1章10.5話 「バグと天啓について」
サブタイトル通りに、バグと天啓についての情報をまとめて説明する回になります。
文字数はこれまでの話よりも少なく、ただ説明するだけの回のため、0.5話という扱いにしました。
ストーリーは進みませんが、ここで書かれている情報が今後も普通に出てきたり、次回以降で展開される1章終盤に繋がってくる要素も入っているので、すっ飛ばさずに見ていただければ。
バグ概論と天啓~二つの因果関係とは?
(地域の皆さま用)
バグ。それは人類史の起源から、各地で毎日のようにどこかで発生し続け、人類を殺戮しようとうごめく謎の人影。
突如次元空間の向こう側から発生するが、周期的に生じる次元壁の微弱な振動波形の観測により、その発生を事前に察知することが可能。
一般的に認知されている姿は全身が黒い【コモンタイプ】。
他には、耐久力に優れたモノクロの【ハードタイプ】。
機動力重視の銀色の【ラピッドタイプ】。
火力嗜好の金色の【マグヌスタイプ】。
全部で4種類が確認されている。
それぞれの強さ順を大雑把に記すと、
コモンタイプ<<ハードタイプ<<ラピッドタイプ<<<マグヌスタイプという具合。発生頻度は強いタイプ程低い。
最弱なコモンタイプのスタンダードな攻撃である手刀の一振りであろうとも、戦闘訓練を受けていない大人を絶命させるには十分な威力。
基本的には一度の発生で集団で固まって出現するが、彼ら? の仲間意識は薄いのか、連携した高度な攻撃や、他のバグを庇うといった防御行動を取ってくることはない。
目が存在するが視力はなく、目つぶしや目くらましは無効である。
その目には視力の代わりに、人間の身に宿るオドを感知するセンサー機能が備わっており、目を砕いてもセンサーは無力化できない。
バグは人間が持つオドを求めて襲いかかってくるとされているが、オドセンサーの感知能力は低く、建物や遮蔽物などに身を隠す、一定距離逃げるなどで免れることが可能。
バグの対処方法。
一般人の場合は上記のように逃げや隠れることの他に、出現から一定時間後の自動消滅を待つなどがある。
戦闘力を保持する人間の場合の対処方は、一つに絞られる。
バグの弱点である、人間の心臓と同じ位置で輝くオーブを潰すこと――これに尽きる。
その方法は持ち前の武器や武術で対応すればいいのだが、近年、よりダイレクトに、バグにダメージを与える技術が確立した。
それが脳改造を施した新人類【賢者】のみが獲得できる能力、人と世界のエネルギー源である【オド】と【マナ】の照応――【天啓】である。
オドを求めるバグといえども、天啓の技術により高濃度に活性化されたオドには、その身が耐えられずに自壊していく。
大気中を漂うマナの面においても、その霊的な聖なる性質を天啓で高めることで、不浄な存在であるバグを浄化することを可能としている。
このように、天啓に使用される二つのエネルギーはいずれもバグに有効な力である。
ここからは余談になるが、天啓はオド中心の【五行法則】と、マナ中心の【五大法則】の計10の属性から成り立つ。
五行法則は【木】【火】【土】【金】【水】。
五大法則は【火】【風】【水】【土】【空】。
全ての属性は、媒介とする身近な存在を、活性化したオドとマナの効果で力へと変換させている。
下記にそれぞれのほんの一例を記す。
【火】は人間の体温や骨、闘争心、空間の気温など。
【水】は人間の体内や空気中のあらゆる水分、精神など。
【土】は人間の接地している地点、肌で接触している箇所、周辺のフィールド、冷静さなど。
【木】は人間の筋肉、夢、ホルモン、思考、日光など。
【金】は人間の気、欲求、美的感覚、月光など。
【風】は人間の深層心理、生存本能、酸素、窒素、風など。
【空】は人間の魂、遺伝子、想像力、頭脳、空など。
【火】【水】【土】の3属性は、五行法則と五大法則で共通しているが、媒介となっている要素はどちらの法則でも同じである。
これらの要素を錬金術天啓により、高次元の魔法へと昇華させているが、あくまで1%にも満たない使用量のため、発動者の人体や周辺の環境への被害、悪影響は全く生じない。
注射による僅かな痛みなどの程度も凌駕する驚きの無害ぶり。
例えば、【水】の天啓を何度も発動して、全て発動者の汗を媒介としたとする。だからと言って、その後の生活で無汗症になったり、その他の症状を被るなどということは起こりえない。
これが精神を媒介としていた場合でも、精神を磨耗させて崩壊させたり、鬱屈とした気分になったり……などもない。もし、生じたとしても、それは天啓自体に因果関係はない。
人にも、環境にも優しい天啓。
天啓が、この星の脅威であるバグを滅ぼす聖なる光となる日は、そう遠くないであろう。
記述者: 偉大なる錬金術士ルードゥス様
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カタカタカタカタ…………。
コピー機から出てきた1枚の紙を手に取り、机の上で山を作っている資料のてっぺんへと、ドカンと叩きつける。
パソコンに表示された画面と資料を見比べて、内容の差異や印刷ミスがないか確認。
(………………大丈夫、問題ない……。
これで必要なモノは全て揃った。
後は行動を起こすだけだ)
退屈な0.5話だったかもしれません。
わざわざこのような回にお付き合いさせてしまって、申し訳ありませんでした。
そして、この話も含めて、プロローグからここまで読んでくれた皆さま、本当にありがとうございました!
次回以降のお話は、これまでよりも急展開で、一気に1章の終わりに向かって進んでいきます。
この先もお付き合いくだされば、嬉しいです!
よろしくお願い致します!




