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11 異世界から来ました


 絵美の回復魔法魔法ヒールでケガ人を治し、無事に森の入口へと出てこれた俺達を待っていたのは豪華な馬車だった。俺たちはマテスへ向かう事を告げると、案の定乗って行けという話が出た。

 王族の馬車など恐れ多くてお断りしたいところだけど、絵美の『⦅あるある⦆だね』の一言と、殿下の誘いを断るのもまた失礼かと思い了承した。


「あらためて礼を言う。君達が加勢してなかったらと思うと…… 君達は私の命の恩人だ」

「い、いえ。偶々通りかかっただけで…… あ、そう言えば名乗って無かったですね。おれ……わたしは比呂と申します。こちらは仲間の絵美です」


 王族からの礼なんて、はいそうですかで受け入れる根性は無いので話題を変えてみた。上の者に先に名乗らせるのも失礼だしな。


「エドワード・ウォー・アフラだ。比呂に絵美か、うん、覚えたぞ。それと此処では言葉遣いは気にしなくて良いぞ、慣れていないのだろ?」


 名前に⦅ウォー⦆を付けるのは王族のみだ、そしてエドワードか、聞いたことがある、このアフラマズダ国の第一王子だ。頭脳明晰で全てを人任せずにせずに時折自分の足で見て回るくらいフットワークが軽く民には人気がある。まあそのせいで今回みたいな危険な状態に会ったりするんだけど……

 今回も魔の森でダンジョン内の魔物が多数確認されている事態の調査で殿下自ら来ていたらしい。まったく自分の立場を理解してるのだろうか、いや理解してるからこその行動なのだろうか。凄い人なのだろということにしておこう。

 それにしても、殿下は確かレオンと同じ歳だった気がするが、見た目はそう歳を食っていないな。


「有り難うございます、普段の言葉遣いにします。では、そのう……つかぬ事を聞きますが、今は王国歴で何年ですか?」

「ん?今は309年だが、知らないのか?」

「すみません、色々あって……」


 二年だと? レオンが死んで二年しか経っていないのか?転生した俺は十七歳、十七年経っているのにどういうことだ。

 いや、日本と此方が同じ時間軸とは限らないか。もしくは向こうが何時だろうと此方に呼ばれた時間が今という事なのかもしれない。

 ということは[ニケウイング]は解散していなければまだ居るという事か。会う事があるのかな、会っても比呂なら気付かれないか。


「色々とは?」

「……」


 殿下は知っていて当たり前の事を知らないという事に興味を持ったようだ。辺境の田舎出身者とでも思ったかな。

 俺はどう答えようかしばし悩んだ。俺と絵美で、師匠と長く山脈の近くで修行していたから世間知らずで……という設定を事前に作ってはいたのだが、


「……そうですね、俺が話すことは此処だけの秘密にして貰えますか?」

「秘密?……うむ、分かった」

「……実は、俺達はこの世界の者では在りません。……異世界から来ました」

「異世界?」


 それから俺は絵美が女神に会った事と貰ったスキルの内容だけは伏せ、大まかに事実を告げる事にした。異世界小説なら面倒ごとに巻き込まれないように隠す事が多いようだが、俺は構わないと思った。事実を言ったところで頭がおかしい奴だと思われるくらいだし、人と深く関わらない様にしてる俺としてはヤバイ奴だと人が寄って来ない方が有り難い。

 それに相手は王族だ、知っていた方が良いかもしれない情報もある。


 帝国の不完全な召還により死にかけていたところをこの世界の女神が救ってくれた事、その際この世界が迷惑をかけた詫びとして生きて行けるだけのスキルを貰った事、それらは女神からの神託として告げられたと、若干噓を交えて話した。

 特に帝国の召還については少し声を大きくして強調しておいた。なにせ女神様も認めていない事柄だしな。


「人を召還するだと!! そんな事が可能なのか?! いやそれよりもなぜそんな事を?」

「それは分かりません。ただ、俺達の世界の寓話では異世界に召喚された者は人知を超える力を持って現れると言う話があります。勇者召還とも言われていたりします」

「つまりお前たちは人知を超えた力を持っているという事なのか?」

「それは違います。先程も言ったように召還自体は不完全で完成しておりません。俺達はただ女神様に救って頂いただけですので。あと、女神様は人の召還は認めていないようですよ」

「ではいったい……」


 殿下は顎に手を当て目を閉じて思考を巡らせ始めた。なんか俺にワトソン君と言いそうな仕草だ。


「……戦争の準備か」


 思い当たる事が有ったのか、殿下は薄く目を開き小さく呟く。

 

 ガリアス帝国はここアフラマズダ国と山脈を挟んで北側にありこの国の二倍の面積持つものの、半分は極寒の地であるため常に食糧難である。東側に大きな鉱山都市があり鍛冶が得意なドワーフが住んでいることから武器や鎧、鉄製品等を特産としている。

 その為軍事国家とまではいわないが、温暖な気候の土地を巡りアフラマズダ国との小競り合いは何度も行っていた。


「うむ、貴重な情報を有難う」

「……自分が言うのもなんですが、この話を信じるんですか?」

「正直なところ信じるには突拍子すぎる話だ。だが君が嘘を付いてるようにも見えない。それに……君達は命の恩人だしな。帝国については内密に調べる事にするよ」


 この話はこれで終わりというかのように殿下はニカッと笑顔を見せた、どうやらヤバイ奴だとは思われなかったようだ。

 俺も帝国ヤバイかも位にしか思ってないし、証拠が有るわけでもない。話はここまでだ。


 もう一度この世界でやり直せる事になった原因でもある帝国のやらかしには、礼を言わなければいけないのかなと思ったのは内緒だ。


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