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本人の目の前で

掲載日:2023/06/24

◆そんな大声で言わないで


「こらっ!

 公の場で、そんな大声で言わないで!


 しかも、本人の目の前で……

 それどころか、1メートルも離れてないし……

 正確には、くっついちゃうくらい近いところで……

 なんなら、もうキスしそうな距離で……

 耳元で……

 そんな大声出さないで!


 鼓膜破れちゃうし、恥ずかしいし……

 みんなに見られてるよ!」



◆食べ物の恨みとネットのツケ


「お前は今、何をしていたんだ?

 公の場で、本人の目の前で。

 隠しても無駄だ、もう本人が見ているからな。

 俺のアイス食べたよな!


 は? 家での出来事?

 違う、ここは公の場、ネットの海!

 逃げても無駄だ、みんなに見られているからな。

『弟のアイス勝手に食べてみた!』

 ってお前の投稿。

 アイスの恨みは、ネットの恨みは、お前を一生許さない!

 自分たちを舐めてかかった、馬鹿なお前をな!」



◆残されたノート


「今あなたが読んでるそれは何?

 いや、知らないって言ったって、何でもなくないよ。


 これは人のノートよ。しかもあなた、持ち主本人の目の前で読んだよね。あら? 必ずしも周りに誰かいるとは限らないと?


 確かにね。あなたがこのノートを読んでいるとき、目の前に持ち主本人の姿はないように見える。でも今、あなたがこのノートを読んでいることを、私は知っている。それも、このノートを書く時点で、既に。


 本当のところは、あなたに読んでもらいたかったの。不特定多数の目に触るところに、このノートを一般公開したのはそういうことよ。あら? さっきまでは読むなって、言ったにもかかわらず? そう思うだろうけどね。人の魂は死んだ後も残り続けるって、生きていた時に聞いたことがある。


 この話が本当ならば、あなたがこのノートを見ている時、私はそんなあなたを見ているわけね」



おわり

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