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優しくて美しい世界  作者: 白い黒猫
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アンドゥできないデジタルの世界

 私は元々絵を描くのが好きな子供だった。そんな私にとってデジタルアートは最高の玩具だった。

 自分の描いた可愛らしい人物が、チョコチョコっとデジタルで加工するだけで最高に素敵に輝いたものになる。それをネットにアップすると,皆んなから良いねと評価もされる。私はそれが嬉しくて絵の腕を磨いて行った。


 そんな私が大学を芸術大学を選んだのは、自然なことだったと思う。

 高校生の時にもうラノベのイラストの仕事依頼されたことで、それを実績としてAO入試で楽に大学に入学できたのもある。地方の三流大学だからそれも可能だったのだと思う。


 大学生活は私にとってやることすべてが新鮮で楽しかった。

 家の周りは田畑のみ、バスで三十分かかる駅前には大型スーパーと飲み屋が目立つ商店街しかない。

 そんな村で暮らしていた私には、まず大学のある都市自体が観光地でもあるし華やでオシャレな場所。

 そこ闊歩する自分というのも、良い感じの女になった気にさせてくれた。


 私の通う美術大学の芸術学部の一年は科目は共通で,総合造形科目は絵画だけでなく彫塑、版画、デジタルデザイン等の基礎学習を履修せねばならない。

 それに加え造形基礎科目で色彩学、意匠研究、立体デザイン、映像制作と色々な事をやらされる。

 二年で目指す学科をもう少し絞った学習をして、三年から本格的に学部が決定し自分の作品を創作するという流れ。

 自分が進みたい油彩科へは遠回りに思えて最初は面倒だと思っていたが、実際やってみるとコレがなかなか面白い。

 しかしそれらは極める為というよりカルチャースクールなどの短期ワークショップに近い仕様で様々な手法を知ることで自己表現の幅を広げる糧にするという感じ。

 そこでその道にハマり、元の目的とは違う道を突き詰める進路の学科を選択する人もいるようだ。

 油絵科に行くことを狙っている私だが、今まで油彩をしたことがなかった私だけにここで油絵を教えてもらえたことは助かった。

 美術大学でなんでそんな人が入学を? と思うかもしれない。

 そもそも田舎の小学校から高校なんて美術の時間にしかアナログの絵は描かないし、それも水彩画がせいぜい。

 美術部なんてものも需要がなかったのだろう。存在すらしていなかった。

 私の創作活動はデジタルが中心で、その内容も可愛い女の子や、胸キュンなイケメン男性のイラストばかり。

 そんな私だから、実際に鉛筆や筆で絵を描くというアナログの世界は思った以上に戸惑いもあった。

 デッサンとかも真面目にやったこともなかったし。

 元々絵を描くということが好きだったことと、弘法筆を選ばずではないけど、私自身の能力もありそれなりに上手くやれていると思う。


 ただアナログの面倒くささはあった。デジタル絵では自動でやってくれていた部分も全て手でいちいちやらねばならないこと。

 背景もデジタルだと、持ってきた画像を加工して嵌めればよかったのだがアナログ絵だとそうはいかない。

 手間も時間もかかることが若干面倒だなと思ってしまった。


 私が一番強くストレスを感じたのは、アナログ絵は困ったことにアンドゥができない。

 失敗した部分を塗り重ねで誤魔化せる油絵やアクリル絵の具はまだ良い。

 デッサンや水彩は気に食わない部分が残り続ける。

 そこは何とも言えない気持ちにさせられた。

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