない人ばかりだ、この空間にずっといなきゃいけないのか、と嫌な気持ちになった


「あ、柿本君だ…久しぶり!同じクラスだね!」


俺は隣に座る女子にいきなり話しかけられたんだ


一瞬だけ見たが、驚くほど可愛い…こんな女子が俺の名前を知っているだと…?胸が躍った

でも心当たりがない


「…どうも…」

俺は当たり障りのない返事をした


「あっ、私の事覚えてないでしょ…中学の時同じクラスだったし!」


いや、待て見覚えがある、髪型こそは変わっているがこの感じ…この口調…


「…もしかして、藤坪さん?」


「だよー、久しぶりだね!」


そっか、俺なんかの事を覚えていてくれたんだ


中学2年の時からよく話しかけてきてくれた唯一の女子が藤坪さんだ、同じ高校だったのか


「良かった、柿本君が同じクラスで、また仲良くしようね!」


またって…元から仲はいい方だったのか?社交辞令なんじゃないかと思っていたが…


「俺、まだ不安しかない…」


「大丈夫、私も不安だけど、柿本君がいるし!逆に柿本君には私が付いてるし…、あ、そうだ、ちょっと待ってね…」


藤坪さんはブレザーのポケットに手を入れる


「はい、コレあげるし」


藤坪さんの白い手に乗っているのは青黒い石のような物、キーホルダー?


「え…コレ?何?サファイア?」


「そんな訳ないでしょ〜コレはレジンで作ったんだ、良かったらどこかに付けてみてね」


「あ、ありがとう」


キーホルダーをつける風習はないがとりあえず殺風景な通学カバンに付けてみた


「あはっ早速じゃん、良いね、似合ってるよ〜」


「ふっ…」


人に何かをしてもらうのって嬉しくて、つい気持ち悪い笑いが込み上げて来てしまった


「柿本君、この先の学校生活もこうやって笑っていこうね!」





…どうやら本当に相手と向き合わなきゃいけないのは俺の方らしい


幾分他人と話せるようになったのは藤坪の功績が大きかったんだ

俺がどんなに暗くても奴は変わらず接してくれたんだ

俺がハッキリしないから、友達という存在も捻くれた考えで理解しようとしなかった

だから傷ついた藤坪が暴走した、実際はどうか分からないが、そうだとしても不思議ではない


責任は取らないとな


「…藤坪、時間だ、起きろ」


俺は藤坪の小さな肩を叩く


「ん…もう20分経ったんだ…」


起き上がった藤坪は大きく両手を上げる


任務完了だ


「っていうか柿本君…初めて私のこと触ってくれたね…ありがと」


ニヤニヤとこちらを見つめる藤坪、何のお礼なのかは分からないが…


「…人間、良くも悪くも立場や状況によって意志や決意は変わっていく、それが俺のモットーだ」


「どういう事…?」


分からなくても良いさ、俺のモットーに付き合わせるつもりはない

ただその意志は揺らいだりもするさ


俺もなんか詩でも書こうかな、それか小説でも書いてみようか?今はスマホでも入力できるって言うしな


もちろんノウハウなどはないが…やってみるだけ無駄じゃないかもしれない

よし、検討してみよう


「…ねえ柿本君、明日って暇?」


明日…?土曜日、待ちに待った休みだな


「眠いから忙しいな…」


「早く寝れば良いよね!」


早く寝ても眠いのは変わりないよな?


「また家に来てくれないかな…?シロ美も待ってるし」


「シロ美ちゃん…!!」


藤坪シロ美、白いモフモフな猫ちゃんだ


前回は藤坪の奇行で色々な記憶がシャットダウンされた


だが俺はシロ美ちゃんを忘れてはいなかった、そう彼女が俺を忘れていないように…

だけどあの一件があるからな…でもあれは俺の言い回しも悪かったかも…


「どうかな…?ダメ…?」


上目遣い…藤坪ってあざとい属性の人なの?


「…で、目的は?」


「えっ?」


「シロ美ちゃんに会いに来て欲しいの♡だけなわけないだろ?」


「私の真似した!?私そんなにあざとい喋り方じゃないし!」


「同じだろ、で、何だ目的は??」


友達の家に行く目的、ゲームだったり宿題をしたり、あとはなにがあるのだろうか、ちょっと分かんないけど



「シロ美ちゃんに会いに来て欲しいのは本当だよ!でも、また来て欲しいから…」


ほーん、そうか、目的なしか


休日にこのクソ暑い中藤坪の家まで行くのはリスクが少々…でもなぁ、断る権利あるにしても断ったらまた拗れそうだし…


「…わかった、行くよ…」


「やった!何時でも良いよ?何時に来てくれる?」


「2、3時かな」


「ガッツリ寝てる気じゃん!そんなに待てないし!…10時には来て欲しいな」


何時でも良いって言ったじゃん…


じゃあ今のうちにアラームをセットしておかないと…ん?



「お前ら部活しろよ

シバくぞ

何部活中にお家デートの話してんだコラ

私が目の前にいるって事忘れんなよ

文化祭まで日がないっつってんだろ

手ェ動かせやシバくぞ」


豊田先輩…すまねえ、あなたがシバく姿が想像出来ないんだけど…


文化祭かぁ…なんか展示したり、部誌に何か載せなきゃいけないんだっけ、恥ずかしいけど4コマ漫画でも出そうかな、いや、本当に恥ずかしいな


詩でも書いてみようかな


暑い暑い夏、人々は秋を待つ、寒い寒い冬、人々は春を待つ


なんじゃこりゃ、話にならんな

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