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優しくて美しい世界  作者: 白い黒猫
センセイに逢いに
2/24

今日は晴天、デート日和

 雲ひとつない青空の広がる今日。

 当にデート日和!

 こんな日にセンセイと会うなんて最高! 

 私はお気に入りのガーリーでレースをいっぱい使ったオフホワイトのワンピースを着る。

 久しぶりに念入りに化粧をして、家族に見つからないようにソッと家を出た。

 

 向かうは高速バスの出る停留所。家から少し離れているが、田舎に住む私にとって迅速に街にいく最適な手立てだから。

 免許がなく車の運転が出来ない私は、最寄り駅に行くにしても家族に車を出してもらうか、市営バスに乗るしかない。

 バスは朝と夕方以外は本数も少なく、村中をじっくり回って駅に向かうという困ったモノ。

 家族に気安く車を出すことを頼める程、私と家族の関係は今は良くない。

 そんな私にとって高速バスはこの村を自分の力だけで出るには一番冴えた移動手段なのだ。

 高速バスの停留所は村の外れの辺鄙な所にある。

 しかもあるのは高速道路の途中。一見なんでこんな所にこんなバス停を? と思われそうだが、近くにバスの車輌基地があるために停留所がここに作られた。だから利用者は少ない。

 新幹線に乗れる駅に一気に行けるのは楽ではあるのが、電車で行くのに比べ交通費が三倍になることから、皆は普通に電車を乗り換えていく。

 それに駅の方がファミレスなどの店も多く、車をおきやすく送り迎えしやすからだ。

 私にとってはのんびり椅子に座っているだけで距離を稼げるこの高速バスは都合良かった

 ドキドキしながらバスを待つ。時間に遅れること無くバスはやってきた。 

 私はバスに乗り窓についたカーテンで陽射しがキツい灼熱の世界を遮断する。

 そっと乗っている長距離バスの中を見渡してみる。

 行楽に出かけるのだろう家族連れが二組のみ。

 このバスはここが始発な事もあり人はまだ居ない。次の少し大きなバスセンターで人が多く乗って来るのだろう。

 家族連れはコレから始まる旅への期待でそれぞれはしゃいでいる。

 それぞれの自分の世界を楽しんでいるようで私の事など意識すらしていないように見える。


 発車時間になりバスの扉が閉まったことで私は身体の力を抜き、大きく息を吐き帽子を脱いだ。


 これで過干渉の家族も追い掛けて来ないだろう。

 やっとセンセイに会いに行ける!

 緊張が解けていくにつれ喜びが静かに心に広がっていく。

 私は手帳を取りだし、そこに挟んでおいたセンセイの写真を取り出し見つめる。

 センセイの事を考えながら目的地までの時間を楽しく過ごすことにした。

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